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ボルボが「不確実な未来を生き抜くため」3年前に辞したCEOを呼び戻す。2年の暫定任期の間に次期CEOを探して激動の自動車業界を生き抜くもよう

ボルボ

| ボルボは2024年に過去最高の業績を記録しつつも2025年を「転換の年」と位置づけている |

一旦ボルボはこれまで築いた優位性を手放し「ガソリン車にも再注力」

さて、現在多くの自動車メーカーが「近い将来、EVのみのラインアップとする」という計画を再考し「やっぱりガソリンエンジンも残すことにする」という方向へと向かっているのが現在の自動車業界の流れではありますが、かなり早い段階で「EVメーカーへの転換」を打ち出したボルボもそのうちのひとつです。

ボルボは親会社である中国・吉利汽車の方針もあり、2030年までに完全EVブランドとなる計画を掲げていたものの、 最近になってその方針を見直し、内燃機関を搭載した電動化モデルも引き続き販売することを決定していますが、完全EV化への移行は依然として進めるものの、市場の動向を踏まえた「実用的な方向転換」が必要であるとしています。

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そして今回報じられているのが、ボルボが「2012年から2022年までCEOを努め、すでに退任済みのホーカン・サミュエルソン氏をCEOとして呼び戻す」というニュース。

同氏は3月31日付で退任するジム・ローワン氏の後任となり、しかし任期は2年間だとされ、ボルボはその間に長期的な後継者を探す方針であると報じられています。

ボルボは大胆なリーダー交代に踏み切る

今回ボルボがそのリーダーの「変更」へと踏み切ったのは危機的状況にある現在を乗り越えるためで、ひとまずは「勝手知ったる」ホーカン・サミュエルソン氏を2年限定にて呼び戻し、その間に「安定性を確保しつつ、長期的な後継者を選定する」という方針に基づいています。

さらにボルボはホーカン・サミュエルソン氏の復帰が「ブランドと自動車業界全体にとって極めて重要なタイミング」であることを強調し、 「急速に進化する技術革新、地政学的な複雑化、地域ごとに激化する競争」への対応が必要だとも。

そしてボルボの取締役会は、ホーカン・サミュエルソン氏が2012年から2022年にかけて築いた実績に期待を寄せており、同氏の「深い産業経験」と「会社への深い理解」、そして「プレッシャー下での的確な経営手腕」が再び求められるという結論から今回の判断を行ったようですね。

ボルボの取締役会会長であるエリック・リー氏は、ホーカン・サミュエルソン氏の復帰を歓迎し、以前のCEO在任期間中に、「ブランドの再生、新市場への進出、そしてIPO(新規株式公開)の成功」を成し遂げたことを評価するとコメント。

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さらにホーカン・サミュエルソン氏自身は以下のように復帰への意気込みを語っています。

「自動車業界は多方面からの圧力を受けています。このような重要な局面でボルボに戻ることを光栄に思います。今後の課題を深く理解しており、優れたチームとともに競争力を高め、主要市場の需要に応え、戦略の実行を加速させ、リーダーシップの強化に取り組むことを楽しみにしています。」

なお、エリック・リー氏は(退任予定のCEOである)ジム・ローワン氏に対しても「彼の3年間のリーダーシップにより、ボルボはソフトウェア主導のコネクテッドカー企業へと変貌を遂げました。デジタル領域の基盤を強化し、重要な変革期を乗り越える上で大きな貢献をしてくれました」と感謝の意を表し、ジム・ローワン氏もまた以下のように述べています。

「ボルボを率いることは大きな特権でした。素晴らしいチームと共に、急成長する信頼性の高いブランドを築き、業界でも最も先進的で安全性に優れた製品を世に送り出すことができました。 ボルボの今後の成功を願っています。」

ボルボは不確実な未来を迎えつつも、2024年には98年の歴史で最高の業績を記録しており、総販売台数が763,389台に達する一方、売上高と営業利益も過去最高を更新。

しかし2025年は「転換の年」と位置づけられており、自動車業界の激動の中で次なる一手を模索してゆくことになるものと思われ、ホーカン・サミュエルソン新CEOの手腕に期待したいところですね。

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