>ポルシェ(Porsche)

【ポルシェが戦略の見直し】”EV比率80%”を断念、さらには販売目標を引き下げ「価値重視」の方針へ。「以前の戦略は完璧に機能するはずだったが事実は違った」

ポルシェ

| ポルシェ、EV販売80%目標を下方修正:「市場の現実に柔軟に対応する」 |

全体の販売台数についても「30万台から25万台へ」計画を修正

ポルシェは2025年5月に年次株主総会を開催していますが、2030年までに販売台数の80%以上をバッテリーEV(BEV)にするという従来の目標を現実的でないと判断し、戦略の修正を”正式に”発表することに。

「我々のプロダクト戦略は達成可能なはずだった。しかし市場の展開を鑑みると、現実的ではなくなった。」
— ポルシェCEO オリバー・ブルーメ

EV市場の停滞とタイカンの販売減速

現在ポルシェが危機的状況に陥っているのは既報のとおりですが、その主な原因は中国市場の低迷、そしてさらにいうなれば「中国市場での電気自動車ラインアップの低迷」。

2024年にはポルシェのEV主力モデルであるタイカンの販売が減少し、その原因は、モデル刷新による供給の一時的な鈍化もあるものの、オリバー・ブルーメ氏によれば「EV市場全体の立ち上がりが想定よりも遅れている」。※ただし現実的には市場ではなくポルシェの商品力の問題という側面が大きいように思う

L1012524

新型マカンEVとSUV戦略の再検討

さらにオリバー・ブルーメ氏は以下の状況にも言及しています。

  • マカンEVの販売はまだ本格始動しておらず、従来のICE(内燃機関)モデルも一部市場で並行販売中
  • 「新しいSUVシリーズの導入を検討している」、そしてこのSUVにつき、内燃機関・ハイブリッド両方の設定も視野に入れている※これは長年噂されている3列シートSUVか、あるいはマカンEVよりコンパクトなクロスオーバーなのか詳細はまだ不明

パナメーラとカイエンは「ハイブリッド・EV・ICE」共存へ

加えてポルシェは今後も、カイエンおよびパナメーラについて、ハイブリッドと内燃機関、そしてEVが併売されることを明らかにしていて、これにより、ユーザーはライフスタイルに応じて選択できる幅広いパワートレインを享受できるようになります。

電動718ケイマン・ボクスターは開発継続、しかし時期は慎重に判断

完全電動スポーツカーの柱となる718 EV(ボクスター/ケイマン)は依然として開発中で、市場状況に応じた柔軟なタイミングでの投入が検討されているとコメントされていますが、現行モデルはすでに一部市場での販売が終了しており、残る市場に向けた生産も今年中に終了する予定。

ポルシェ
ポルシェはEVに関する優先順位を変更し、電動版718ケイマン・ボクスターの発売を「カイエンEVの後」に。これによってポルシェのスポーツカーは一時的に「911のみ」へ

| それでも718ケイマン・ボクスターEVの発売時期は「変わらず」、つまりカイエンEVが「前倒し」に | 一方でポルシェは「ピュアエレクトリック」以外のパワートレインにも再注目 ポルシェは昨日、今後の ...

続きを見る

よって「電動モデルが登場するまでの販売欠格期間」が想定より長くなることを考慮するに、現行モデルに対してなんらかのテコ入れ→販売継続が考えられます。

「私たちは市場より一歩先に進んでいたが、移行フェーズは当初の想定よりも遥かに長期になるだろう。」

L1016371

生産縮小と「価値重視」戦略へのシフト

  • ポルシェは2023年に30万台以上を販売したものの、今後は年25万台規模へと再構築する計画
  • 同時に人員削減も進めており、「量より利益」=高収益・高付加価値戦略への移行が加速中※おそらくは過去のアイコニックなモデルをフィーチャーした高価格限定モデルの拡充もその手段のひとつ

この背景には、中国市場での欧州ブランド離れや、米国での関税リスク、そして欧州規制の不確実性といった外部要因も影響しています。

まとめ:ポルシェは“EV一辺倒”から“多様な選択肢”へ

ポルシェは当初掲げた「2030年EV比率80%」の目標を柔軟に見直し、ハイブリッド車やICEとの共存戦略に舵を切ることを株主の前で「正式に」発表。
これは単なる後退ではなく、市場実態と顧客ニーズを踏まえた「現実的なプレミアム戦略」への進化といえそうで、今後の製品展開や構成においては「目に見える」変化がもたらされることになりそうですね。

L1016355

あわせて読みたい、ポルシェ関連投稿

ポルシェ
ポルシェは718ボクスター / ケイマンの電動化に苦慮しているとの報道。バッテリーのミドシップマウント化が難航しているもよう

| 興味深いことに、ポルシェはピュアエレクトリック版718ボクスター / ケイマンにつき、ガソリン車用プラットフォームを使用している | もしかすると次期718ボクスター / ケイマンは「ハイブリッド ...

続きを見る

ポルシェデザインが新作「ロードスター・アルミニウム」スーツケースを発表|911タルガから着想を得た次世代ラゲッジ
ポルシェデザインが新作「ロードスター・アルミニウム」スーツケースを発表|911タルガから着想を得た次世代ラゲッジ

Image:Porsce Design | 「リモワ」とのコラボレーション決別を示唆する第一歩か | ポルシェ911タルガのデザイン哲学がラゲッジの世界にも さて、様々なライフスタイル系グッズを発売す ...

続きを見る

ポルシェが「フラッハバウ」商標を申請!1980年代の名車「スラントノーズ」復活の可能性が高まる
ポルシェが「フラッハバウ」商標を申請!1980年代の名車「スラントノーズ」復活の可能性が高まる

| ポルシェ、「フラッハバウ(Flachbau)」の商標を新たに申請 | 現在のポルシェの状況を考慮するに、この登場は「非常に現実味が高い」 ポルシェがEU知的財産庁(EUIPO)に対し、「Porsc ...

続きを見る

参照:Porsche

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

  • この記事を書いた人

JUN

2013年より当ブログを運営中。 国産スポーツカー、ポルシェ、ランボルギーニ、フェラーリ等を乗り継ぎ現在に至ります。 単なる情報の記載にとどまらず、なにかしら自分の意見を添え、加えてクルマにまつわる関連情報(保険やメンテナンスなど)を提供するなど「カーライフを豊かにする」情報発信を心がけています。 いくつかのカーメディアにも寄稿中。

->ポルシェ(Porsche)
-, , , ,