
Image:AC Cars
| 伝説のコブラ、再びアメリカで目を覚ます |
意外ではあるが、あの「コブラ」は英国生まれである
イギリスの老舗スポーツカーブランド「AC Cars(ACカーズ)」が、実に60年以上ぶりにアメリカ市場へ本格復帰。
その記念すべき復帰モデルとして、驚異のパフォーマンスを誇る特別仕様「GT Supersport」を発表しています。
ACカーズのモデルが米国で正規販売されるのは1963年以来だそうで、その復活にふさわしいスペックを持つのが、このGT スーパースポーツというわけですね。
最大出力は1025馬力、「マッド」な特別仕様
GTスーパースポーツは、標準仕様の”GTロードスター”をベースに開発されたスペシャルモデルで、その最大出力はなんと1025馬力──これはもう「コブラ」どころか、現代のスーパーカーをも凌駕するパワー。
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エンジンの詳細は未公表ではあるものの、(レース用の)E85燃料で1025馬力という、ダッジ・チャレンジャー・デーモンに積まれるV8エンジンとの類似も噂されています。
実際のところダッジはこのユニットを(ほかモデルにスワップできる)クレートエンジンとして販売しており、GTスーパースポーツへの搭載も現実的に、そして技術的にも可能であると考えられます。
外装も専用設計、迫力満点のエアロパッケージ
GT スーパースポーツには新設計のボディパネルが採用され、空力性能と走行安定性が大幅に強化されていますが、ワイドトレッド化により高速コーナリング性能が向上し、リアにはまるで『Forza Motorsport』のアップグレードに登場するような巨大ウイングも装着済み。
その姿は、過去の「クラシックなコブラ」のイメージを完全に覆す、ハードコアな現代のスーパーカーそのものといったところかもしれません。
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AC GT スーパースポーツは限定25台、価格は55万ドルから
GT スーパースポーツの生産台数は世界限定25台に絞られており、価格は55万ドル(約8,000万円)〜と、標準モデルであるGT(約27万ドル)の約2倍。
購入者一人ひとりに合わせたパーソナライズ仕様が提供され、オプションによってはさらに高額になることも考えられますが、「世界に一台」の仕様を手にできる対価としては”高くはない”のかも。
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さらに、アメリカ文化を象徴する3種の専用カラーリングも用意され、詳細は未公開ではあるものの、アメリカ市場へのリスペクトを込めた演出だと見られます。
現在、通常版「GT」の予約者へと優先し購入権が与えられているそうですが、まだ若干の枠が残っているそうで、興味がある場合は急ぎACカーズへ問い合わせると良いかもしれませんね。
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ACカーズの歴史──そしてコブラ伝説へ
ACカーズの歴史は長く、もともと1900年代はじめに「ウェラー・ブラザーズ」として自動車やオートバイの修理を手掛けていましたが、やがて自社で車両を製造するようになり、1953年にはAce(エース)というスポーツカーを発表しています。
このエースは軽量なシャシーとハンドメイドのアルミニウムボディが特徴のオープンカーで、その後のACカーズの運命を決定づける重要なモデルとなるのですが、当初は自社製エンジンやブリストル製エンジンを搭載していたわけですね。
ただ、1961年にブリストルがエンジンの生産を中止したことで、ACカーズは新たなエンジンの模索を迫られてしまい、そこで登場するのがアメリカの伝説的レーシングドライバー、キャロル・シェルビー。
シェルビーは、軽量なACエースのシャシーにフォード製の大排気量V8エンジンを搭載することを提案し、これが伝説の「ACコブラ」誕生につながったというのが「コブラ誕生」の経緯であり、かくしてACコブラは、その圧倒的なパワーと性能でレースや市販車として大きな成功を収め、世界中のエンスージアストを魅了することに。
特に「427」と呼ばれる7.0リッターV8エンジンを搭載したモデルは、当時の世界最速の量産車の一つとしてギネスブックにも記録されるなど、多くのエンスージアストの記憶に残るクルマとなっています。
ACカーズはその後も「AC Frua」「AC 3000ME」などのモデルを開発したものの、経営難や所有権の変更などを経て1970年代末には一度倒産を喫してしまい、しかしコブラという名前はキャロル・シェルビーによってアメリカで引き継がれ、「シェルビー・コブラ」として販売が継続されたという事実もあるため、コブラといえば「AC」としてよりも「シェルビー」のほうが有名かもしれません。
その後もACカーズは複数の所有者を経て現在に至っていますが、上述の「GT」のほか、ACカーズの存在を世界に知らしめた「エース」復刻モデルも発表されており、今後はピュアエレクトリックカーの導入を行う、という発表もなされています。
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参照:AC Cars