| 未来のクルマはいったいどこへ繋がってゆくのか |
このシステムはあくまでも人の物理的動作を「補完」するために使用されるようだ
さて、現在自動車の運転は「手でステアリングホイールを、足でアクセルとブレーキを」操作することで行いますが、フォードが近未来のSF映画のような「脳波によってクルマをコントロールする」という特許を出願。
これは「ブレイン・マシン・インターフェース」「ドライバー・モニタリング・センサーのフュージョンによるシャシー入力」という内容から成り、しかし画像を見るとステアリングホイールも残されているため、「脳波だけ」でコントロールするというわけではなさそうです。
脳波はあくまでも「予備動作」のため
今回出願された内容を見てみると、たとえばドライバーが「曲がろう」と考えた時、まずはその意思をコンピューターが読みとってドライバーの次の動作を予測し、実際にドライバーがステアリングホイールを操作した際に「素早く曲がれるよう」準備をしておくものだと解説されています。
つまりは脳波だけでクルマをコントルールするというわけではなく、物理的な操作とセットになっていると考えられますが、これはある意味「フェイルセーフ」なのかもしれません。
たとえば「脳波だけ」でコントロールするとなると、ドライバーが障害物を前方に発見し、それを避けようと反射的に思っただけでクルマがステアリングホイールを切ったりブレーキ操作を行うということになりますが、そうなると「周囲の状況に関係なく」クルマが動いたりすれば別のクルマと接触したり、急ブレーキによって追突されてしまう可能性も(もちろん、センサーやカメラによって衝突の回避は可能)。
加えて「避ける」「停止する」とドライバーが考えたとして、どのくらいステアリングホイールを切るのか、どれくらい強くブレーキをかけるのかをクルマが判断することは非常に難しく、そう考えると「脳波を読み取ることはできても、それを実際のクルマの動作に結びつける」ことは困難なのかもしれません。
さらには「抜かれてカッとなった」という状況で、脳波だけでクルマを制御した場合、ドライバーが「追いかけよう」と思っただけでクルマが急加速したり、場合によっては相手にぶつけようと考えただけで事故につながる可能性も。
そのほか先行するクルマがウインカーを出して自分の車線に入ってこようとした場合に「入れさせまい」と思っただけで、クルマが自動的に車間を詰めることも考えられます。
脳波だけでクルマをコントロールする時代はおそらくやってこないだろう
これらについても「制限速度を超えないよう」「衝突しないよう」に制御することは可能かもしれませんが、そこまでして「脳波でクルマを制御する」メリットは見いだせず、ドライバー側にもある種の訓練が必要になるのかもしれません(現在の運転免許証の取得以上に”適正”が重視される)。
そして、そういったドライバーの衝動的な考えを読み取ったとしても「(周囲の状況などを判断し)事故を起こさない」ような制御ができるとすれば、それはもう完全自動運転技術を手に入れたも同様であり、そして完全自動運転が実用化できれば「脳波による制御」も必要ないと考えてよさそうでもありますね。
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参照:US Patent and Trademark Office