| おそらくはシフトショックも再現してくるだろう |
こういった考えは多くの自動車メーカーが持つものの、ここまで本気で取り組むのはトヨタだけだろう
さて、マニュアル・トランスミッションに対しては多くの自動車メーカーが死刑宣告を行っており、MT搭載車はもはや絶滅危惧種といったところですが、今回トヨタが「電気自動車のためのマニュアル・トランスミッション」を米国特許庁に出願している、と報じられています。
この特許は8つの申請から成り、2021年夏から断続的に出願がなされているといい、「クラッチペダルのシミュレーション」、「ギアシフトのシミュレーション」、「従来のマニュアル・トランスミッションを装備する内燃エンジン車の特性を模倣するためのトルクフローの中断方法」など、いくつかの技術が含まれているもよう。
実際にクラッチペダルを操作することになるようだ
この特許によると、EVを「マニュアル・トランスミッション搭載車っぽく」操作するため、アクセルペダルは当然のこととしてクラッチペダルを備えており、もちろんシフトレバーも装備。
モードは3つあるといい、ひとつはマニュアル・トランスミッションと完全におなじく「クラッチペダルとシフトレバーを操作する」もの、そして2つ目は「シフトレバーのみを操作するもの」、3つ目は「何も操作しない(つまりはオートマチック・トランスミッションと同じで、通常のEV状態)」。
そしてマニュアル・トランスミッションっぽく操作した場合の特許図面がこちらで、クラッチを踏んでギアをチェンジする間に生じる「トルクの発生しない空白」を意図的に演出する、ということになりますね。
つまりは仮装エンジン、仮装トランスミッションを積んでいるという「設定」となり、面白いのは「タコメーター(レブカウンター)を備える」ということで、「仮想」回転数を表示するとともにギアポジションも表示するもよう。
なお、画像を見る限りでは「アナログメーター」を用いるようで、トヨタは「マニュアル・トランスミッション搭載の」EVについて”アナログなスポーツカー”を目指しているのかもしれません。
なかなかこの発想を現実に移そうと考える自動車メーカーは少ない
ちなみにトヨタが2017年に発表した「86のエレクトリック(ハイブリッド)版」、GR HVスポーツ・コンセプトは「オートマティックでありながらもマニュアル・トランスミッション同様に操作できるシフトレバー」を備えていましたが、トヨタはこの時点から今回の特許のような発想を持っていたのかもしれませんね(実際のところ、発想としては多くの人が考えつくものだが、これを実行しようという自動車メーカーは少ない)。
参考までに、イタリアのコーチビルダー「アレスデザイン」はランボルギーニ・ウラカンをベースにした「パンサー(デ・トマソ・パンテーラの再解釈版)を発売していて、これはウラカンに装備される「パドル」のスイッチをマニュアル・トランスミッション風のシフトノブにて操作できるようにしたもの。※ただし変速はHパターンではなくレバーの「上下」で行う
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「オートマティック・トランスミッションのマニュアル化」というのは逆説的ではあるもんお、古くはポルシェの「ティプトロニック(ただしこれはMT風のHパターンシフトではない)」も同様ですし、日産ではCVTにMT同様の変速ロジックを持たせていて(これもHパターンではない)、考え方としては比較的メジャーであり、しかし今回のトヨタのほのこだわりが見られる例は他にないかもしれません(トヨタはシフトショックすら再現するつもりなのかも)。※ここまで来ると、もはやフェイクとは言い切れない
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参照:BZ Forums