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トヨタ幹部がテスラ車を分解→「なんてことだ。これはまさに芸術品。信じられない」。テスラが持つ4つのアドバンテージを正しく認識し効果を算出

2023/03/03

テスラ

| かつてトヨタとテスラが提携し、トヨタが「得るものは何もない」として提携を打ち切ったのがウソのようだ |

テスラのクルマは外観が変わらずとも、その内容は大きく進歩している

さて、トヨタのエンジニアがテスラ・モデルYを分解したところ「まるで芸術品のような高度な技術が使用されている・・・」と驚愕したというニュース。

トヨタは世界一の販売台数を誇る自動車メーカーではありますが、ことEVに関しては「弱い」と断じて良く、2022年に販売したバッテリー式電気自動車(BEV)の数はわずか24,466台にとどまります。

これは同じ期間にトヨタが販売したハイブリッドカーの260万台、そしてテスラの130万台とには遠く及ばない数字であり、しかしトヨタは社長を佐藤恒治氏へと交代させることによってこの遅れを挽回しようという姿勢を見せていますね。※EV展開を加速させ、2026年までにBEV専用アーキテクチャを立ち上げてEV戦略を刷新するという戦略を発表している

トヨタ
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なぜトヨタのEVは売れないのか

なお、トヨタはEVに対して積極的ではないということもありますが、それ以前にトヨタのEVは魅力に欠けており、これが最大の問題かと思われます。

実際のところ、トヨタの顧客がEVを購入しようと考えた時、トヨタのEVではなくテスラ車を選ぶという統計も出ており、現在の市場においてトヨタ製EV(bZ4X)の存在はかなり希薄といえるかもしれません。

トヨタ
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それは価格の高さ、航続距離の短さといったところに集約され、付け加えるならば先進性の低さ。

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これはレクサスの最新EVである「RZ」でも同じことで、多くのメディアはその価格の高さ、それに対する満充電あたりの走行距離の短さを正当化するだけの要素がない、とも。

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そしてこういった「魅力のあるEVを作ることができない」要因はおおよそE-TNGA、つまりトヨタの開発したEV用プラットフォームにあり、これは「コストが高い」「バッテリーを積む容量が限られている」とされ、トヨタのエンジニアとしても「これを何とかすることはできない」もよう。

このE-TNGAプラットフォームは、少なくとも400万台を製造・販売しないと開発コストを吸収できないとされていますが、トヨタは「損失覚悟でこのE-TNGAを捨て、新しいEV用プラットフォームを開発せねば今後の競争に生き残れない」と判断し、2026年の投入を目処に新しいEV向けプラットフォームの開発に注力することとなった、というのがここまでの流れです。

トヨタ

「テスラ・モデルYは芸術品」

そこで今回、新しいプラットフォーム設計のためにトヨタのエンジニアがモデルYを分解することとなったようですが、その結果、「世界で最も売れている電気自動車」の主要な技術的シークレットが明らかになっただけでなく、トヨタのエンジニアはモデルYのシンプルかつ効率的な車両構造が、高度な製造能力によって構築されていることに驚かされたと伝えられています。

トヨタのエンジニアは「モデルYのボディを剥がすと、そこにあるのはまさに芸術品でした。信じられない」と語り、特に、外見は同じように見える初期バージョンと比較して、最新バージョンのモデルYの内部がいかに異なっているかにも驚かされたといいます。

テスラ・モデルY
テスラの1台あたり生産コストは2017年に比較して半分以下の43%にまで下がっていた!そのほとんどは製造工程と設計の最適化によってなされている

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具体的には、無数の部品やブラケットを排除することが可能なギガキャストの導入による車体の簡素化、クルマのフロアそのものとして機能する構造的なバッテリーパックといった製造上のブレークスルーが、トヨタのエンジニアたちを感嘆させたといい、これらによって数百の部品と最大100キロの重量が削減され、これと同時に航続距離が伸び、さらに全体的なコストが削減されているという試算も出されているようですね。

あるトヨタの幹部は「まったく異なる製造哲学だ」と言い、また別の幹部は「白紙のEVとして設計された新しいプラットフォームが必要だ」と付け加え、「デザイン・フォー・マニュファクチャリング」で知られるトヨタ、そして世界トップ企業であるトヨタのエンジニアや幹部からこういった発言が出ることは(トヨタの人たちがテスラに驚いた以上に)驚きです。

テスラ

つまりこれは、いかにガソリンやハイブリッドでは優れたクルマを作ることができるトヨタ(含む既存自動車メーカー)であっても、EVに関してはどれだけ遅れているかを示すものであり、トヨタのエンジニアは、(トヨタが)がテスラの電気自動車製造方法に追いつくためには、大きな飛躍が必要であると結論付けた、とも報じられています。

なお、テスラがトヨタに対して大きなアドバンテージを持つ主な分野は、専用プラットフォーム、先進のバッテリー、EV生産拠点の集約、そしてソフトウェア・デファインド・アーキテクチャーの4つであると報告されており、しかしトヨタにはそれがないというのが現在の状況ですが、「自身が何も持たない」ことに気づいたトヨタが今後どういった挽回を見せるのかについては非常に興味のあるところ。

ちょっと面白いのは、かつてトヨタがテスラと提携していたという事実で、しかしトヨタは「テスラから学ぶものは何もない」として提携を打ち切っており、もしこの提携が今でも続いていたならば、トヨタのEV界におけるポジションは今とは異なるものとなっていたのかもしれません。

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参照:Automotive News

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