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あるカーデザイナー「サイバートラックはとんでもない粗悪な製品になるだろう。もはやそれは修正不可能であり、何とかするにはいったんゼロに戻すしかない」

2023/09/05

あるカーデザイナー「サイバートラックはとんでもない粗悪な製品になるだろう。もはやそれは修正不可能であり、何とかするにはいったんゼロに戻すしかない」

| たしかにサイバートラックには懸念が多く、ともするとテスラの評判を徹底的に落としかねない |

ただし発売する以上、テスラとてなんらかの「対策」を持っているはずである

さて、待望のテスラ・サイバートラックがついに納車されようかという時を迎えていますが、サイバートラックについて「ひどい製品になる」という見解もあるもよう。

その「ひどい製品になる」という理由を理論立てて説明しているのはカーデザイナーのエイドリアン・クラーク氏で、同氏は「サイバートラックをまともな製品にするには、いったんゼロベースに戻して差設計するしかない」とまで語っています。

なぜサイバートラックは「ひどい製品になる」のか

そこでなぜサイバートラックがそんなにひどい製品になるのかについてを見てみたいと思いますが、その最大の理由は「ボディパネル」。

これについてはボディパネルのギャップが非常に大きいということ、それを10ミクロン単位で修正する必要があるという社内メールを送ったイーロン・マスク氏自身が認識しているとおりであり、しかしこの修正は「非常に困難な作業」です。

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そしてエイドリアン・クラーク氏はその「困難」な理由を以下の通りに説明しています。

生産的にはまったく不可能です。 ボディパネルの公差は、組み立てや公差スタックの変動を考慮して、ミリメートル単位で測定されます。イーロン・マスクが言うように、10ミクロン単位で修正したとしても、 車両の製造および運転中に影響を受ける車両の熱膨張と収縮によってその差は大きく狂います。イーロン・マスクが引き合いに出したソーダ缶かレゴは単一素材で作られており、外から衝撃を受け続けることは考慮されていません。

サイバートラックは2019年末に発表され、前例のない角張ったデザインによって、最初の公開以来、熱心な議論の中心となり続けています。

当初の予定では2021年に発売されるはずだったものの実現せず、その後「2022年にずれこむ」とされつつもまた実現せず。

その後も「2023年はじめ」に延期されるも現在は「2023年後半」にまで納車が延期されているわけですね。

この理由については(テスラいわく)「サプライチェーン」「他車種の改良を先に行う」「ベルリン工場の立ち上げを優先する」というものですが、実際には「品質問題をクリアできなかった」というのがネット上で囁かれている「真の理由」。※事実はどうなのかわからない

テスラ・サイバートラック

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サイバートラックを見るとすぐに、業界の私の知り合い全員が笑い始めました。 私たちは、彼らがそれを製品化できるわけがないと考えていました。こんなクルマは実現できない。なぜなら、衝突規制や歩行者衝突規制をパスできないし、さらに重要なことに、あの「真っ直ぐで平らなパネル」を作るのは非常に難しいからです。

クルマのパネルは大きな金属製の油圧プレスで加工されて作られているのですが、プレス機から部品が取り出されるときに形状を保持できる必要があるため、パネルには常にある程度の湾曲があります。 しかし、サイバートラックのパネルにはそれがありません。パネルを型押しして形状を維持するのに大きな問題が生じるでしょう。

さらにエイドリアン・クラーク氏は「実際に走行すれば、振動でパネルが歪んでくる可能性が高く、それを防止するためにテスラはなんらかの衝撃吸収剤を使用せねばならない」こと、オーナーがもしこのパネルを傷つけてしまったら(無塗装のステンレス製パネルなので)修理が非常に困難であり、パネル自体を交換するしかないことにも触れており、あらゆる面においてサイバートラックが「現実的ではない」と述べています。

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サイバートラックは常識を覆すのか?

ただ、こういった状況はテスラ自信がもっともよく理解しているはずで、しかしそれでもサイバートラックを発売する以上、さまざまな問題をクリアしているのかもしれません(そうでないと困る)。※イーロン・マスクCEOは、サイバートラックの製造がとんでもなく難しいことにも言及している

そしてこういった意見がある一方、数名のデザイナーはサイバートラックを非常に高く評価しており、その理由は「さまざまな要因にて、多くの自動車が日和った製品となっている中、サイバートラックはデザインを最優先し、それを押し通そうとしているから」。

テスラ・サイバートラック

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参考までにですが、デザインのために多くの困難を乗り越えた例だと「レンジローバー」があり、ご存知の通りレンジローバーは他のメーカーにはみられないほど「フラッシュサーフェス」なボディを持っています。

ただ、クルマのボディはスチールやアルミ、樹脂などさまざまな素材で構成されており、エイドリアン・クラーク氏の言うように熱収縮や振動によって「ずれたり歪んだり」するわけですね。

よって異なる素材を組み合わせる場合はそれなりの隙間や段差を設けて「ずれたり収縮しても目立たないよう」にするのですが、レンジローバーの場合は(イヴォークであってもヴェラールであっても)異素材を隙間なく、かつ段差もなく組み合わせており、これについては相当な苦労があったもよう。

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そしてテスラもまたそのデザインのために「不可能を可能にする」「非常識を克服する」技術を模索し実行してくる可能性が高く、それはアップル製品にも通じる手法かもしれません。

アップル製品もまたデザインを最優先し、「不可能」と言われた形状に金属をプレスする方法を模索したり、その公差を極限まで圧縮していますが、世の中を変えてゆくのは、既存技術でできる範囲で製品を作ろうとする会社ではなく、思い描いた理想の製品を実現するために新しい技術を模索する会社なのではないかと考えています(ただ、アップルとテスラの違いは、アップル製品の品質は高く、テスラではそうではないということではある)。

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参照:Fast Company

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