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EUにて自動車メーカーが「自社製品の生涯CO2排出量」の報告を義務付けられることに。トヨタが提出した数値に環境団体が「実際はこれよりも69%多いハズ」とクレームを入れる

2022/10/06

トヨタ・クラウン

| トヨタはそのクルマの寿命が長い(耐久性が高い)ことが災いしたようだ |

ただしこの環境団体の言うことをそのまま信じる根拠にも乏しい

さて、環境NGO「Transport & Environment」が発表した調査結果が衝撃的だとして話題に。

EUでは2023年から新しい新しい財務情報開示ルールが導入されるそうですが、この内容の一つに「自社製品の生涯CO2排出量の開示」という項目があるのだそう。

そしてこの「自社製品の生涯CO2排出量」につき、現時点でも自動車メーカー各社が提出しているものの、この環境NGOによれば、それら数値は実際よりも少なく報告されており、平均すると「実際は報告値より、少なくとも50%は多いはずだ」と指摘しています。

トヨタ
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自動車はその寿命が尽きるまで環境を汚染し続ける

Transport & Environmentによると、自動車メーカーの製品は、一旦生産されれば、その寿命が尽きるまで環境を汚染し続けるとしていて(これはもっともである)、しかし自動車メーカーが設定している(製品の)寿命が短すぎ、これは環境配慮に対する真っ向からの挑戦である、とも。

具体的に言うならば、たとえばトヨタは「トヨタ車の製品寿命を10万キロだと想定した数値を出している」。

つまり、トヨタは「製品を生産した後、10万キロを走行したら寿命を終える」という想定のもと、その数値を生産台数に乗じたものを提出したということになり、しかし実際はもっとトヨタ車の寿命は長いと指摘されていて(耐久性の高さが裏目に出たな・・・)、同環境団体によると「現実世界におけるの生涯CO2は、トヨタの出した報告書より69%多いはずだ」と非難しているわけですね。

ただ、トヨタは「まだマシ」なほうだといい、ヒョンデ+キアは実際の数値が報告よりも116%多くてはならず、BMWは81%多いはずという指摘がなされており、逆にトヨタよりも少ないのはメルセデス・ベンツの62%、ルノー=日産・三菱の61%、フォルクスワーゲンの58%。

フォルクスワーゲン・ゴルフ

環境団体は投資金額あたりの環境汚染指数も算出

そしてこの環境団体は「グリーン投資」という観点から、1ユーロあたりの投資につき、その企業の環境汚染度合いという指数を算出していて、つまりはクリーンな企業に投資をしようということなのだと思われ、しかし自動車メーカーに関するこの数値は「石油メジャーに相当するほど最悪だ」とも述べています。

平均値で言うと、石油メジャーは「1ユーロあたり5,000トンのCO2を排出していて、自動車メーカーは1ユーロあたり4,500トンのCO2を排出」しているそうですが、自動車メーカーによっても差があり、最も多くの(1ユーロあたり)CO2を排出しているのはルノー=日産・三菱で「ほぼ1万トン」、次にホンダの「約7,000トン」、フォードの「約6,800トン」、フォルクスワーゲンの「約4,500トン」、ステランティスの「約3,600トン」、ヒョンデ・キアの「約3,300トン」、メルセデス・ベンツの「約2,200トン」、トヨタの「約1,900トン」、BMWは「約1,800トン」という計算。※ステランティスよりも上の自動車メーカーは、BP、シェル、エクソンといった石油メジャーよりもCO2排出量が多い

BMW

これを見ると、トヨタとBMW、ヒョンデ・キアは「製品の生涯CO2排出量にサバを読んでいた」ものの、1ユーロあたりのグリーン度はけっこう低いと考えてよく、しかしルノー=日産・三菱は「サバを読んでいた上に1ユーロあたりのCO2排出量が非常に多い」ということに。

この数値がいったいどういったところに影響するかというと、「倫理的な投資観を持つ人々に対して、自動車メーカーへの投資をためらわせる」ことになり、さらに言えば自動車会社や石油メジャーの株式を金融商品に組み込んでいる証券会社やファンドマネージャーも「グリーンではない」という判断をされることになり、大手になればそういった評価がなされないよう、石油メジャーや自動車メーカーに投資しなくなる可能性があるわけですね(それによって石油メジャーや自動車メーカーに資金を回らないようにするというのが環境団体の狙いでもある)。

ただ、こういった環境団体の示す数値の正確性や信憑性、影響力について盲信することはできず、投資家としては冷静な判断をする必要がある、とは考えます(投資家にとってはカネが正義なので、環境団体の横槍によってメガネが曇るようなことはないと思うが)。

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参照:Transport & Environment

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