| これらの数字は潜在的に、ピックアップトラックの潜在需要がいかに大きかったかを示している |
おそらく、雨後のタケノコのようにこのフォロワーがどんどん誕生しそう
さて、フォードが発売したピックアップトラック、「マーヴェリック(MAVERICK)」が数々の珍現象を引き起こしていることが統計によって明らかに。
このマーヴェリックは「フォードでもっとも小さなトラック」であり、標準にてハイブリッドパワーユニットを積む「他社のトラックを含めても、もっとも燃費の良いトラック」であるとともに、ベースモデルの価格が19,995ドル(約288万円)から、という求めやすさを持っています。
そのサイズは全長199.7インチ(5メートル7センチ)、全高68.7インチ(175センチ)で、これまでフォードで最小だったレンジャーよりも11.1インチ(28センチ)短く2.1インチ(5センチ)低いというコンパクトさも大きな特徴だと言えますね。
アメリカというと「フルサイズ」ピックアップトラックが人気だが
なお、アメリカといえばフォードF-150のようなフルサイズのピックアップトラックが人気であり、これは「もっとも富豪に愛されるクルマ」としても知られるほど。
よって、多くの自動車メーカーがここにターゲットをあわせて新型車を投入していますが(テスラ・サイバートラックも同様のサイジング)、このフォード・マーヴェリックはそれとは全く異なる(むしろ逆の)セグメントというわけですね。
フォードのトラックグループマーケティングマネージャー、トッド・エカート氏は「マーベリックの商品提案は、他の追随を許さないものです。4ドアで大人5人が乗れ、標準装備のフルハイブリッドエンジンはホンダ・シビックを凌ぐ燃費を誇り、かつ週末の旅行やDIYのための十分な牽引力と運搬力を持ち、2万ドル以下から購入できます。マーベリックは、ピックアップトラックの現状と固定概念に挑戦しています」とコメント。
ちなみにフォードは(マスタングを残して)セダンやハッチバックなどの乗用車から撤退し、トラックとSUVに特化する戦略を採用していますが、ブロンコ然り、このマーヴェリック然り、とにかく「すべての顧客の要望を拾う」べくトラックとSUVの展開を進めていて、文字通り市場を制圧する勢いといった印象です(株価もそれを示している)。
マーヴェリックはフォードの狙い通りのヒット作に
はたしてマーヴェリックはフォードが目論んだ通りに現在大ヒットを記録しているわけですが、「珍現象」というのはその客層。
まず、マーヴェリックの客層の80%は「初めてトラックを購入する人」だそうで、これは今までのトラックが大きすぎる、燃費が悪いということで購入をためらっていた人が流れていると考えられ、これは理解ができるところでもありますね。
ただ、(ぼくにとって)予想外だったのは、その「80%のご新規さん」のほとんどがホンダ・シビック、CR-V、トヨタRAV4から流れてきていると報じられていること。
ピックアップトラックとそれらのクルマは全く異なるように思えるのですが、アメリカの消費者にとっては「競合するクルマ」だと目に映っているのだと考えられ、「燃費がよく、モノが乗るクルマ」を熱望していたということを読み取ることができそうです。
そしてもうひとつの珍現象(というか、これはフォードが狙ったものだと思われますが)については、マーヴェリックの顧客の60%が他メーカーからの買い替えであり、それら顧客が以前に乗っていたのは「トヨタ、ホンダ、シボレー」だということ。
トヨタとホンダについては「シビックやCR-V」「RAV4」からの流出ということになり、しかしシボレーから顧客を奪ったというのはちょっと意外(シボレーは結構多くのSUVやトラックを持っている)。
なお、現地の報道では、トヨタ、ホンダ、シボレーには、マーヴェリックのライバルに相当するクルマのラインアップがないというものもあるので、マーヴェリックは新しい市場を作り出し、今までに顕在化していなかった顧客の需要を掘り起こしたと考えていいのかもしれません(今までのシボレーの顧客は、豊富に見えるシボレーのSUVやピックアップトラックに満足していなかった)。
いずれにせよ、一旦そのメーカーを購入すると、多くの人は「また同じメーカーのクルマを買う」ため、他社の顧客を奪うことには大きな意味があり、そしてこのフォード・マーヴェリックはそこで大きな役割を果たしたということになりそうです(ここで取り込んだ顧客は、今後フォードの豊富なSUV/トラックのラインアップから次のクルマを選ぶ可能性が高い)。
合わせて読みたい、関連投稿
-
フォードが「もっとも富豪に愛される車」、F-150のEV版「F-150ライトニング」発表!「ドアストッパーのように見えるどこかの車とは違う」とテスラを牽制
| フォードはかつての「サイバートラックとの綱引き合戦」事件を未だ根に持っているようだ | 実際のところ、それぞれの数値はテスラ・サイバートラックを強く意識しているように見える さて、フォードが「アメ ...
続きを見る
-
「自動車ブランドへの忠誠心」ランキング公開!テスラがダントツの首位、そしてポルシェは昨年に比べ顧客からの支持を大きく失う
| テスラの首位は理解できるが、ポルシェの下落はちょっと理由がわからない | テスラは独自の市場と客層を形成している さて、プレミアムカーメーカーの「ブランド支持率増減ランキング」が公開。このブランド ...
続きを見る
-
「そのブランドをまた買う」普及ブランド1位はスバル、プレミアムブランドではレクサス。米統計にて日本のブランドがランキング上位を独占
| スバルの顧客は忠誠心が非常に強いことで知られる | レクサスの支持はクルマの品質に加え、その「サービス」も関係? さて、米国にてJDパワーが行った調査が「ちょっと面白い」結果に。これは「クルマを買 ...
続きを見る