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ベントレーが「オプション装着率97%」というフライングBマスコットの秘密に迫る!起源は1920年代、そして現代のマスコットは6代目、こうやって製造されている

2022/11/21

ベントレーが「オプション装着率97%」というフライングBマスコットの秘密に迫る!起源は1920年代、そして現代のマスコットは6代目、こうやって製造されている

| フライングBはしばらく廃止されている期間があった |

現在のフライングBの製造にかかるのは11週間、世界中の気候に耐えうる強度を持っている

さて、ベントレーのマスコットといえば「フライングB」。

これはスピード感あふれる「B」を視覚化したものですが、フライングスパーに(ボンネットマスコットとして)オプション設定されており、装着率はなんと97%なのだそう。

なお、ベントレーはこの「B」を非常に重要視しており、エクステリアだとサイドギルやテールランプ、インテリアだとエアコン吹出口などに反復ししようしていることで知られます。

そして今回、ベントレーはこのフライイングBマスコットをどうやって作るのかというコンテンツを公開しており、その製造過程を見てみましょう。

ベントレー・フライングBは現行バージョンで6代目

ベントレーの「フライングB(Flying B)」ボンネットマスコットは、1920年代半ばから様々なバージョンにて提供されており、現在のデザインはその6代目。

この最新フライングBは現行フライングスパーと同時に開発されており、ベントレーのデザイナーとエンジニアはフライングBの持つ芸術性を次のレベルに引き上げるという課題に取り組むことになったといいますが、これはベントレー史上初めて電子制御よる展開が採用され、収納時にはカバープレートによって覆われ、展開時には透明なアクリル製の翼の内部が照明によって照らされます(ドアのアンロック時にウェルカムシークエンスの一つとして点灯が開始される)。

なお、新しいフライングBは複数のデザイナーによっていくつかのタイプが製作されて取締役会に提出されて選考が行われ、その結果満場一致で選ばれたのがこのホー・ヤン・ホアン氏の案。

Flying B Production - 16

このフライングBはオーステナイト結晶構造を持つ316グレード・ステンレス鋼の一体成型品で、非常に頑丈、かつ極端な温度変化にも耐えることができるのだそう。

さらにモリブデンを配合することで耐食性を高めており、北極圏から赤道付近の気候、そして一年中風雨にさらされたとしてもその美しさを維持できる、と紹介されています。

ベントレー「フライングB」はこうやって作られる

この最新世代のフライングBにつき、製造はレスターキャスト社のインベストメント(消失蝋型)鋳造法で作られるとされ、この技術は、通常ガスタービンのブレードなどの精密部品にのみ使用されるようですね。

この鋳造法は、時間がかかるものの、砂型鋳造よりも厳しい公差、薄い壁、優れた表面仕上げを必要とする複雑な形状の部品によく使われる方法だといいます。

Flying B Production - 4

まずは溶けたロウを金型に注入し、水溶性のコアが2つのアクリルクリスタルの翼が収まる空洞を占め、セラミックのコアがワックス成形品に照明配線のための通路を作ることに。

Flying B Production - 6

その後、ワックスエンブレムを金型から取り外し、水溶性コアを溶かし、ワックスによる完璧な「フライングB」を成形します。

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次に、コロイダルシリカとアルミナを含むファインセラミック溶液の複数の層でワックスエンブレムを包みこみ、これらの層が固まった後、蒸気圧チャンバーでワックスを溶かし、エンブレムの形をした中空の空洞を持つセラミックモールドを残します。

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ここで、1600℃に加熱した溶融316ステンレス鋼をセラミック製の鋳型に流し込むことになりますが、鋼鉄が冷えて固まると、セラミックの外皮が取り除かれ、セラミックの芯は苛性溶液を使って加圧溶解されます。

Flying B Production - 9

その後はショットブラストや洗浄によって微量のセラミック材料を除去し、「エクストルードホーニング」と呼ばれる工程で内部の通路が配線の通過に十分なほど滑らかになるように調整を行うことに。

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さらにセラミック素材の残りカスをすべて除去し、部品を慎重に測定して必要な精密公差を満たした後、このフライングBは手作業による研磨に回され、この手作業による最後の仕上げが、滑らかなステンレススチールの深い光沢を引き出すことになるわけですね。

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その後はWCM Europe Ltd.によってクリスタルアクリルの羽、配線、発光ダイオードが組み立てられ、そこでようやくマスコットが完成。

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ベントレー「フライングB」はこんな歴史を持っている

そこでこの「フライングB」の歴史ですが、初期のベントレーのボンネットにはマスコットが装着されておらず、現存する最古のEXP2(のラジエターキャップ)に装着されていたのは「水温計」。

しかしベントレーオーナーから「ボンネットマスコットが欲しい」という要望が多数出ることになり、そこでベントレーが用意したのが翼を水平に構え、直立した真鍮製の「B」。※1920年代半ば

Flying B Production - 14

その後のデルビー時代(1931-39年)には、アーティストシャルル・サイクスによって小型で流線型のバージョンが製作され、このデザインはアールデコスタイルの前傾した単翼の「B」、かつ左右どちらから見ても「B」が正しく読めるようにファセットが施されていた、とのこと。

ただ、この単翼はオーナーに不評だったため、ファセット付き「B」デザインは、後方に向かう2枚の翼を持つものに変更され、ここで現在のフライングBの原型ができあがったようですね。

Flying B Production - 15

この”後方に傾いた”フライングBは、デルビー・ベントレーMRとMXシリーズの一部に短期間提供されたものの、これはおそらくスポーツカーであることを示すためだったといい、しかしこのデザインの欠点は「翼がボンネットの上に突き出ていること」で、ベントレーオーナーはボンネットを開けるときにマスコットを横にひねって凹ませる必要があった、とのこと(ちょっとどんか感じなのか想像がつかないが、そのままだと翼がボンネットの切り欠きに引っかかったのか)。

そしてこのデザインは1970年代まで改良されつつ継続され、しかしその後に導入された歩行者保護法によりソリッドボンネットオーナメントが禁止され、これによってボンネットマスコットが廃止されてしまうものの、2006年になるとアズールとブルックランズ向けとして「(法規に対応した)格納式マスコット」が復活し、そして2019年には現在の形としてリニューアルされ、「最高の芸術性」を発揮することとなったわけですね。

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参照:Bentley

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