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ゴードン・マレーが計画していた「軽量シンプル、安価なスポーツカー」、T.43の計画はヤマハの首脳陣交代によって消滅していた。「計画通りであれば、2万台は売れていたはずだ」

2023/08/24

ゴードン・マレーが計画していた「軽量シンプル、安価なスポーツカー」、T.43の計画はヤマハの首脳陣交代によって消滅していた。「計画通りであれば、2万台は売れていたはずだ」

| ヤマハは2019年に4輪事業の撤退を発表し、車両にかかわるすべてのプロジェクトを閉鎖している |

一方、2021年には4輪用エレクトリックモーターの発表を行い提供を開始

さて、マクラーレンF1のデザイナー(設計者)として知られるゴードン・マレー。

現在は自身の自動車メーカー「ゴードン・マレー・オートモーティブ」を設立し「T.33」「T.55」というハイパーカーを発売していますが、これらはいずれも数億円という価格設定を持ち、かつ台数が制限された限定モデルです。

なお、ゴードン・マレー自身はけしてハイパーカー志向なわけではなく、むしろ軽量コンパクトなクルマを好む傾向もあり、とくに英国の小排気量スポーツカーを愛することが知られています。

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ゴードン・マレーは「比較的安価な」軽量スポーツカーの発売を計画していた

そこで今回報じられているのが、ゴードン・マレーが発売を計画していた「軽量コンパクト、比較的安価なスポーツカー”T.43”の計画が潰えた」ということ。

このT.43は、フォード製のエンジンを搭載し、ゴードン・マレーの考案した車体構造「iStream(スチール製のパイプとカーボンファイバーを組み合わせ、比較的安価に軽量構造を実現できる)」を採用することにより、販売価格5万ドルを下回ることを目標に開発が進められ、「ロータス・エリーゼのようでありながら、日常的に使うことができ、乗り降りも容易で、ルーフがあって雨風をしのぐことができ、エアコンもよく効き、サウンドシステム、カーナビ、エアバッグも装備した」スポーツカーであったと言われます。

ただ、この上述の通り、このスポーツカーの計画は「もうなくなってしまった」ということになりますが、やはり気になるのがその理由。

なぜゴードン・マレーは小型軽量スポーツカー「T.43」の計画を放棄したのか

あらたにメディアが述べたところによると、それは「共同開発を行っていたヤマハの方針が(ヤマハの首脳陣の交代によって)変わり、ヤマハの協力を得られなくなったから」。

たしかにそれまでヤマハはなんどか(少なくとも2013年と2017年に)4輪車のコンセプトを提示し、かつゴードン・マレーの考案したiSteramを採用する「スポーツライド・コンセプト」については市販寸前だと言われたことも。

ただし2019年には急転直下、ヤマハは「4輪に関するプロジェクトをすべてシャットダウンする」とアナウンスしており、つまりゴードン・マレー・オートモーティブはこのあおりを食らってしまったということに。

ヤマハが重大発表。「4輪プロジェクトをすべて終了させる。クルマは我々の未来とはなりえず、今後も参入することはないだろう」

| ヤマハは2013年以降、東京モーターショーにて毎回4輪車を発表してきた | ヤマハが英国Autocarに語ったところによると、「クルマに関する全てのプロジェクトを引き上げ、停止する」とのこと。ヤマ ...

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実際のところ、ゴードン・マレーはT.43について「2019年に発売するはずだった」と語っており、さらには「年間5,000台を生産する予定だったから、もし発売されていれば、今頃は2万台が世に出ていることになるね」とも。

そして、「もしヤマハの代わりに、どこかの自動車メーカーが協力を申し出たら、T.43プロジェクトを復活させるのか」という問いに対してこう語っています。

いや、それはない。もう時すでに遅しだよ。今、時代が求めるのは電気自動車だ。もうT.43の居場所はない。

参考までに、一方のヤマハは「車体製造」という点では4輪への関与を行っていないものの、2021年には4輪用エレクトリックモーターを発表しており、これを自動車メーカーへと提供することを画策中。

ただしこのエレクトリックモーターがどれほどの納入先を見つけることができたのかについては定かではなく、新しいヤマハ経営陣の方針が「吉と出るか、凶と出るか」について知ることができるのは、もう少し先になるのかもしれません。

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参照:Road And Truck

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