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マクラーレンがバーレーン政府出資による投資会社の管理下に置かれるというウワサ。ただしボクはこれは朗報だと考える

マクラーレン

| これによってマクラーレンは様々な心配事が減り、開発速度を加速させることができる可能性がある |

マクラーレンが既存車種のみで生き抜くことは難しいものと思われ、少しでも早くSUVを発売するしかないだろう

さて、マクラーレンがバーレーン政府系投資ファンドのコントロール下に置かれる可能性がある、との報道。

マクラーレンはコロナウイルスのパンデミック以降急速、業績が悪化しており、2021年4月に本社とF1ファクトリーを(当時の為替レートにて約250億円相当にて)売却し、さらにはいくつかの子会社も手放しています。

ただ、本社を売却したからと言っても本社から出てゆく必要はなく、買い手(米グローバル・ネットリース)から「今後20年間、借り受ける」ことで今までと同じように施設を利用することが可能であるとも報じられています。

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ただしそれでもマクラーレンは存続のための十分な資金を獲得できていない

ただしマクラーレンはそれでも新型車の開発そして当面の活動に際して十分な資金を手に入れることはできず、その後にはF1チャンピオンマシンを含むヒストリックコレクションをおよそ1億ポンド(約181億円)で売却したと報じられているのですが、その買い主がバーレーン政府系投資ファンドである「ムムタラカット・ホールディング・カンパニー(Mumtalakat Holding Company)」。※ムムタラカット・ホールディング・カンパニーはバーレーン政府が100%出資した投資会社である

現在このムムタラカット・ホールディング・カンパニーはマクラーレンの発行済株式のうち60%を所有しており(2023年はじめに出資割合を拡大している)、今回新しく出てきた報道が「このムムタラカット・ホールディング・カンパニーが、マクラーレンの他の株主との交渉に入り、すべての株式を買い取ろうとしている」というもので、これが実現するとマクラーレンが完全にムムタラカット・ホールディング・カンパニーの支配下に置かれるということを意味します。

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なお、マクラーレンは2022年に今年春までに約1085億円の投資を(様々な投資家から)受けているものの、それでも2022年を180億円の赤字で終えていて、つまりは数百億円単位の投資では「焼け石に水」に近いのかもしれません。

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さらにマクラーレンは今年3月から9月にかけて110億円程度の資金を獲得したと報じられ、それでも(今までの経緯を見るに)現状を打破することが難しいのは間違いなく、というのも「アルトゥーラと750S、先日発売されたGTS」だけで黒字化するだけの利益を挙げるのは難しいと考えられるため。

単純に「1台あたり1000万円の粗利がある」として1億円を稼ぐには10台、100億円を得るには1,000台を販売しなければならず、そしてこれはあくまでも「粗利」なので、ここから借金を返したり、本社を借りている費用を支払ったり、新車開発のための研究開発費を捻出する必要があり、よって「1000億円の投資を得ても赤字になる」現状をひっくり返すにはドラスティックな策を練る必要があるのは間違いなさそう。

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マクラーレンがバーレーン政府管轄下になるとどうなるのか

そこで気になるのが「マクラーレンがバーレーン政府管轄下になるとどうなるのか」。

これについては「悪い方向には進まないだろう」と考えていて、というのもバーレーン政府およびムムタラカット・ホールディング・カンパニーも慈善事業を行っているわけではなく、利益を得るために投資しているから。

そして現状を見るに、「1万台くらいを売ってもおそらく黒字化しない」ことが見えており、そして現行ラインナップでそれ以上を継続的に販売することは難しく、よってなんらかの「売れる」新しいモデルを投入することが急務になるかと思います(スーパーカーラインナップのみで現在の危機を乗り越えることは不可能に近いだろう)。

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そして売れるモデルとはすなわちSUVですが、マクラーレンが少し前に示したように「(2028年まで)何年も」この登場を待つだけの余裕はなく、よってムムタラカット・ホールディング・カンパニーはSUVの開発を急がせ、場合によっては他社との共同開発を行わせることになるのかもしれません(ぼくだったらそうする)。

マクラーレン
マクラーレンはSUVを発売する前にまず「黒字化」「経営の安定化」を優先するもよう。よってSUVの発売はそれらを達成したのち、早くても2028年に

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そして「当面の利益」を稼ぎつつ安定化と立て直しを(これまでの計画よりも速いペースで)図ることになるかと思われますが、「これ以上、状況が悪化することはないだろう」ともぼくは考えているわけですね。

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参照:The Telegraph,  Sky News

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