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マクラーレン・アルトゥーラに試乗(1)。現時点ではもっとも高い質感とデザイン性を誇るスーパーカーの一台だと考えていいかもしれない【動画】

マクラーレン・アルトゥーラに試乗(1)。現時点ではもっとも高い質感とデザイン性を誇るスーパーカーの一台だと考えていいかもしれない【動画】

| 正直なところ、マクラーレン・アルトゥーラの内外装、そして運転した印象はボクの予想を遥かに超えている |

その細部に至るまでの「こだわり」、妥協を許さぬ作りはさすがレーシングファクトリーをルーツに持つマクラーレンならでは

さて、マクラーレン・アルトゥーラに試乗。

アルトゥーラそのものは2021年に発表されたものの、その後にマクラーレンCEOが交代することになり、新CEOのマイケル・ライタース氏がその品質に納得できなかったため、幾度の納車延期を経て最近ようやく納車が始まっています。

ちなみにマイケル・ライタース氏はフェラーリではプロサングエ、その前にはポルシェにてカイエンの開発を主導した人物であり、つまりは「技術畑」。

そしてマクラーレンCEO就任後にその製品群の品質を調査したところ、同氏の「眼鏡にかなう」ものではなかったといい、そこで勇気ある「アルトゥーラの納車延期」という決断を行ったわけですが、その甲斐あってアルトゥーラは素晴らしいスポーツカーに仕上がっており、「現時点では最高のプラグインハイブリッドスポーツ」だと言っていいかもしれません。

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マクラーレン・アルトゥーラ
マクラーレン・アルトゥーラが4度めの納車延期、4ヶ月遅れて9月から生産開始。理由は「品質確保のため」、最終テスト車が炎上する事例も

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マクラーレン・アルトゥーラはこんなスーパーカー

マクラーレン・アルトゥーラは上述のとおりプラグインハイブリッドパワートレーンを搭載するスーパーカーで、ガソリンエンジンは3リッターV6(120度)ツインターボ、そして8速デュアルクラッチ・トランスミッションとの間にエレクトリックモーターを挟み込み、これによって最高出力700馬力、最大トルク720Nmを発生します。

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車体そのものはカーボンファイバー製バスタブ構造(MCLA=マクラーレン・カーボンファイバー・ライトウエイト・アーキテクチャ)、サブフレームを介してフロントにダブルウィッシュボーン、リアにはマルチロンクサスペンションを接続し、ブレーキディスクにはカーボンセラミック、ボディパネルにはアルミニウムを採用することで車体を軽量に仕上げていることが大きな特徴(ドライウエイトで1,395kg)。※同じV6+PHEVパワートレーンを採用するフェラーリ296GTBの重量は1470kgである

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そのほか特筆すべきはバックギアが存在しない(後退はエレクトリックモーターのみで行う)こと、電制デフ(Eデフ)を搭載すること、アクティブエアロを「装備しない」こと。

パフォーマンス面について触れてみると、0−100km/h加速3.0秒、0−200km/h加速8.0秒、ゼロヨン10.7秒、最高速度330km/h、時速100キロから停止までに要するのはわずか31メートルなので、”ミドルクラス”のスーパーカーとしてトップレベルの性能を誇るということになりますね。

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なお、価格は3300万円に設定されているので「性能に比較すると割安」だとも考えることができそうです(しかも購入時にはオプション装着などの”縛り”がなく、極端にいえばノーオプションで発注できる)。

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そこで実車をチェックしてみた印象を述べてみたいと思いますが、まずはマクラーレンのスーパーカーに共通する「空気の流れを視覚的に把握することができる」ボディパネルを持ち、空気がどう流れ、どこから入ってどこから排出されるのかを見た目から理解でき、そして空気が「淀みなく」流れることも容易にわかるデザインを持っています。※マクラーレンのミニカーを真上から見てみると、その傾向がより顕著である

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視覚上のハイライトはこの「フロート構造を持つピラー(ヒドゥンピラー)」ですが・・・。

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この継ぎ目のない一枚物のリヤカウルもまたスペクタクル。

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つまり多くのスーパーカーのように「エンジンフード」が開閉せず、オイルの補充など軽い整備であれば黒いリアパネルに設けられたサービスパネル経由にて行います。

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そしてこのパネルは異常に薄く、これはもちろん軽量化のためだと思われますが、ヘキサゴン(六角形)状の”粗密”なホールはなかなかにオシャレであり、その両脇のハニカムメッシュも「単なる平面」ではなく立体的な加工がなされていて、こういった細かいところが「ちょっとプレミアム」という印象ですね。※同じ機能を果たすだけであればもっとコストを省略できたはずであるが、コストを投じてでもより質感の高い仕上げがなされている

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こういったダクト類もやはりオシャレ。

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リアグリルもまた「超薄い(つまり超軽量)」構造を持つものの、やはりアールがつけられるなど(機能だけではなく)デザイン性を高めるための配慮がなされています。

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さらにデザイン性について触れてみると、こういったスピーカーグリルもまた立体的で「高い加工技術と品質、デザイン性」を視覚的に主張する部分ですね。

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ドアインナーパネル部のスピーカーグリルも同様で・・・。

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エアコン吹き出し口のトリム同様、マットなメタル調の加飾がなされます(これらのパーツは細く薄く、かつツライチにセットされており、高い品質と技術力をうかがえる)。

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各種スイッチにも刻みが入るなど美観の向上に最大限の注力が払われており、これらはマクラーレンが”高級感”の演出に注力しているということが伝わってくる部分。

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各種スイッチ類にはクロームのリング。

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センタートンネルは非常に「細く」、これはもちろんロールセンターを最適化するために左右シートを可能な限り接近させるための手法です。

そしてスイッチの形状や仕上げ、トレイやドリンクホルダーの底面にもラバーが用いられ、滑り止めとアクセントを兼ねていると思われるエンボス加工が施されており、とにかく細部に至るまで抜かりがないのがアルトゥーラ。

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ちなみにエアコンのルーバーは「紙」のように薄く(こんなに薄いルーバーは初めて見た)、これも軽量化のためだとすると恐ろしい限りですが、それでも全く安っぽさは感じられず、むしろ円滑なエッジ、マットな処理によってプレミアムな印象を受けるほど。

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参考までに、どこを見ても「軽量化」がなされていることがわかるのもアルトゥーラの特筆すべき点で、たとえばフロントフードの「裏側」のパネルにまでも肉抜きがほどこされ、とんでもなくコストがかかっているクルマということがわかります(フードの開閉ヒンジにも肉抜きが見られる)。

こういった「設計者の意図」が感じられるスポーツカーはそう多くなく、しかしアルトゥーラは数少ないそのひとつもであり、幸運にも手に入れることができたならば、その細部をチェックしてみるのも面白いかもしれません。

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そのほか、外観上の特徴としては(マクラーレンにしては珍しく)アクティブエアロを持たず、かわりに「ダックテール」状のリアエンドや・・・。

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高速安定性を考慮して延長されたリアサイドなど。

いずれの形状も「何のためにそういった形にデザインされているのか」がひとめでわかるところはやはりマクラーレン。

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マクラーレン・アルトゥーラの内外装を収めた動画はこちら

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