>ロールスロイス(Rolls-Royce)

ロールス・ロイスはなぜ新色のピンク「モルガナイト」を追加したのか?単なる中国対策ではなく、そこには深淵なる、そして常人には理解できない理由があった

2023/07/17

ロールス・ロイスはなぜ新色のピンク「モルガナイト」を追加したのか?単なる中国対策ではなく、そこには深淵なる、そして常人には理解できない理由があった

| ロールス・ロイスの顧客、そしてそのクルマの使い方は常人とは全く異なる理論にて分析がなされる |

そして顧客の行動を的確に分析できたからこそ、ここまで業績を伸ばすことができたのだと思われる

さて、ロールス・ロイスは上海モーターショーにて「ピンク」の外装色を持つスペクターを展示していますが、このボディカラーは宝石にちなんで「モルガナイト」と命名されています。

上海モーターショーでこのボディカラーをデビューさせたのは「中国では(男性を含めて)ピンクが好まれる」ということ、さらに「中国のロールス・ロイスオーナーにおける女性比率が他の国や地域よりも高い」という事実を反映させたためかもしれません。※ポルシェもピンクの導入については中国市場を意識したものだとコメントしている

ロールス・ロイスが中国にて「スペクター」初披露!宝石からインスピレーションを受けた新色ピンク、そしてマットグレーとのツートーン仕様
ロールス・ロイスが中国にて「スペクター」初披露!宝石からインスピレーションを受けた新色ピンク、そしてマットグレーとのツートーン仕様

| ロールス・ロイスにとって中国は「非常に」重要な市場であることは間違いない | さらにこれからの電動化戦略において中国はもっとも大きな可能性を秘めている さて、現在中国市場は普及価格帯の自動車メーカ ...

続きを見る

ロールス・ロイスはなぜこのボディカラーを新しく設定したのか

そして今回、このモルガナイトを設定した理由についてロールス・ロイスのデザイン・ディレクター、アンダース・ウォーミング氏が興味深い見解を述べており、端的に言うと、それは「流行と先取りを表しています」。

「ピンクになりすぎず、ファッション感覚に訴える色が必要でした。メイクやチークをイメージして、この色合いに洗練さを加えました」とコメントしていますが、ピンクを設定する自動車メーカーの多くが「甘くなりすぎず、生生しくならないように」気をつけているといい、多くの場合ではメタリックを混ぜたり、パープルを混入すると言われています(これによって上品かつ高貴な色合いになることが多い)。

1156117

さらに同氏が語ったのは以下の主張であり、これはちょっと面白いと感じたところ。

ファッションとは、少なくとも衣服という意味では、創造的な表現と境界線を押し広げることにあります。つまり毎日着るものではないわけです。普通の人はファッションショーを見て、その服が馬鹿げているとか、実用的でないと思うかもしれない。しかし、問題はそこではない。ファッションデザイナーがリスクを冒さなければ、服は陳腐化し、意味のある変化を遂げることはないのです。

たしかにこれはちょっと目からウロコというか「この発想はなかった」という感じで、というのもぼくもパリコレの映像などを見て「だれが着るのコレ・・・」と考えていた一人だから。

1156122

JUN
JUN
たしかに白い内装ほど”実用性を欠く”ものはない!

ロールス・ロイスのオーナーは「毎日ロールスに乗るわけではない」

そしてアンダース・ウォーミング氏は以下のように続けます。

それはスペクターにおけるモルガナイトと同じことです。平均的な2ドアのロールス・ロイスのオーナーは、ガレージに平均7台のクルマ(さらにボートや飛行機も数台)を所有しているため、年間わずか3,000マイルしかそのロールス・ロイスに乗らない。この色に仕上げられたスペクターは、限られた走行距離の中で大胆な主張をするためのものであり、”毎日着る”普遍的な服ではないのです。

つまり、このモルガナイトの根底にあるのはロールス・ロイスの考える「ファッション」であり、”リスクを冒し、創造的な表現と境界線を押し広げる”ためのカラー設定ということになりますが、こういった理由でロールス・ロイスは今までにも「パステル」「ネオン」など、普通に考えると「だれが乗るのこんな色のクルマ・・・」というボディカラーを展開していた、ということになりそうです。

1156116

ロールスロイスが「高級ゴルフクラブに咲き乱れる花」をイメージした「パステルシリーズ」発表。レイス/ドーン/ゴースト各ブラックバッジに設定

| 発表されるのは高級リゾートクラブ、ペブルビーチにて | ロールスロイスが新たな限定シリーズとして「ペブルビーチ2019コレクション」を発表。当然ながらペブルビーチにて発表されることになりますが、こ ...

続きを見る

加えてですが、ロールス・ロイスは過去に「ファッション」をテーマにした限定シリーズを(ぼくの知る限りでは2回)発売しており、強くファッションを意識している、と考えていいのかも。

1156113

ロールス・ロイスがライムグリーンやミリタリーカラーのカリナン「インスパイアード・バイ・ファッション」発表!感度の高いパワーリッチに受けそうだ

| 発表されたのはアートバーゼルにて、最近はこのイベントに注目する自動車メーカーも多い | 日本だとあまり受け入れられそうにないが、北米や欧州ではビビッドなカラーのロールス・ロイスの人気が高いと言われ ...

続きを見る

ロールス・ロイスというと「シックで伝統的な」イメージがあり、そのボディカラーもホワイトやブラック、シルバーといった目立たない色が多いように思うものの、かねてよりロールス・ロイスのオーナーは「(ジョン・レノンに代表されるように)自身を主張するために」ロールス・ロイスに乗ることが多かったといい、そしてそれぞれの求める仕様を実現したいと考える人が大半であると言われます。

これが現代における「基本的に100%がオーダーメイド」とされるゆえんであり、BMWやメルセデス・ベンツ、ベントレーの客層に比較して10歳ほども平均年齢が若い理由なのかもしれませんね。

ロールスロイスは「はみ出し者、先見者、反逆者」のための車だった!ロールス自らがその歴史を語り、ブラックバッジは「破壊者だ」と語る
ロールスロイスは「はみ出し者、先見者、反逆者」のための車だった!ロールス自らがその歴史を語り、ブラックバッジは「破壊者だ」と語る

| てっきりロールスロイスは「人生アガリ」の人が乗る保守的なクルマだと思っていたが | どうりでロールスロイスの顧客の平均年齢が若いわけだ さて、ロールスロイスが「ブラックバッジ」シリーズを積極的に展 ...

続きを見る

参考までに、ロールス・ロイスが初のEVであるスペクターのボディ形状に「2ドアクーペ」を選んだのは「より実用的でないボディ形状」を選ぶ人のほうが積極的かつ新しいものに対する理解が高いからで、そういった人々をターゲットにしたほうがEVの販売を成功させることができる確率が高いと踏んだからだと報じられています。

ロールスロイス・ファントム
ロールスロイスの平均顧客年齢は43歳!同グループのミニやBMWよりも若くベントレーの56歳、メルセデス・ベンツの50歳よりもずっと下。「スペクターが2ドアなのは若者を意識したから」

| ロールスロイスが「成功した若者の必須アイテム」となったのは疑いの余地がない | おそらくロールスロイスの客層は今後も若返り続けるだろう さて、ロールスロイスは現在BMW傘下に属し、BMWグループで ...

続きを見る

よってこれから、ファッションショーなどで目にする奇抜な衣類についても、それは”リスクを冒し、創造的な表現と境界線を押し広げるための挑戦”であり、実用性とは対極にある、ある種の挑戦であると理解するように努めたいと思います。

あわせて読みたい、ロールス・ロイス関連投稿

さすがは「反逆者のための車」ロールスロイス!顧客が新車オーダーしたピンクの特別仕様カリナンを公開
さすがは「反逆者のための車」ロールスロイス!顧客が新車オーダーしたピンクの特別仕様カリナンを公開

| なかなかこのボディカラーでロールスロイスをオーダーする猛者はそんなにいない | そしてそのオーダーを受けるロールスロイスもまた「なかなかの」ものだ さて、「伝統」「紳士的」「高級」といったイメージ ...

続きを見る

アブダビにて、内外装が完全にピンク&ホワイトのロールスロイス・レイス。カスタム費用はいくら?

|一体誰が注文?アブダビにてピンクとホワイトのロールスロイス| ロールスロイスの正規ディーラー、アブダビ・モータースがホワイトとピンクに色どられたロールスロイス・レイスを公開。 先日は「トーンの違うゴ ...

続きを見る

ロールスロイス・ブラックバッジの限定モデル、ネオンライト
ロールスロイスが「初のネオンカラー」を採用した限定シリーズ"ブラックバッジ・ネオンナイツ"発表!ドーン、レイス、カリナンに設定

| まさかロールスロイスが純正にてこういったボディカラーを展開するとは | さて、ロールスロイスは「ブラックバッジ」なるBボーイ系シリーズを展開しており、これはグリルやバッジ類がブラックへと変更され、 ...

続きを見る

参照:CARBUZZ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ロールスロイス(Rolls-Royce)
-, , , , ,