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ブガッティの最高傑作、シロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」発表。車体には過去のブガッティ、そして車体を構成するパーツが描かれる「動く歴史絵巻」に

ブガッティの最高傑作、シロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」発表。車体には過去のブガッティ、そして車体を構成するパーツが描かれる「動く歴史絵巻」に

| ボディカラーは専用色のゴールド、そこでデザイナーが直接アートを再現することで「走る芸術品」が誕生する |

インテリアは左右で「過去と未来」を表現し、それぞれの革新を視覚的に表現

さて、ブガッティが先日予告していた「黄金時代をあらわす特別なブガッティ・シロン・スーパースポーツ」がついに正式発表。

ブガッティいわく「ブガッティがこれまでに手がけたオーダーメイドプロジェクトの中で、おそらく最も挑戦的なもの」であり、2年間にわたる革新的なオーダーメイドのクラフツマンシップの成果であるとともに、まったく新しい技術を駆使して、自動車の世界から純粋な芸術の世界へと昇華させた」という一台です。

「ブガッティのカスタマイズの無限大に近いレベルをさらに超え、顧客のクルマに対する野心的なビジョンを、デザインチームとの共同作業によって具現化した」とも表現されていますが、グラデーションに加え、ボディサイドには(壁画のように)ブガッティの歴史が描かれるという、まさに歴史的大作となっています。

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ブガッティ・シロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」はこうやって誕生した

今回、ブガッティはこのシロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」の”生い立ち”から語っていますが、ブガッティによると誕生のきっかけは以下の通り。

「ある重要な顧客が私たちのところにやってきて、話をするうちに、シロン・スーパースポーツとそのW16エンジンが自動車の世界における画期的な瞬間を象徴していると確信したのです。彼はそれを記念して、何か本当にユニークなことをしたいと考えました。私たちはブガッティの歴史を振り返り、エットーレ・ブガッティ、ジャン・ブガッティ、ローラン・ブガッティの時代など、ブガッティにとって最初の黄金時代を築いた数々の画期的な瞬間を再発見したのです。そしてもちろん、1987年からのブガッティの現代的な姿、ブガッティ・ブランドを定義するようになったこれらの時代のアイコンをピックアップしました。私たちのチームは、ブガッティのブランドアイコン45点のスケッチを直接クルマに手描きするというコンセプトを提案し、オーナーはすぐにそのアイデアに惚れ込みました。実現はとても簡単そうに聞こえるかもしれませんが、完璧な仕上がりと時の試練に耐えるものを実現するには、想像以上の忍耐と職人技が必要でした" 。

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シロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」の製作に際し、まずはブガッティの歴史とW16エンジンの複雑なエンジニアリングに造詣の深いブガッティ・コレクターがそのビジョンを提案することになりますが、ベースには(シロンの集大成とも言える)シロン・スーパースポーツを選び、エンジンそのものの素晴らしさに加え、このエンジンの誕生に至った歴史に敬意を表したいと考えたのだそう。

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このビジョンがブガッティに対して提示されると、ブガッティのデザインチームは、ブガッティの最も特徴的な、そして特別な作品を通してのみ語られる”ブガッティの歴史”を視覚化したいと考え、それがこのシロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」に描かれた歴史絵巻の出発点だと説明されています。

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ブガッティの元デザイン・ディレクター、そしてこのクリエイションの責任者であるアヒム・アンシャイト氏は、「私たちのお客様は非常にクリエイティブで、私たちはお客様の夢の実現をお手伝いすることに大きな誇りを持っています。このプロジェクトのビジョンと厳密さ、そして私たちが実現したかった幻想的なアイデアを考えると、”Golden Era”は、私と私のチームがこれまでに手掛けたパーソナライゼーション作品の中で、おそらく最も要求の高い作品です」とコメント。

17 BUGATTI CSS Golden Era

ブガッティが「19年間デザインを牽引したデザイナーが退任する」と発表。後任は内部から、そしてシロン後継は後任デザイナーによって2年前から開発され2024年に発表予定
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実際のところクルマの表面にこういったグラフィックを表現することは容易ではないと思われ、しかしそのカラーリングにて「黄金時代」が表現された上、祖父の代から芸術家を排出してきたブガッティ創業者、エットーレ・ブガッティの一族が持っていた創造性が感覚的に伝わってくるように思います。

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なお、ブガッティは「クルマではなく芸術品を作っている」と常々語っていますが、このブガッティ・シロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」はまさに博物館や美術館級の芸術品だと考えてよく、もしもエットーレ・ブガッティがこのクルマを見ることができたならば、「ブガッティもここまで来たか」と目を細めるかもしれませんね。

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ボディ上にはブガッティの歴史的なクルマ、そしてW16エンジンのパーツが表現される

このシロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」をオーダーした顧客は自身のビジョンを実現するためになんどもブガッティ本社に足を運んだそうですが(プライベートジェットで訪れたのかもしれない)、ブガッティのデザインチームとのやり取りの段階でさらに情熱がエスカレートしたといい、結果的に「ブガッティの比類なき遺産をとらえ、伝説的なブランドのマイルストーンを描いた美しく複雑なスケッチの構成によって語られる物語」が実現されることとなっていますが、創造の過程にて後からイマジネーションが加速度的に膨らんでいったことも紹介されています(クルマをオーダーするとき、どんどんオプションを突っ込んでしまう感覚に似ているのかもしれない。やりたいことが話し合いの過程において次々出てくる)。

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なお、このシロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」のハイライトは外装だけではなくインテリアにも見られ、助手席側には、1926年に発表され、最もラグジュアリーなクルマと賞賛されたタイプ41ロワイヤルや、史上最も美しいクルマとして広く知られるタイプ57SCアトランティックなどのアイコンが26枚の手描きのスケッチで描かれることに。

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これはまさに”ブガッティが新たな革新によって自動車の歴史を変えた瞬間のショーケース”だといいかえることができ、 運転席側には、EB110からヴェイロン、シロンまで、1987年以降のブガッティの再生と永続的な成功を19のスケッチで表現しています。

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そのほかエクステリアには史上最も先進的な自動車エンジンだと評される伝説のW16エンジンを生み出すために組み合わされた3,712個の部品を美しくシンプルに表現し、そのほかには「ホイール」など車両を構成するパーツも描かれているようですね。

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このシロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」を完成させたのはブガッティか新しく開設したパーソナリゼーションプログラム「シュールムジュール」のチームですが、これについてブガッティのマネージング・ディレクター、ヘンドリック・マリノフスキー氏は以下のように述べています。

シュール・ムジュールとは、直訳すると "仕立てられた "という意味です。私たちのチームは顧客と手を携えて、彼らが望むものを正確に作り上げ、それを現実のものにするために数ヶ月から数年にわたり緊密に協力します。各ステップ、すべての決断、そしてゴールデン・エラの場合は鉛筆の一筆一筆が、他のブランドにはできない方法でオーナーの期待を超えるために、オーナーの綿密な監督と意見によって完成したのです。

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そしてシュール・ムジュールのチームはこのプロジェクトのために、個々のスケッチのスケール(サイズ)、プロポーション、フォルムを正確に把握できるまで作品を磨き上げ、それらを組み合わせることで1つの美しい作品に仕上げています。

なお、この”アート”にはそれにふさわしいキャンバスが必要であり、そのために「ドーレ」と名付けられた”時代を超越した色合いを持つ”ゴールドが特注にて作られ、そこに「ノクターン・ブラック」のメタリック・バリエーションを組み合わせることで ”デザイナーがクルマに直接スケッチを描く” という困難なプロセスを開始するための完璧な下地が作られることに。

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ブガッティによれば、「ブガッティでは本物であることが最も重要であり、紙にスケッチする際に使用する鉛筆を実際に使用しなければ、これらのスケッチを本物の仕上がりにすることはできません。そのため、鉛筆を使用し、すべてのスケッチを手作業で、塗装の上に直接描くことができるプロセスを見つけなければならなかったのです」。

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もちろん、いかに経験豊富で熟練したデザイナーであっても、特別に依頼されたハイパースポーツカーのボディの上に「手描きでスケッチする」のは、非常に”気後れする”作業であることに変わりはなく、しかし鉛筆による最初の一筆から不退転の覚悟で臨むことによって「完璧を追求するための技術」を高めつつも(挫折、極限の情熱による試行錯誤を繰り返しつつ)400時間をかけてスケッチを完成させたのだそう。

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そのほかエクステリアだと、リアの「EB」エンブレムが金メッキとなっていたり、ホイールにもゴールドのハイライトが用いられたりと文字通り全てが「特別仕様」。

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ドアパネルに描かれるブガッティは「手書き」

なお、この各ドアパネルには、デザインチームのメンバーがレザーに直接描けるように、特注の塗料と細筆を使って3つのブガッティ・アイコンが手作業で描かれていますが、上述の通り現代の伝説であるEB110、ヴェイロン、シロン、そしてそれらにインスピレーションを与えた過去のアイコンであるタイプ35(世界最高のレーシングカー)、タイプ57 SC アトランティック(世界で最も美しい車)、タイプ41 ロワイヤル(史上最もラグジュアリーな車として名高い)が再現。

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つまりは「左右」にてブガッティの革新的な過去と革命的な未来が出会うという設定となっていますが、これによってブガッティのサヴォアフェール(匠の技)の縮図が再現されたということなのかもしれません。

加えて、これらが長期に渡ってその美しさを維持できないのでは意味がなく、ブガッティはこれらのディテールが時の試練に耐えることを保証するために、新しい方法と工程を取り入れたといい、こういった配慮もまた「数百年に渡り、そのクルマが存続すること」を前提に作られているブガッティならでは、ということになりそうですね。

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ブガッティ・シロン・スーパースポーツ「ゴールデンエラ」を紹介する動画はこちら

参照:Bugatti

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