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ブガッティが「19年間デザインを牽引したデザイナーが退任する」と発表。後任は内部から、そしてシロン後継は後任デザイナーによって2年前から開発され2024年に発表予定

ブガッティが「19年間デザインを牽引したデザイナーが退任する」と発表。後任は内部から、そしてシロン後継は後任デザイナーによって2年前から開発され2024年に発表予定

| ブガッティをデザインするということは、永遠に残る芸術品を作り出すことに等しい |

さらにブガッティはパーツ一つ一つ、そして「ボディパネルを外した時の美しさ」にも注意を払っている

さて、ブガッティが「19年間、ブガッティのデザインを率いてきたアキーム・アンシャイト氏が退任する」と発表。

今後アキーム・アンシャイト氏はブガッティ・リマックのCEO、メイト・リマックの(おそらくはパーソナルな)シニア・アドバイザーに留まり、それと同時に”ハイブリッド化されたシロン後継新型ハイパーカー”の発表に備えることになるそうですが、後任デザイナーには長年アキーム・アンシャイト氏のもとで経験を積んできたフランク・ハイルが就任することもあわせて公表されています。

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参考ブガッティのデザイナーが語る、「自分がデザインしたヴェイロンの中で、心に残る6モデル」。やはりブガッティはクルマというよりも芸術品だ

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ブガッティのデザイナー、アキーム・アンシャイトはこんな人

アキーム・アンシャイト氏はバイクレースの世界チャンピオンに3度輝いたハンス・ゲオルク・アンシャイト氏の息子として生を受け、20代前半までバイクのスタント・アクロバットとして活躍した後、カーデザインのキャリアをスタートさせたという「変わり種」。

モータースポーツの音と匂いに囲まれて育ったというバックグラウンドを持っており、芸術と透視図法に関しての天賦の才に恵まれていると評されることが多く、デザインアカデミー卒業後にはポルシェ・デザイン・ヴァイザッハのジュニアデザイナーへと職を見つけます。

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その3年後、フォルクスワーゲン・グループのバルセロナとベルリンにおける先進的なデザイン業務を率いることになり、2004年になるとブガッティのデザイン・ディレクターへと就任。

その際にヴェイロンのデザインはほぼ完成していたものの、製品ポートフォリオの急速なスタイル開発を行う必要があり、そこでアキーム・アンシャイト氏の指導のもと、ヴェイロン・グランドスポーツ・ヴィテスやヴェイロン・スーパースポーツといったバリエーションが誕生することに。

そのほか、磁器製の表面を視覚的に表現したという革新的なペイントを持つヴェイロン・ロル・ブラン、エレガントさの指標となったヴェイロン・エディション・エルメス、ブガッティの歴史を反映したレジェンド・エディションなどの特別仕様によって、オーダーメイドとクラフツマンシップの新たなレベルを開拓したと言ってよく、同氏の卓越したアイデアによってブガッティは飛躍的に知名度と売り上げを伸ばしたと解釈されています。

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今回のアキーム・アンシャイト氏の引退につき、ブガッティ・リマックCEO、メイト・リマック氏が発したコメントは以下の通り。

数年前、私がブガッティでの職務に就いて以来、アキームが次世代のブガッティ・ハイパースポーツカーを確立する上で極めて重要な要素であることは明らかでしたので、2021年に引退するという彼を引き止め、さらに3年間ブガッティに留まることを心から懇願しました。アキームは、世界で最も美しいクルマで知られるブガッティというメーカーのスタイル開発を成功に導いただけでなく、ブガッティというブランドを真の自動車ラグジュアリーのパイオニアへと進化させたのです。彼の細部へのこだわりと完璧さへの献身は、今日のブガッティのほとんどすべての部分に及んでいます。視覚的な品質認識、それに伴う素材哲学、お客様とのコミュニケーション、そしてその間にあるすべてのもの。彼は、私たちのブランドとお客様とのあらゆる交流が、デザインによって比類のないものになるように努めてきました。

ブガッティの創始者エットーレから受け継がれ、息子であるジャンのもたらした美しいデザインに込められたブガッティのアイデンティティに対するアキームの理解は、他の追随を許しません。多くを語らずとも、アキームの最高傑作であり、私が想像しうるブガッティの最も美しく正統的な進化です。アキームが私たちのアドバイザーとしてブランドを発展させ続けてくれることを光栄に思いますし、フランク・ヘイルがすでに手掛けた見事な仕事によって、ブガッティ・デザインの未来は最高の手に委ねられています。

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一方、ブガッティ・オトモビルのクリストフ・ピオションCOEは次のように語ります。

ブガッティのデザインは、最高のものだけが成し得る技術です。ブガッティをデザインすることは、超一流の人物だけが成し得る技なのです。1世紀にわたって自動車を象徴する傑作を世に送り出してきたという大きな重みを背負っているだけでなく、ミリ単位で完璧なパッケージングや、極限まで追求された空力・熱力学的要件といった複雑な要素もあります。W16エンジンを搭載し、世界最高速度を記録できるクルマを作るには、空気力学的な力とアクティブな温度制御のバランスを取ることが必要です。アキームは、これらの要求すべてをごく自然に技術的に理解し、必要性から美を作り上げることができる人物にほかなりません。

ブガッティに着任した当初、私は過去の有名なブガッティのパトロンたち、特にエットーレ・ブガッティとその息子ジャン、そしてロマーノ・アルティオーリ、特にフェルディナンド・ピエヒに誇りを持ってもらいたいと思いました。ジャンはスタイル・デザインの先見者であり、その生涯を惜しまれつつも閉じたことは、彼のスタイル・ビジョンでブランドを進化させるきっかけとなりました。私は、現代のブガッティを、ブランド認識とユニークな自動車の卓越性の頂点に立つ宝石へと発展させたかったのです。

ヴェイロン、シロン、そしてシロンの後継モデルのすべてに共通しているのは、公道用のレーシングカーではなく、グラン・ツーリスモ開発の最高峰であり、軽快なタイプ35、タイプ41ロワイヤルの豪華さ、そしてタイプ57SCアトランティックの比類なきエレガンスをミックスした魅力的なモデルであるということです。

エットーレとジャンが誇りに思うような場所へとブランドを進化させるために、ブランドとデザイン部門を支えてくれたすべての人々に心から感謝しています。

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ブガッティのデザインDNAはアキーム・アンシャイトによって昇華される

そこでブガッティのデザインを振り返ってみると、ブガッティには明確で紛れもないDNAが存在し、たとえばホースシュー(馬蹄形)グリルは、ジャン・ブガッティがタイプ57で効果的に使用したデュオトーン・スプリットと同様に、最も貴重なシンボルとして機能します。

一方で「ブガッティ・ライン」と呼ばれるサイドビューのラインは、現代のすべてのブガッティが一目でそれとわかるもので、ブガッティの個々のモデルに合わせ、長い時間をかけて微妙に進化することに。

馬蹄形グリルのアーチ型クラウンから車体上部を横切り、リアへと流れる表情豊かなセンターラインは、タイプ57 SCアトランティックの有名なリベットラインに由来するフルレングスフィンへのさりげないオマージュでもあるようですね。

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ブガッティのデザインDNAの中には「そのパフォーマンスへの挑戦と健全な相関関係の中で理想的に生み出されなければならない」という哲学も存在し、アキーム・アンシャイト氏の信念もまた、「真に美しい本物のカーデザインは、エンジニアリングが先にあってデザインが後になるようなものであってはならない」。

技術的な要件とデザインは同時に開発されるべきであり、それは特に、非常に複雑な空力学的および熱力学的要件を備えたブガッティの場合は特に顕著であるといい、時速400km以上の速度を可能とし、10個の独立したラジエーターと革新的な8.0リッターエンジンを搭載するクルマは、ダウンフォース、揚力、冷却のバランスを微妙にとらなければならず、これは同氏とそのチームの掲げるビジョン「Form Follows Performance」によって成し遂げられたものだと紹介されています。

さらにブガッティのデザイナーは、エンジニアと「ウィンウィン」の解決策を達成するため、最先端の自動車工学について非常に確かな理解を持っていなければならないとされ、機械式高級時計と同じように、この技術的なデザインプロセスのあらゆる部分が総合的に美しくなければならない、とも。

たとえボディシェルを取り外しても、ブガッティは芸術品であるべきだという考え方もその一つですが、創業者であるエットーレ・ブガッティ、その息子であるジャン・ブガッティが目指したように、一つひとつの部品が卓越したデザインの見本として独立することができるようにという考え方も貫かれているようですね。

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オーダーメイドや特別仕様車がブガッティのデザイン的限界を押し上げる

そしてブガッティの歴史において、クルマがオーナーの望みを完璧に反映させることは非常に重要なミッションであり、ヴェイロン時代の初期から、アキーム・アンシャイト氏は品質、素材、卓越したクラフツマンシップの限界に挑戦し、ワンオフや数台限りの特別な傑作を生み出すこととなっています。

この”個性化の時代”は、ヴェイロン・ピュール・サンから始まったとされ、カーボンファイバーのモノコックと磨き上げられたアルミニウムが見えるという無塗装の仕様は「ブガッティの素材へのこだわりを視覚的に表現した」とされ、カーボンファイバー、チタン、レザー、アルミニウムのように見えるものは「実際にそう」であり、素材を素材として表現するという、まさに芸術的な手法を採用したクルマだとも言えそうです。

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そのほか上述の「ロル・ブラン」はシロン時代に移ってもオーナーからの強い要望によって様々なバリエーションを生み出しており、ヴェイロン FBGパー・エルメスは、世界で最も有名なラグジュアリーメゾンのひとつであるエルメスとのパートナーシップによって誕生し、エルメスの工房でゼロからデザインされた特注のエクステリアと数々のインテリアを持っています。

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こういった手法はブガッティのデザイナー発信でしかなし得ないもので(つまりユーザーが思いつくものではない)、アキーム・アンシャイト氏は「こういったことができる」という技術的・デザイン的限界を自ら示したことでオーダーメイドの境界線を押し広げ、これによって多くの顧客が様々なパーソナリゼーションを依頼する環境を作り上げたとも考えることが可能です。

そのほか、アキーム・アンシャイト氏はディーヴォ、チェントディエチ、ラ・ヴォワチュール・ノワール、ボリード、ミストラルといった数々のバリエーションを生み出していますが、その過程では4ドアのガリビエール、そしてタイプ57 SCアトランティックのスタイルを取り入れたV8エンジン搭載クーペといった(市販化を前提としてたが、様々な事情でお蔵入りとなった)コンセプトカーを手掛けています。

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ブガッティのデザインは単なる「レトロ」ではない

アキーム・アンシャイト氏が現代のブガッティ・デザインにおいて挑んだのは、レトロなオマージュモデルや復刻モデルを作ることではなく、時代を超越したエレガンスのエッセンスを取り入れること。

たとえば、かつてのタイプ35の核は何か、タイプ57 SCアトランティックの決定的な特徴は何かを理解することが重要であり、これらのデザインを真に理解してこそ、それらを模倣するのではなく、文化的発展とブランド価値のまったく新しい時代のために、その美しさを再現したものをデザインすることが可能になる、とコメントしています。

たとえばタイプ57 SCアトランティックのリベット留めのボディパネルを直接コピーするのではなく、その目的にインスピレーションを見出すと語っており、「リベットはアトランティックにとって機能的な性能の決定であり、その生来の目的意識ゆえに美しかった」という解釈のものと、リベットの意味や、なぜリベットが当時使用されたのかを理解し、その意図を現代の技術と素材、製法、デザインによって再現するということになりそうです(このあたり、ブガッティのデザイナーはエンジニアリングに精通している必要があるとされる所以なのかもしれない)。

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ブガッティはもともと芸術家一家から生まれたブランドという背景を持っていて、そこへレースへの情熱と完璧さへの献身という価値観が加わるという歴史を持ち、これらの歴史は現在に至るまでアキーム・アンシャイト氏を鼓舞し続け、さらにデザインチームの全メンバーに植え付けられ、かつすべてのブガッティのデザインに刻み込まれているといいますが、これらの歴史はもちろん、ブガッティ・デザインの次の章を築く礎となることは間違いありません。

そして今回、ブガッティはシロン後継モデルについても触れており、この新型ブガッティのスタイリングを手掛けたのは後任のフランク・ヘイル氏。

すでに2年以上にわたってデザインが行われ、2024年に発表、そして2026年に発売(生産)がなされるというタイムラインも公開されていますが、この新しいブガッティのデザインはアキーム・アンシャイト氏から見ても「完全なるブガッティ」であり、そしてフランク・ヘイル氏に安心して任せることができるという確信を持っているからこそ、今回身を引くことが可能になったのだとくくられています。

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参照:Bugatti

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