| ポルシェ914はその多くをフォルクスワーゲンからのパーツ供給によってまかなっていた |
ポルシェがかつて販売していたスポーツカー、「914」。
この914は「ポルシェ初のミドシップスポーツ」という意味においてはエポックメイキングなクルマであり、ちょうど今年はその登場(1969年)から数えて50周年。
1690年代、ポルシェは911の下に位置するエントリーモデルを計画したのがこの914誕生のはじまり。
ポルシェとフォルクスワーゲンとの利害関係が一致し誕生したクルマ、それがポルシェ914
ただ、ポルシェは当時まだまだ生産量が少なく、新規にクルマを開発するとコストばかりがかさみ、結局は「エントリーモデル」としての価格訴求力を失ってしまうのが悩みどころ。
そして時を同じくし、フォルクスワーゲンも「タイプ34カルマンギア」の後継を計画していて、”ポルシェにパーツを供給し、ポルシェがカルマンギア後継を製造し販売すれば、そのぶん利益を得ることができる”と算段をつけ、ポルシェとの利害関係が一致してこの「ポルシェ914」が誕生することに。
そのためポルシェ914は、エンジン、リアサスペンション等にフォルクスワーゲン製のコンポーネントを採用。
ただしエンジンは911やビートルで採用された「リア」ではなく「ミッド」に移動し前後重量配分を最適化しているのが特徴。
なお、その後に登場する「ポルシェ924」もフォルクスワーゲンから多くのパーツを流用しているものの、パーツの選定や取り付け方法についてはポルシェならではのノウハウが活かされ、914ともども「ポルシェらしい」クルマに仕上がっています。
914に採用されたエンジンは二種類あり、ひとつはフォルクスワーゲン製の1.7リッター水平対向4気筒(80PS)、もうひとつはポルシェ製で911Tにも搭載された2リッター水平対向6気筒(110馬力)。
正確には、前者が「914」、後者は「914/6」と呼ばれます。
0-100キロ加速については914が13秒、914/6だと8.7秒。
当時から「フォルクスワーゲンとの共同開発」ということが広く知られていたようで、ニックネームは「ワーゲン・ポルシェ(これはポルシェの公式コンテンツにも記載されている)」。※リアのエンブレムも実際に「VW」と「PORSCHE」とのダブルネームだった
914のボディサイズは全長3985ミリ、全幅1650ミリ、全高1230ミリ。
日本での販売は1970年からで、その価格は911S」の1/3程度であったと言われます。
なお、安価に販売できたのは日本だけではなく、北米においてもその魅力的な価格設定、「ポルシェ」というネームバリューから人気を集め、一気にポルシェが普及するきっかけとなったようですね(1969年から1975年にかけ、115,631台の914、3,338台の914/6が生産された)。
ただしその頃から「911以外はポルシェではない」という風潮があったようで、「ワーゲンポルシェ」自体が半ば揶揄をこめた表現のように感じられ、その後の924でも「これは本物のポルシェではない」という見方も多かった模様。
そういった背景もあってか、ボクスター(986)が登場したときも「フォルクスワーゲンとの共同開発」「あれは本物のポルシェではない」という批判的意見が飛び交ったことも。
現在はそういった意見もなくなり、ボクスター含めほかの新しいライナップもポルシェファミリーとして認知されるようになっていますが、当時は911乗りから「ボクスターと一緒にしないで欲しい」と言われたり、コミュニティ自体も「911」「ボクスター」にて明確な線が引かれていて、今となっては「懐かしい」現象でもありますね。
914はポルシェにとっても「ポルシェをメジャーにした」クルマということで重要なモデルであると位置づけられ、「50 Years of the 914 – Typically Porsche」と題されたイベントが6月から開催される、とのこと。