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1967年製ポルシェ910がなんと3.5億円で落札される!一体何がこのポルシェ910を特別たらしめているのか【動画】

2023/06/13

1967年製ポルシェ910がなんと3.5億円で落札される!一体何がこのポルシェ910を特別たらしめているのか【動画】

| やはりモータースポーツに参戦し、成績を残した車両や、コンクールに登場した車両は高い価値を誇るようだ |

最近のポルシェはモータースポーツに注力しているだけに、過去のレーシングカーの価値もどんどん上がることになりそうだ

さて、ポルシェにとってのル・マン24時間レースは残念な結果となってしまいましたが、一方で同時期に開催されたオークションでは、ポルシェ910が250万ドル(現在の為替レートで約3億5000万円)という記録的な価格にて落札されることに。

そしてこのポルシェ910は「この価格に達するだけの」個性豊かな経歴を持っており、ここでその内容を見てみましょう。

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このポルシェ910はこんなバックグラウンドを持っている

資料によると、この1967年のポルシェ910は、1年間に27台生産されたうちの1台で、1971年まで社内の研究開発車両として工場の競技部門に保管されていた個体だと言われています。

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その後にはポルシェのワークス部門による改修を受け、この「シャシー910-022」はサンノゼのプライベーターに売却され、カリフォルニアSCCAの各種イベント、1972年のワトキンス・グレン6時間レース、1973年のデイトナ24時間レースに参戦したという記録も残ります。

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1973年半ばにはカーショップ/ディーラーであるヴァセック・ポラックが(もともとの6気筒から)8気筒エンジン(タイプ771)へと換装して次のオーナーに売却し、太平洋岸北西部のSCCAで活躍することになりますが、その後にはヴァセック・ポラックへと所有権が移り、1982年のモントレー・ヒストリックに出場するために改装されるまで同ショップが所有することに。

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その後マサチューセッツのオーナーに売却されてヴィンテージイベントにて走行するなどし、またその後にはスイスのスチュワードに売却され、ヨーロッパの歴史的イベントであるツール・オートに複数回出場しています。

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2022年には今回オークションへと出品した販売者によって取得されることになり、画像のホワイトへの再塗装、サイドウィンドウとタイヤの交換を含むリフレッシュが行われ、現在搭載されるエンジンはトリプルスロート式ウェーバー製キャブレターとツインスパークイグニッションを備えた2.0リッター(タイプ901/02)フラットシックス。

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トランスミッションは5速マニュアル、アルミキャリパー付きベンチレーテッドディスクブレーキ、調整式コイルオーバーサスペンション、13インチセンターロックマグネシウムホイール、レーシングシート、6点式ハーネスなどが装備されているそうですが、興味深いのはボッシュ製フューエルインジェクション、ツインプラグ式イグニッション、水平冷却ファンを備えた2.2リッターのタイプ771DOHC”フラットエイト”エンジンが別途付属すること。

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このポルシェ910は現在、ノースカロライナ州イースト・ダーラムにあるグルッペPコレクションの一部として保管されており、ヴァセック・ポラック、そしてこの車両の最初の個人オーナーによるレポート、FFSA認証書類、FIVA IDカード、ログブック、過去のモータースポーツに参戦した際の写真、ヨーロッパでのサービスインボイス(修理明細)、販売証明書が付属する、と紹介されています。

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ポルシェ910はこんなクルマ

ポルシェ910は1965年のオロン・ヴィラース・スパイダー・ヒルクライム・プロトタイプの進化版をベースとして設計され、906の後継モデルとして1966年に登場していますが、906の大型ボルトオンユニットに代わってフォーミュラ1スタイルの13インチホイールを採用したこと、取り外し可能なルーフパネルの装着、そしてこの構造に起因する(先代のガルウィング式から)前方ヒンジ式ドアを採用したことなどが大きな特徴。

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サーキットの特性に合わせて6気筒または8気筒エンジンを搭載することができ、1967年のニュルブルクリンク1000kmで上位4位を独占したほか、1967年のタルガ・フローリオでは優勝を飾るなど高い戦闘力を発揮しています。

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この個体に採用されるチューブラー・スペースフレーム・シャシーは、ポルシェの工場(競技部門)が保管していた時代に(8気筒パワープラントとの互換性のため)強化されたといい、その記録も残っているようですね。

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ファイバーグラス製のボディパネルは2022年12月にグランプリ・ホワイトでペイントされ、リアクラムシェルの下側とホイールウェルは、他の910や当時の写真をもとに、カスタムミックスさrたグレーの色調で仕上げられることに。

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その際、プレキシガラスのサイドウィンドウも交換され、ラップアラウンド・プレキシガラス・ウィンドシールド、イエロー・マーシャルレンズ付きフェアイン・ヘッドライト、、デュアル・サイドミラー、両脇のシェル・エンブレムなど、当時の特徴も正確に再現されています。

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ブラックの塗装が施されたマグネシウム製ホイールは六角ナットで固定され(センターロック)、装着されるタイヤはフロントが8.2/22.0-13、リアが10.5/23.8-13のエイボン製スリック(2022年に交換されている)。

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コックピットについては、レッドの表皮を持つバケットシートとサベルト製6点式ハーネス、運転席側ベンチレーションダクト、ヒンジ式ベントウィンドウ、シルマウント収納ネット、消火システムなどの装備がアナウンスされています。

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ステアリングホイールはMOMO製、そして8,200rpmのレッドラインを持つグリーンレターのVDO製タコメーターが備わり、センターダッシュには油温と油圧を監視するメーターが配置されるほか、助手席側のダッシュボード下にはレトロトリップ製のトリップメーターが取り付けられています。

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現在積まれる2.0リッター901/02フラットシックスは、フランスのガゼランにあるクルビレ・スポーツ社によって取り付けられたそうですが、ウェーバー46 IDAキャブレターにインテークトランペットを備えたデュアルキャブレター仕様となり、ツインプラグ式イグニッション、グラスファイバー製のシュラウドと冷却ダクト、パワープリント製マフラーと3インワン式エキゾーストヘッダー、デュアルクッキーカッターアウトレットなどが装備されることに。

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このエンジンが発生したパワーは、サイドマウントケーブルシフト機構とオイルクーラーを備えた5速マニュアルトランスアクスルによって後輪へと送られ、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがリバースロワーウィッシュボーン(シングルアッパーリンクとパラレルラジアスロッドを採用)、調整式ショックアブソーバーとアンチロールバーも採用されています。

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(別途付属する)2.2リッターのタイプ771フラットエイトには、デュアルオーバーヘッドカムシャフト、ボッシュ製機械式燃料噴射装置、吸気トランペットを備えたスライドバルブスロットルボディ、ツインプラグイン、(かの有名な)グラスファイバー製の冷却ファンなどが取り付けられており、これだけでも十分に鑑賞に耐えうるコンディションを持っているようにも。

この8気筒エンジンは、1973年からこの車に搭載され、1985年から1991年にかけてヴィンテージコンペティションで使用されたことが付属のログブックに記載されている、と紹介されています。

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このポルシェ910を紹介する動画はこちら

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参照:Bring A Trailer

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