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シンガーが700馬力の空冷ターボエンジンを搭載する「DLSターボ」を正式発表。ボディは超ワイド、モチーフは1970年代のレーシングカー、ポルシェ934/5

シンガーが700馬力の空冷ターボエンジンを搭載する「DLSターボ」を正式発表。ボディは超ワイド、モチーフは1970年代のレーシングカー、ポルシェ934/5

| シンガー・ポルシェ934/5は「ありえないほどの」リヤフェンダーとリアウイングを備える |

購入者はサーキット志向の「トラック」、公道仕様の「ストリート」を選択可能

さて、昨日「なにか特別なものを発表する」としてティーザー画像を公開したシンガー・ヴィークル・デザイン。

そしてついにその「特別なもの」、つまりこのポルシェ934/5モチーフのレストモッドを公開しています。

なお、シンガー・ヴィークル・デザインは964世代のポルシェ911をベースにしたレストアパッケージ「クラシック」の受注を終了させ、そのかわりに主軸に置いたのが「DLS(ダイナミクス&ライトウェイトスタディ)」そして「ターボスタディ」。

そして今回の新しいレストモッドは「DLSとターボスタディとの融合」という、文字通りの特別なクルマとなっています。

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「ダイナミクス&ライトウェイトスタディ・ターボ」はこんなクルマ

そこで今回公開された「ダイナミクス&ライトウェイトスタディ・ターボ=DLSターボ」を見てみると、まずボディタイプは2種類が存在し、おそらくは「この大きなリアウイングを持つ車両を合法に登録できない国や地域向け」として、この”控えめな”スポイラーを持つタイプが考案されたのでは、と考えています(これらについては”ストリート”と”トラック”という呼称が与えられている)。

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インスパイア元となったポルシェ934/5は1976年に登場した、ざっくりといえば「911に930ターボのエンジンを積んだレーシングカー」で、934はFIA定めるところのグループ4規定に、そして935はグループ5規定に沿って設計・製作がなされることに。

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ポルシェ934はCAトランスアメリカン・シリーズにてチャンピオンに輝き、935は世界メーカー選手権やIMSA GT選手権などで輝かしい戦績を残し、当時「無敵」を誇ったクルマとして多くの人の記憶に刻まれています(日本では、タミヤが934をラジコンカー化して発売していて、それを覚えている人も多いと思う)。

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そして「ポルシェ934/5(下の画像)」については、934と935の中間のようなスペックを持つレーシングカーで、エンジンはカレラ3.0RSRに積まれる911/75、それをターボチャージャーにて加給して485馬力を発生。

プライベーターにとっても人気の高い個体であったと言われ、あわせて400台が生産されたと言われます。

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今回シンガー・ヴィークル・デザインが発表したDLSのターボを見るに、ポルシェ934/5に装着されていたBBS製メッシュホイール、そしてホイールカバーもしっかり再現され、しかし何よりも特徴的なのはこのリアウイング。

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シンガー・ヴィークル・デザイン創業者であるロブ・ディッキンソン氏は、「私の父の友人が1977年のワトキンス・グレン6時間レースの記録映像を見せてくれたのは、私が12歳のときでした。見慣れたポルシェ911の顔を持っているのに、ありえないほど張り出したリヤフェンダー、そこに大きく開いたインテーク、さらに巨大なダブルプレーン・リアウィングを備えるという姿に私は衝撃を受け、これが911のもうひとつの人生であり、ポルシェ911のレーシングカーなのだと実感したのを今でも覚えています。シンガー・ヴィークル・デザインを創業して以来、私はその瞬間に戻り、クライアントと協力し、常に934/5というクルマを讃えたいと思ってきたのです」。

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かくして今回、その願いがようやく形になるわけですが、このオレンジのボディカラーは「イエーガーマイスター」をイメージしたものかもしれませんね。

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シンガー・ポルシェ「DLSターボ」はこんなスペックを持っている

そしてこのDLSターボのスペックを見てみると、搭載されるエンジンは「9,000回転にて700馬力以上を発生する」3.8リッター4バルブツインターボ・フラットシックス。

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これはポルシェのレース用エンジンを設計してきたエンジニア、ハンス・メツガー氏の協力を得つつ、シンガー・ヴィークル・デザインとウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングとが共同開発したもので、DLSに積まれるNA版(500馬力)をツインターボで加給したもの。

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製作に際しては、ベースとなる964世代のポルシェ911をすべて分解し、ベアシャーシを洗浄したうえで補強し再構築。

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そして強化されたエンジンやトランスミッション(6速マニュアルのみ)、サスペンションやブレーキシステムを組み込み、そのうえでカーボンファイバー製のボディを架装しています。

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選択できるのはこの凶暴なリアウイングを備える「DLSターボ トラック」と・・・。

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ちょっとおとなしく上品は「DLSターボ ストリート」。

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画像を見る限りでは、リアウイングの他にフロントバンパーにも若干の相違があるようですね。

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シンガー・ヴィークル・デザインによると、「トラック」は”調整可能なアッパークロスメンバーを備えたハイダウンフォースリアウィングと、大型スプリッターを備えたユニークなフロントエンド”を装備し、「ストリート」だと”ダックテールリアスポイラーとロードラッグスペックのフロントマスク”が装着されている、とのこと。

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ただし両者の間には(プレスリリースに記載される範囲では)エアロパッケージ以外の違いはなく、よってオーナーは容易に「どちらの仕様にも」コンバートできるのだそう。

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実際のところ、各種エアインテークやエアアウトレットの位置や機能は同一だと紹介されており、基本構造は同一だと考えられます。

なお、サスペンションは両社とも特注ダンパーを備えたサーキット指向のセッティングを持ち、ブレーキシステム(ローター)はカーボンセラミック、ホイールはフロントは19インチ/リヤ20インチ、(センターロック採用の鍛造マグネシウム)、装着されるタイヤはミシュラン・パイロット・スポーツ・カップ2もしくはカップ2 R。

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シンガー・ポルシェ「DLSターボ」のインテリアはこうなっている

そしてこちらがシンガー・ポルシェ「DLSターボ」のインテリア(トラック)。

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見るからにレーシーな仕様を持ち、「ターボスタディ」よりも「DLS」の印象が濃いようですね。

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一方でストリート仕様のインテリアはエレガントな印象。

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ただしカーボン製シェルを持つバケットシートやロールケージなど「トラック」仕様と同じ構成を持ち、しかし仕上げによって大きく雰囲気をシフトさせているようです。

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現在公開されているのはCGにとどまり、実車はグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(7月13日から16日まで開催)もしくはモントレー・カー・ウィーク(8月)にて公開される予定。

価格についてはアナウンスされていないものの、シンガー・ヴィークル・デザイン最上位スペックを持つだけあって「価格も最上位」であることは間違いなく、金銭的な理由によって”注文できる人が限られる”クルマなのかもしれませんね。

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