1982年以来開催が継続されてきた「VWゴルフ祭り」。会場が「ガソリン車が集まるのを許容できない」として環境上の懸念を理由に受け入れを拒否、その歴史が途絶える

｜　この懸念が払拭されれば再度開催の可能性もありそうだが、まずそれは難しいだろう　｜

加えて、同様の判断を行う自治体が続出するものと思われる

さて、フォルクスワーゲンはオーストリアのヴェルターゼー（Wörthersee）にて1982年以来、毎年ゴルフのファン集う「GTI フェスト」を開催しています。

名称こそは「GTI」ではあるものの、今ではGTIを超えて様々な世代、様々なグレードのゴルフが集まり、オーナーがそれぞれの自慢のゴルフを披露したり、フォルクスワーゲンもここで自社によるカスタムカーを披露するのが通例となっているわけですね。

環境上の理由によって「ゴルフ祭り」の開催が終焉を迎える

ただし今回、毎年その会場となってきたヴェルターゼーの自治体がこのゴルフ祭り「GTIフェスト」の開催を拒否したと報じられており、その理由はお察しの通り「環境に起因する」という理由です。

つまりはガソリン車が集まって楽しむイベントを容認できないということで、現地自治体は今回発表したプレスリリースにて「今後数年間は従来の主要な自動車イベントを開催しない」と明確に言及しており、このイベントがもたらす ”環境と生態系の保全への懸念” が自治体の価値観に合わなくなったこと、1982年にはわずか100人からはじまったこのイベントが、今では数十万人規模にまで膨れ上がったため、様々な問題が生じたことに触れています。

マルクス・ペルダッハー市長は「地域密着の精神に基づき、数日間滞在する人も一生滞在する人も、地域に住むすべての人に利益をもたらす魅力的で持続可能な生活空間を創造することに取り組んでいます」と述べていますが、これは要するに「来場者が巻き起こす現地の人々、環境とのトラブル」を指しているのだと思われ、この3年間はコロナウイルスのパンデミックによって開催が見送られていたにもかかわらず、ゴルフ愛好家が現地に集まり、そしてトラブルを起こし、場合によっては現地警察の介入を受けたことなどが今回の決断に影響したもよう。

なお、今回の決定は（プロモーションやファン育成の場としてこのイベントを支持・支援してきた）フォルクスワーゲンにとっても痛手となるのは間違いなく、フォルクスワーゲンの広報担当者によれば「ヴェルターゼーでの伝説的なGTIミーティングがこのような形で行われなくなることは残念です。今後、GTIファンのコミュニティをどのようにサポートできるかを現在調査中です。最も忠実な顧客と直接触れ合うことができるため、コミュニティを維持することは我々にとって非常に重要です」とコメントしており、このGTIフェストにかわるなんらかのイベントの開催を検討しているもよう。

一方、ヴェルターゼーの自治体は「環境目標に合致するのであればイベントを受け入れる可能性」についても示唆していて、もしゴルフが「ピュアエレクトリックに切り替わり」、参加するクルマがすべてカーボンフリーとなり、さらに参加者が”お行儀よく”振る舞えば、「再度開催の可能性」も残されており、しかしそれはイベントの性質上、ちょっとむずかしいのかもしれません。

加えて、今後ヴェルターゼー同様の決定をくだす自治体が続々登場することも容易に想像でき、自動車イベントのあり方も今後大きく変わることとなりそうですね。

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