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VWのデザイン責任者「今のデザインは変更しなくてはならないでしょうね」。IDシリーズの販売不振はその内外装デザインにあるとついにVW内部でも認識される

2023/07/19

VWのデザイン責任者「今のデザインは変更しなくてはならないでしょうね」。IDシリーズの販売不振はその内外装デザインにあるとついにVW内部でも認識される

| VWは先日も最新モデルに採用されるタッチ式インターフェースの問題を認識し、変更をアナウンスしたばかりである |

現在VWの販売不振は非常に深刻であり、社内でもその理由を探っているのだと思われる

さて、フォルクスワーゲンのデザイン責任者、アンドレアス・ミント氏が「そろそろフォルクスワーゲンのEVブランド、IDシリーズのデザインを変えねばならない」とコメント。※同氏はベントレーからVWへと移籍したばかりで、自身の手腕を示すためになんらかのチャレンジを行う必要があると認識しているものと思われる。VWグループはドライなので結果を出さないとすぐに更迭される

このIDシリーズは未来的な要素を盛り込んだ「従来のフォルクスワーゲン車とは異なる」デザインを持っていますが、その理由はいくつかあり、まず大きなものとしては「ディーゼル不正事件のイメージを払拭するため、車両の外観を一新したかったから」だと言われています。

日本ではもうほとんどの人が忘れているかと思われるものの、環境意識の高い欧州では「VWは利益のために人々を欺き、環境を破壊に追い込もうとしている」というイメージが色濃く残り、アウディとともに現在でも多数の裁判が継続中。

アウディ
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そしてフォルクスワーゲンは現在の電動化シフトについて(ディーゼル不正事件のイメージから脱却する)100年に一度のチャンスだと捉えており、この機を利用してブランドシフトを図ろうとしていたわけですが、思ったよりもIDシリーズが売れず、結果的に旧来のイメージから脱却することができない状態にあるわけですね。

VW
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フォルクスワーゲンはIDシリーズのデザインを「アーリーアダプターのため」だと説明

ただ、今回アンドレアス・ミント氏が説明したのは「IDシリーズの先進的なデザインは、ガソリン車からのシフトを考えているアーリーアダプターのためのものであった」とコメント。

このアーリーアダプターとは「イノベーター理論」における消費行動タイプのひとつであり、「新しいものを積極的に取り入れる傾向がある人々で、消費者全体の13.5%存在する」と言われます。

ちなみにアーリーアダプターよりも早く新しい製品に飛びつくのは「イノベーター(全体の2.5%)」、そしてアーリーアダプターの後に新しい製品を受け入れるのは「アーリーマジョリティ(34%)で、この人々は平均よりは積極的に新しい製品に馴染もうとする人々です。

そしてこの後、「その製品が広く浸透してから」ようやく手を出す人々がレイトマジョリティ(34%)で、最後まで新しいものに否定的で拒否反応を示す人々が「ラガード層(16%)」。

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アンドレアス・ミント氏が言うには「EVは今や世界市場の15%、中国では50%以上を占めています。これはもうアーリーアダプター向けのビジネスではありません」。

よって、アンドレアス・ミント氏は「わざわざEVであることを強調するようなデザインを持つEVを発売する必要はない」とも述べており、つまりこれからのEVは "奇妙に変わった "外観である必要もない(普通でいい)、と捉えているようですね。

参考までにですが、アルファロメオのデザイン責任者、アレハンドロ・メソネロ=ロマノス氏もアンドレアス・ミント氏と同様のコメントを発したことがあり、今後こういった考え方は「業界標準」となるのかもしれません。

アルファロメオ
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フォルクスワーゲンのデザインは「より現実的なもの」へ?

実際のところ、直近で公開されたID.2 Allコンセプトは「比較的ガソリン車に近い」デザインを持っており、これが今後のフォルクスワーゲンの方向性を示すクルマである可能性も。

そしてこのID.2 Allコンセプトのデザインは「おおむねポジティブであった」といい、これによってフォルクスワーゲンはますます現在のIDシリーズの持つデザインから離れようという決意を固めたのだとも考えられます。

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さらにアンドレアス・ミント氏は「インテリアデザインにも変更の必要性を感じている」と述べ、というのもIDシリーズの硬くて安っぽいプラスチックがあまりに不評だから。

なお、ドイツの自動車メーカーはあまり「コストを抑えつつも洗練されたデザインを維持する」ことがあまり得意ではないように見え、逆にこれが得意なのはシトロエンだと感じています。

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ただ、アンドレアス・ミント氏が目指す目標は少し別のところにあるようで、というのも同氏は「フォルクスワーゲンを90年代のゴルフやパサートのようにすること」が自身のヴィジョンであると語っているため。

そしてその意図は「当時のフォルクスワーゲンのクルマは期待以上に素晴らしく、愛着が湧いてきます。私たちの目標は、"愛 "のブランドになることです」とのことで、つまりはそのオーナーが感情移入できるクルマを目指す、ということなのかもしれません(たしかに90年代のゴルフのファンは非常に多いように思うが、それ以降のゴルフにはあまり熱心なファンが見られないように思う)。

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参照:Motor Trend

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