| コンパクトEVは仁義なき価格戦争へと突入、既存自動車メーカーはテスラや中国車に対抗する必要に迫られる |
ID.2 ALLでは「未来っぽさ」よりも「親しみやすさ」が追求されているもよう
さて、フォルクスワーゲンが予告通りにエントリーレベルのコンパクトEV、「ID.2 all」を発表。
現段階ではまだコンセプトカーにとどまるものの、2025年に欧州市場向けに発売される新型車を予告したものだといい、テスラが計画しているエントリーモデル同様に「25,000ドル以下」での販売を目標にしている、と言われます。
なお、フォルクスワーゲンは2026年までに新型EVを10車種発売する予定を持っており、このID.2 allはその中のうちの1台ということになりそうですね。
ID2 allは「ゴルフのように室内が広く、ポロのように手頃な価格帯のクルマに」
このID2. allの至上命題はどうやら「安さ」にあるようで、ということはフォルクスワーゲンが満を持して投入したEV、ID.3が思うように売れず、その理由は価格にあると判断したのかもしれません。
VWはID.2 allについて、「ゴルフのように室内が広く、ポロのように手頃な価格帯のクルマになる」とコメントしていますが、進化型のMEBエントリープラットフォームを採用し、IDモデルとしては初の前輪駆動になるもよう。
全長4,050mm、全幅1,812mm、全高1,530mm、ホイールベースは2,600mmというサイズを持ち、フロントにエレクトリックモーターやコンバーターなど、エレクトリックパワートレイン一式を押し込むことでリアトランクスペースを確保しており、490〜1,330リッターという荷室容量を確保可能だと紹介されています。
搭載されるのは222馬力を発生するエレクトリックモーターで、時速100キロまでの加速は7秒以内最高速度は時速160km、WLTPに基づく(1回の満充電あたり)航続距離は最大450kmに達します。
ID2.allはフォルクスワーゲンの顧客にとっても親しみやすいデザイン言語を持っていて、たとえばCピラーは初代ゴルフからインスピレーションを得てたもので、ID.3に比較しても「フォルクスワーゲンっぽい」印象を持つもよう。
フロントは、ヘッドライトの間にボディ幅いっぱいに広がるのライティングエレメントを配しており、リアだとシンプルなテールライトを備え、しかし先進性の演出も忘れていないようですね。
ID.2 allのインテリアはこうなっている
そしてこちらはID.2 allのインテリア。
12.9インチのタッチスクリーン・インフォテインメント・システムを採用しており、このスクリーンの下にはボタンを備えた新開発のエアコン用コントロールパネルがあり、センターコンソールにあるコントロールノブでメニューを操作するという方式を採用しています。
さらにこのコントロールパネルの下にはオーディオの音量を調節するノブを設置して現在のIDシリーズにて物理ボタンがないことへの不満に対応しており、評判が良くなかったステアリングホイールの操作系についても、サムホイール1つと各スポークに2つのボタンというシンプルなレイアウトへと変更されているようですね。
なお、センターコンソールやドアインナーパネルのアームレストには「フローティング構造」を用いています。
加えてジャージー調素材が貼られている面積がけっこう広く、これはおそらく「樹脂部分が安っぽい」と指摘されていたことへの対応だと思われ、フォルクスワーゲンは真摯に不満を受け止めて改善策を提示してきたということもわかります。
参考までにですが、フォルクスワーゲンは以前から「安価なEV」の発売を考えており、2021年にも同価格帯、そしてフロント駆動というレイアウトを持つ「ID. Life」コンセプトを公開したことも。
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ただしこれはフォルクスワーゲンの役員に思いっきり不評だったといい、それが遠因にて、このクルマをデザインしたヨゼフ・カバン氏は閑職に追いやられたという報道もなされていますね。
ただ、価格や構造的な類似性を考慮するに、今回発表されたID.2 Allは、このID. Lifeの「(デザインを変更した)進化版」と考えていいのかもしれません。
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