アルファロメオに悪夢が襲いかかる。新型SUVを国外で作ることにイタリア当局が待った。「イタリア以外にて、イタリアを連想させる製品を作ることは違法である」

｜　実際のところ2003年にこの法律が導入されており、現実的に「違法」である可能性が指摘されている　｜

アルファロメオは名称の変更や生産地の変更、あるいは別の対策を考えねばならない

さて、アルファロメオはつい先日、新型コンパクトSUV「ミラノ」を発表したばかり。

なお、イタリア人は自国の食べ物や文化、そして景観などに非常に強い自信を持っており、様々な製品にて（たとえばイタリア国旗が掲示されるなど）それが強調されているわけですが、この「ミラノ」というネーミング（MiToも同様）、そしてフェラーリの「ローマ」「458イタリア」といった一連のネーミングもそれを表しているのかもしれません。

発表早々、アルファロメオ・ミラノが窮地に陥る

そこで今回報じられているのが、この「ミラノ」の生産に問題が生じているというもの。

この案件のの発端は、イタリアのアドルフォ・ウルソ経済発展大臣が「ミラノという名称が与えられたクロスオーバーがポーランドで製造されるのは違法である」と異議を唱えたこと。

これはいいがかりなんじゃないかと思ったりするものの、実際にイタリアには「外国で作られた製品をイタリア産であるかのように宣伝することは違法であるとする法律」が2003年に導入されています。

ミラノという名前の車はポーランドでは生産できません。これはイタリアの法律で禁止されています。この法律では、消費者に誤解を招く表示をしてはいけないと定められています。したがって、ミラノという車はイタリアで生産されなければならない。そうでなければ、イタリアの法律で認められていない誤解を招く表示をすることになります。

つまり「ミラノをポーランドで製造する」のは違法である可能性がある（ただしイタリア産だと広く宣伝しているわけではない）ということになりますが、たとえばシャンパンとコニャックは、それぞれのフランスの地域で生産された場合にのみそう表記できるという事実があり、日本だと「魚沼」といった記載がそれに該当するかもしれません。

実際のところ、これは大きな問題である

つまり「ミラノをポーランドで作る」というのは実際に違法である可能性が高く、アルファロメオはなんらかの対応を迫られることになるのかもしれません。

アルファロメオはこの「ミラノ」という名称を宣伝するためにそうとうな準備期間とコストを費やしているはずで、よって今からこの名称を変更することは非常に困難かもしれません（発表直後に問題が生じ、名称変更を行った例は皆無ではない。ポルシェ911もそのひとつである）。

となると生産地を変更するという案も出てきますが（アルファロメオはイタリアでトナーレ、ジュリア、ステルヴィオを生産している）、このミラノはポーランドで生産することによって1万ユーロ（現在の為替レートだと163万円）以上もコストを低減することができたとされるので、ミラノをイタリアで生産するというのは「名称変更」以上にありえない話なのかもしれません。

現時点ではこの話がどう落ち着くのかはわかりませんが、多大なコストがかかるといえど現実的なのは「名称変更」かもしれず、あるいは大臣を説得し、かつ法律を担当する省庁から了承を取り付けるか、もしくは最終工程のみをイタリアに移して「イタリア産」だという言い訳を作るかなどの解決策も考えられます。

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