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こんなコンセプトカーもあった。初公開は東京、「フェラーリ・ミトス(1989)」

2017/09/03

1989年の東京モーターショーでデビューした、「フェラーリ・ミトス」。
ベースはフェラーリ・テスタロッサとなり、そのためエンジンはV12/4.9リッター(390馬力)。
5速MTというのもテスタロッサと同じで、重量は1252キロ、0-100キロ加速は6.2秒、トップスピードは時速290キロ。
ただし「フェラーリ」と名がつくもののフェラーリが制作したわけではなく、フェラーリのデザインを請け負っていた「ピニンファリーナ」が制作した車両で、いわば最近だとケン・オクヤマ氏がフェラーリやランボルギーニをベースにワンオフで車を制作したのと同じようなイメージです。

こういった「デザイン、カスタム/製造」を行う”カロッツェリア”はイタリア特有の業態とも言え、ほかにはジウジアーロ(VWアウディグループに吸収)、ベルトーネ(買い手がつかずに消滅)など。
ピニンファリーナはその中でも「フェラーリとの結びつきが強く」、そのためにフェラーリをベースにしたカスタム車両を多数生産しており、そしてその多くはブルネイ国王や中東の王族などに納車されており、中でも「ブルネイ国王の注文したフェラーリのワゴン」は非常に有名ですね。

ピニンファリーナはフェラーリから相当な圧力を受けていたとも言われますが、「フェラーリのデザインを行っている」という”看板”があったからこそ最近まで独力で経営を続けてこられたとも言え(ブルネイ国王は最大の顧客であったとも言われる)、このあたり複雑な事情がありそうです。

とにもかくにも「フェラーリとの関係」がピニンファリーナを支えていたことは間違いなく、フェラーリもそれに敬意を表して「セルジオ」を発表したものの、フェラーリも徐々にデザインをインハウス化するにあたりピニンファリーナの仕事も減り、現在ピニンファリーナはインドのマヒンドラに吸収されることに。

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話をフェラーリ・ミトスに戻すと、当時デザインするにあたりクーペ、タルガ、スピードスターといったボディ形状が考慮され、実際に制作されたのは「バルケッタ」。
「バルケッタ」はイタリア語で「小舟」を意味しますが、その名の通り非常に簡素な構造を持つ車を指すようですね(”ミトス=MYTHOS”は神話という意味)。

ボディは複合素材で作られており、サイドウインドウ、ルーフは「なし」。
ベースとなるテスタロッサに比べて12.7センチ広く(テスタロッサよりもさらに広い!)、15.2センチ短く、7.6センチ低いという「ワイド&ロー」なプロポーションが特徴で、この車を上から見ると「台形」のような形をしており、極端なウェッジシェイプと相まってミトスを「特別な存在」たらしめる要素の一つとなっています。
↓ウエッジシェイプを実現するために相当にフロントオーバーハングが長いことが分かる

なおリアウイングは可動式で、30センチ上昇し、12度の角度を付けることでダウンフォースを獲得するなど、実際の走行を考慮していたものの市販されることは無く、しかしブルネイ国王が「レッドとネイビーのミトスを一台づつ」注文した、という話もありますね。

フェラーリ(というかピニンファリーナ)はこれまでも「モデューロ」など衝撃的なコンセプトカーをいくつか発表しており、しかしぼくの心に強く残るのはこのミトス。
今でも「もっとも格好良いコンセプトカー」と考えていますし、これ以上格好良いコンセプトカーはもう出ないかもしれない、とも考えています。

ミトスについて、ルックスマートやダイヤペット、レジンキットメーカー数社がモデルカー化していますが、田宮から1/24サイズにてプラモデルとして発売されているものが有名。
ぼくもタミヤ製キットを購入して保有していますが、いまだ組みたてずに保管したまま(手を付けるのがなんとなく恐れ多い)となっています。

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