| フェラーリのスペシャルモデルは「ベースモデルをパワーアップしただけ」ではなく、まったく別のモデルだと考えていいほどのデザインや構造を持っている |
発するオーラが「通常版」フェラーリとは全く異なる
さて、フェラーリ・レーシング・デイズ2022にてジャパンプレミアがなされた296GTSに続き、会場に展示されている812コンペティツォーネを紹介してみたいと思います。
フェラーリ812コンペティツォーネは2021年5月に発表された限定モデルであり、限定台数は499台のみだと言われ、フェラーリから声がかかった「選ばれし者」のみしか購入ができないという購入難易度が「超」高いスーパーカー。
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フェラーリ812コンペティツォーネは史上最高のフェラーリという呼び声も高い
このフェラーリ812コンペティツォーネは(ロードカーとして)フェラーリ史上最強の出力を誇る830馬力仕様のV12エンジンを搭載し、その許容回転数も9500rpmという、やはり今までのロードカーの中ではもっとも高い数値を記録します。
そしてもちろんフェラーリのスペシャルモデルだけあって「パワーアップ」だけにとどまるわけはなく、7速デュアルクラッチのシフトチェンジにかかる時間は5%短縮され、軽量化にも注力することで乾燥重量は(ベースとなる)812スーパーファストの1,525kgから1,487kgへ。
この軽量化そして出力向上によって0-100km/h加速は実に2.85秒、さらに0−200km/hまでを7.5秒で駆け抜け、最高速度は340km/hにも達します。
シャシーにも徹底的なアップデートが施され、ビークルダイナミクスシステム「サイドスリップコントロール」でははじめてバージョン7.0が採用されている、とアナウンスされていますね。
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フェラーリ812スーパーファストの外観は非常にユニーク
そしてフェラーリのスペシャルモデルの通例通り、この812スーパーファストの外観も大幅にアップデートされており、そのアグレッシブさが桁違いに。
ぼくがもっとも「おお」と思ったのはこのボンネット上のブレードで、これはもちろん(ボンネットとの隙間から)熱を排出するほか、車体をワイドに、そしてボンネットをコンパクトに見せる視覚効果があるとのこと。
フロントのロワーグリルに設けられたインテーク(ブレーキの冷却用?)は有機的な形状を持っていて、こういった「うねるような」デザインはさすがF1に参戦している自動車メーカーならではだと思います。
ナンバープレートはけっこういい位置に取り付けられていますね。
488ピスタあたりから採用された、フロントバンパー下部左右の「張り出し」。
エアを排出する構造を持っているようなので、エアカーテン的な役割を果たすのだと思われます(ただし296GTB/296GTSにはこの構造が見られない)。
ボディカラーはパールホワイト(カラー名不明)、センターにはレッドとブラックのリバリー(ストライプ)。
なお、このレッドはロッソコルサのような鮮やかな色味ではなく、ちょっとトーンを落とした落ち着きのあるレッドであり、ハールホワイトとの相性が非常に良いように思います(ミドシップフェラーリだと、もっとコントラストが強い仕様が似合うと思うが、フロントエンジン搭載フェラーリだと落ち着いたカラーコンビネーションのほうが似合うように感じる)。
もちろんこのストライプはステッカー(デカール)ではなく職人によるペイントにて仕上げられ、マスキングによってできる各カラー間の「段差」が生じないように仕上げられており、フェラーリの強いこだわりが感じられる部分です(一方、ドイツ車はこういったストライプをステッカーで再現することが多い)。
フロントフェンダー後端からはエアを抜く構造。
ホイールハウス内の圧を下げることでエアフロー最適化を目的としたものですが、おそらくパネルはカーボンファイバー製なのだと思われます(金属のプレス加工では再現が難しいであろうと思われる構造やフィニッシュを持っている)。
リアフェンダー後ろ(リアバンパー)からもまたエアを抜く構造。
この「3本スリット」は往年のフェラーリのレーシングカーから着想を得たものだと思われ、近年の「ヘリテージ重視」デザインを採用するようになってからよく見られるようですね。
フェラーリ812コンペティツォーネのデザインはとことんエキゾチック
テールパイプは「まさかの」リアバンパーの思いっきり端の方に設置されていますが、これは車体中央のディフューザーを深く取りたかったからだと思われます(599XXでは車体中央のディフューザーの巻き上げをかなり大きく取っていて、フェラーリとしては車体中央部のエアの流れを非常に重視しているのだと考えられる)。※バックする際にはタイヤ止めに細心の注意を払う必要がありそうだ・・・
テールランプは「カバーの奥に潜む(リアパネルとツライチではない)」というかなり珍しい構造。
もしかすると、エアロダイナミクス最適化のためにリアを延長したく、しかしテールランプの位置を変更することができず、しかしパネルによって延長した結果、相対的にテールパイプが奥に入ってしまったのかも。
これはぼくの推論にしかすぎませんが、いずれにせよ812コンペティツォーネのルックスをいっそうエキゾチックに見せている部分でもありますね。
そして実際のところけっこうリアエンドは長くなり、テールエンドの角度もけっこう「跳ね上がって」います。
リアウインドウ「なし」、後方確認はカメラにて。
このリアパネルもまた812コンペティツォーネのデザイン的ハイライトであり、ストライプを入れるといっそうその特異さが目立つようですね。
そしてこのリアパネルには、エアを左右に流すためのフィンも設けられ、ダウンフォース増加と同時に直進安定性に貢献するのかも。
ホイールはカーボンファイバー製。
フェラーリにおけるカーボン製ホイールは488ピスタのオプションとして登場していますが、それに際してフェラーリは様々なサプライヤーの製品をチェックし、結果的にフェラーリとは「地球の裏側」に位置するオーストラリアの「カーボン・レボリューション社」との共同にて開発を行うことになったとアナウンスされています。
ワンピース構造のバレルを持つことが特徴で(そのため、他社製カーボンホイールよりも更に軽い)、軽量性を追求するために「塗装がなされない」という究極の製品でもありますね。
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このフェラーリ812コンペティツォーネを見てきた際の動画はこちら
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