| 廃棄するのであればちょっとしたパーツでも分けてほしいものだ |
安全を担保するためにはやむをえないが、それにしてもクラッシュテストの(自動車メーカーの)負担は大きすぎる
さて、フェラーリに関しては様々なスパイフォトが出回っていますが、今回はちょっと変わった「クラッシュテストを受けた後の破損した車両」を捉えた画像がインスタグラムへと投稿されることに。
この画像では3台のフェラーリ812コンペティツォーネが写っていますが、いずれもクラッシュテストにて破壊されたものと見え、大きく破損している様子がわかります。
この「クラッシュテスト」は、ユーロNCAPや米国独自の企画によって安全性が定められており、それらをクリアせねば該当地域では販売ができない、というものです。
生産台数が少なければ少ないほどそのコストが高価に
なお、このクラッシュテストは実際の事故に近い状況を意図的に作り出してクルマを破壊するもので、多くの場合はクラッシュテストに使用した後の車両は「使用不可能」に。
ちなみに米国であれば16回もの衝突試験をクリアする必要があり、たとえば原価が5000万円のクルマを16回も壊すと8億円ものコストが掛かります。
そしてこれを「1000台」売るのであれば(販売するクルマ)一台あたりには80万円のコストを乗せればOKということになりますが、生産台数が500台であればそれは160万円、50台であれば1600万円ということに。
よって生産台数が少なくなればなるほどそのコストが高くなるのは自明の理ということですが、「もともと製造原価が高価なスーパーカーやハイパーカーが非常に高価な理由」はここにあるわけですね。
そして、かつてパガーニは米国における衝突試験のコストを吸収できないとして長い間米国でのクラッシュテストを受けていなかったものの、その後米国の試験をなんとかクリアし、米国での販売をスタートさせています(それによって大きく販売が伸びていて、アメリカ市場はコストを投じてでも参入する価値がある)。
ちなみにケーニグセグは米国の衝突試験があまりに「大きな負担」だとし、試験を行う都度クルマを作りなおして(再利用できるところは再利用して)テストに挑んでいますが、それでも大きな負担であることは間違いなく、しかも1車種あた利の販売台数が「数十台」にとどまるケーニグセグの場合、市販モデル1台あたりが負担するクラッシュテストの費用は相当に大きい、ということになりそうです。
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今回のフェラーリ812コンペティツォーネの破損は小さいように見えるが
なお、今回公開された画像を見るに、その破壊度合いはさほど大きくはなく、もしかすると試験のうちいくつかは、すでに販売を開始している812スーパーファストの結果をもって代用できるのかもしれず、今回は「812コンペティツォーネ独自の部分」のみのテストを行うにとどまったのかもしれません。
実際のところはどうするのかわかりませんが、このあとクラッシュテストに使用した車両をどう扱うのかは非常に気になるところで、「ちょっとパーツくれないかな・・・」と思ったり。
インスタグラムへ投稿されたクラッシュテスト後のフェラーリ812コンペティツォーネの姿はこちら
参照:moriacolom