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フェラーリはEUのエンジン車延命(販売禁止撤回)を受け「我々は自由を得たのです。顧客にとっての選択肢が拡がり、内燃機関、HV、EVといった3つのパワートレインを提供します」

Ferrari

| ただし多くの自動車メーカーがこの措置を受け、戦略の見直しを考える必要が出てきそう |

そして内燃機関の将来は「合成燃料(Eフューエル)」にかかっていると言っていい

さて、EUが「エンジン搭載車の販売終了を撤回」することになり、各社ともその戦略を見直す必要が出てきそうですが、大きく影響があると思われるのが「未来はEVのみ」としていたいくつかの自動車メーカー。

たとえばフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、ベントレー、ロールスロイスといったあたりはなんらかの路線変更を強いられる可能性があり、現在社内で「協議中」なのかもしれません。

ただ、EUがエンジン搭載車の新車販売禁止を撤回するとしても、ガソリン車の新車販売が容認されるわけではなく、2035年以降に販売される内燃機関搭載車はガソリンの代わりに合成燃料(Eフューエル)を使用する必要があって、そしてこの価格は非常に高いので、高級車やスーパーカー、そしてハイパーカーオーナー以外はこれを利用することが難しい、という見方もあるもよう。

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同じ「スポーツカーメーカー」でも対応が異なる

そしてこれはスーパーカーやハイパーカーといったセグメントにおいても大きく影響する可能性があり、とくに「将来的にモデルラインアップの大多数をエレクトリックモデルに置き換える」としていたフェラーリにとって、EUの判断は無視できないものかもしれません。

ちなみにフェラーリは現在SF90系、296GT系といったハイブリッドカーを持ち、2025年にはブランド初のピュアエレクトリックカーの発売を計画していますが、電動化の流れに対しては「それに抵抗せず、全面的に従う」というスタンスを貫いています。

フェラーリ

フェラーリのコンセプトカー
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これに対してランボルギーニは内燃機関を存続させるために合成燃料の開発をスタートさせるなど、内燃機関廃止に対して「全面的に対抗」する構えを見せており、その対応が大きく分かれています。

ランボルギーニ
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ちなみにポルシェは電動化も受け入れつつ、718ケイマン/ボクスターをピュアエレクトリック化しながらも、911においては「内燃機関を捨てない」という姿勢を示しており、フェラーリやランボルギーニともやや異なる動きを見せている、という状況ですね。

ポルシェ
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フェラーリは「EUの計画は今後の方針に影響を及ぼさない」

よってポルシェとランボルギーニにとって、今回のEVの決定は「してやったり」というところだと思われ、しかしフェラーリからすると「ええ・・・今までEUの方針に従って電動化を進めてきたのに・・・」というやりきれない気持ちもあるのかも。

ただ、今回ロイターが開催したセッションにて、フェラーリCEOであるベネデット・ビーニャ氏(同氏はそもそも、今後のフェラーリの電動化を見据え、エレクトロニクス業界からスカウトされた人物である)が語ったところによると「今後のフェラーリの計画に変更はない」。

語った内容は主に4つについてであり、それらは「フェラーリのクルマには今後、3種類のパワートレインが用意される」「代替燃料(Eフューエル)の価格は今後下がると見ている」「投資計画を変更する(どこかを増加させる)必要はない」「初のピュアエレクトリックハイパーカーについて、今は語る段階にない」。

フェラーリ

加えてベネデット・ビーニャ氏は「むしろ、EUが2035年に内燃機関搭載車の販売を(条件付きで)禁止しないと決定したこととについて、今後の選択肢の自由度が高まった」とこれを歓迎しており、「どのクルマを使うか、お客さまに指示するつもりはありません。ハイブリッド、電気、ICE(燃焼期間)の3種類のパワートレインを用意し、顧客が選択できるようにしたいのです」とも。

なお、フェラーリは上述の通り「電動化に熱心な」スポーツカーメーカーではあるものの、実は「何年までに完全に電動化を完了」といったロードマップを示したことはなく、投資家向けの説明会で語られたのは「2026年までの期間において、ガソリンオンリーモデルの販売比率を40%、ハイブリッドを55%、ピュアエレクトリックカーを5%とし、2030年ではガソリンエンジン車を20%、ハイブリッドを40%、ピュアエレクトリックカーを40%」というざっくりとした計画のみ。

フェラーリ

つまりフェラーリはガソリンエンジン車を消滅させる計画はもともとなく、「コレクターはどのような状況であっても内燃機関搭載車を購入するだろう」という推測のもと計画を立案しており、よって今回のEUの決定によって内燃機関登載車の寿命が伸びたとしても、それはフェラーリにとってはすでに織り込み済みの環境であって「投資計画に影響はない」としています(20%のガソリン車のうちのいくばくかが”代替燃料対応”となるくらいという認識なのかも)。

実際のところ、ベネデット・ビーニャ氏は「2022年から2026年にかけての設備投資額として44億ユーロを計上しており、この金額は、電動化を進め、さらに合成燃料に対応した内燃機関を導入するには十分な数字です」と語っていて、今回のEUの決定においてなんら問題は生じないという姿勢。

加えて、フェラーリ初のピュアエレクトリックハイパーカーは「非常にユニークなクルマ」になるとしながら、「その秘密を守ることもレシピの一部なのです」とし、詳細については言及しないことも明らかにしています。

フェラーリ

最後に、代替燃料については「Eフューエルは新技術であり、すべての新技術がそうであるように、安価になるには時間がかかります。ただしその価格は徐々に下がってゆくでしょう」と語っていますが、こちらについては過度な期待を寄せていないようにも見受けられます(フェラーリは、パワートレインや燃料につき、”フェラーリらしい性能を発揮させるための手段にしかすぎない”と語っており、つまりフェラーリの本質的価値はパワートレインや燃料に左右されないという意向を示している)。

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参照:Reuters

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