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フェラーリが2023年第2四半期の業績を発表。予想を超える好調さを背景に通期見通しを上方修正するも「上げ幅が足りない」として株価が5%近く下がるという珍事に

フェラーリ

| フェラーリでは「予定通り」「好調」が当たり前、予想を大きく上回らなければ「期待に沿った」とは認知されない |

それだけ人々がフェラーリに抱く期待が大きいということなのだろう

さて、フェラーリが2023年第2四半期の業績を公開し、「計画通り」であることを発表するとともに「2023年通期での業績を上方修正する」とアナウンスしたものの、その上方修正の幅が期待よりも低いとして一時株価が5%近くも下がってしまうという事態に。

数字的なものを述べてみると、これまで21億8000万ユーロであった2023年のEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)を22億2000万ユーロに引き上げるとしたにもかかわらず(売上高も57億ユーロから58億ユーロに修正している)、この「引き上げ幅」が予想通りであったとして失望を買ってしまったようですが、業績好調、そしてそれをさらに情報修正しても「失望」されるというのは、”常に人々の期待のはるか上を行く”ことが使命であるフェラーリならではの珍事なのかもしれません。

フェラーリの2023年第2四半期の業績はこんな感じだった

そこで今回発表されたフェラーリの2023年第2四半期の業績を見てみると、ざっと概要は以下の通り。

加えてフェラーリCEO、ベネデット・ビーニャ氏は以下の通りコメントしています。

  • 純受取高は前年同期比 14.1%増の 14億7400万ユーロ、総出荷台数は前年同期比ほぼ横ばいの 3,392台、通期計画通り

  • 調整後 EBITDA は前年同期比 31.9%増の 5億8900万ユーロ

  • 調整後 EBIT(利払前・税引前利益)は前年同期比 35.4%増の 4億3700万ユーロ

  • 当四半期の調整後 EBITDA利益率は 40.0%、調整後 EBIT利益率は 29.7%

  • 調整後純利益は3億3400万ユーロ、調整後希薄化後 EPS(1株当たり純利益)は 1.83ユーロ

  • 工業用フリー・キャッシュ・フローは 1億3800万ユーロを創出

「第2四半期は、好調な利益率を強調した例外的な業績で幕を閉じました。納入台数は豊富な製品ミックスを反映し、また、全地域で非常に好調な受注を維持しています。ガイダンスを上方修正したのは、特にパーソナライゼーションの素晴らしい結果によるものです。イノベーションはフェラーリの核心であり、ル・マンでの忘れがたい勝利など、フェラーリの成長と業績の原動力となり続けています。

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出荷台数について触れておくと、2023年第2四半期の出荷台数は 3,392台となり、前年同期比で63台減少したものの「非常に堅調」であり、 四半期ごとの台数、地域、構成比の配分計画を反映した「計画通り」。

その結果、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)は 17.3%増、北米は 17.5%減、中国本土・香港・台湾はほぼ前年並み、その他の地域は15.6%減。

296GTB、ローマ、ポルトフィーノMが納車を牽引し、296GTSと812コンペティツォーネは立ち上げ段階、そしてプロサングエの最初の納車が開始され、デイトナSP3の納車が進んでいる状況だと説明されています。

フェラーリの部門別利益はこうなっている

そしてフェラーリの部門別利益を見てみると、自動車・補修部品の売上高は、製品ミックス(ラインナップ)の充実、パーソナライゼーションおよび価格設定による貢献の増加により、12億5900万ユーロへ(前年同期比 14.9%増、為替変動の影響を調整後では同 13.5%増)。

スポンサーシップ、コマーシャルおよびブランドライセンスの収入 は、主に前年のF1 ランキングの向上、新規スポン サーシップの獲得、およびライフスタイル活動の貢献により、前年同期比 20.3%増、為替変動の影響を除いたベースでは同18.0%増の1億4700万ユーロだと報告されています。

一方でマセラティへのエンジン納入契約が終了することで納入数が減少してエンジンの売上は32.8%減の2700万ユーロへ、そして人件費および研究開発費は主に減価償却費および償却費の増加、ならびに原材料費の上昇によって 前年同期比で3600万ユーロ増加。

販売費および一般管理費も、主にデジタルインフラストラクチャおよび組織の整備、ならびにマーケティ ング活動の活発化によって1500万ユーロ増加しています。

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フェラーリは2023年の通期見通しを情報修正

そして上述の通りフェラーリは売上高も57億ユーロから58億ユーロへ、EBITDAを21億8000万ユーロから22億2000万ユーロへと修正していますが、その理由は以下の通り。

  • 当初予想を上回る好調な製品ミックスとパーソナライゼーション

  • レース活動からの収益の改善

  • 新モデルの生産開始に伴う減価償却費の増加

  • 好調な収益性により工業用フリーキャッシュフローの創出が持続、規律ある資本支出と運転資本のマイナス変動により一部相殺

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参照:Ferrari

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