| ただしカーボンファイバーほど男性と女性とで評価の分かれる素材も珍しい |
さて、これまでにも過激なチューンを発表してきたアメリカ西海岸のチューナー、「1016インダストリーズ」が新しくランボルギーニ・ウラカンEVO向けのカスタムパーツを公開。
見ての通り「フォージド(鍛造)カーボン」を使用したもので、フロントスプリッター、フロントフード、フロントフェンダー、ドアミラーカバー、ルーフカバー、サイドウイング、リアウイング、リアディフューザーというラインアップです。
1016インダストリーズは、このフロントスプリッターとフロントフードについて純正品よりも3.6キロ軽く、フロントフェンダーだと5キロ軽くなる、と発表しており、装着によって軽量化にも貢献するようですね(ただ、ドミラーカバー、サイドウイング、リアウイングは”追加”することになるので、純正よりも重量が増える)。
なお、この「鍛造カーボン」は、織り目の見える通常のカーボンファイバーとは製法が大きく異なり、炭素繊維を樹脂に混入させ、「金型」にはめこんでプレス成形するもの。
よって、金型さえ作ってしまえば量産がきくということが特徴です(織り目の見えるカーボンファイバーは、糸状にしたカーボンファイバーで編んだ繊維を積層し、その後に樹脂を浸透させて固めるので、製造に時間がかかる)。
強度、軽量性ともに通常のカーボン製品と遜色なく、しかし「安価に製造できる」というのが本来の特徴であったものの、意外と製造原価が高く、ランボルギーニの純正オプションだと「通常のカーボンファイバーと、鍛造カーボンファイバーとも価格が同じ」。※ランボルギーニでは”フォージドコンポジット”と呼ぶ
そうなるとやはり織り目の見えるカーボンを選ぶ人が多く、よってこの鍛造カーボンはあまり普及が進んでいないようでもありますね。
ただ、チューナーにとって「製造の容易さ」は非常に魅力的な要素であり、この1016インダストリーズのほか、マンソリーがこの鍛造カーボンに力を入れていることが知られます。
そのほか、マクラーレンやレクサスがこの鍛造カーボンを(ボディパネルの内側に)取り入れていますが、「外から見える」部分には採用しておらず、その理由はちょっと謎。
鍛造カーボンは女性受けがよろしくない
なお、この鍛造カーボンがなかなか市民権を得られない理由として、「思ったよりも安くない」というほかに「見た目があまり良くはなく、とくに女性受けがよろしくない」ということに起因しているのかも。
ぼくは以前に乗っていたランボルギーニ・ウラカンにこの「鍛造カーボン製エンジンベイ」を装着していましたが、経験上「あまりに女性に評判がよろしくない」という認識を持っていて、一度はこの鍛造カーボンを装着したスーパーカーオーナー(男性)も同様の経験をしている可能性が高く、よって「次から選ばなく」なっているんじゃないかとも考えています(ぼくらは女性受けのためにスーパーカーに乗っているワケではないけれど)。
さらに言うと、織り目の見えるカーボンファイバーも女性にはあまり好まれないようで、過去にエルメスやフェラガモがカーボンファイバーを使用したバッグを発売しているものの、両方ともあまり評判は良くなかったと認識しており、これほど「男性と女性とで評価の分かれる素材も珍しい」と思います。
1016インダストリーズはパフォーマンスも向上
そして1016インダストリーズはエンジン出力も20馬力向上させることに成功し(ウラカンEVOに搭載されるエンジンは自然吸気なので、20馬力アップでも容易ではない)、結果として660馬力をマーク。
パフォーマンスについては言及されていないものの、ノーマルの「0-100km/h加速2.9秒、最高速度325km/h」よりも優れた数字を出すのは間違いなく、来たるべきツインターボチューンに備えているのか、1016インダストリーズいわく「リアウイングは時速402キロでも耐えることができる」。
なお、現在はコロナウイルスが猛威をふるうというビジネスには困難な状況ではありますが、1016インダストリーズは「売上の10%を、4月30日までの限定期間にてWHOに寄付する」と発表。
これは自動車業界では「初」の英断でもありますね。