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ランボルギーニはなぜ「初のピュアEV」に2+2のGTカーを選ぶのか?フェラーリ、ロータスのようにスーパースポーツを純電動化しない理由とは

2023/02/01

ランボルギーニ

| 現在の技術では「スーパースポーツ」と呼べるピュアエレクトリックカーを作ることは難しい |

よって順序としては「今ある技術」で開発できるGTカーを作るべきである

さて、ランボルギーニは2022年11月に「わが社初のピュアエレクトリックカーを2028年に発売する」とコメントしていますが、この”第四のラインアップ”となるピュアエレクトリックカーは、ランボルギーニを象徴するようなスーパースポーツではなく、毎日乗れるGTカーになると言われています。

逆にブランド初のピュアエレクトリックカーをフラッグシップとして位置づけるスポーツカーメーカーも少なくはなく、たとえばロータスやフェラーリはそういったグループでもありますね。

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なぜランボルギーニはエレクトリックスーパースポーツを発売しないのか?

そこで気になるのが、なぜランボルギーニが「初のピュアエレクトリックカー」にスーパースポーツではなく日常性のあるクルマを選ぶのか。

これについては、ロレックス・デイトナ24時間レース開催期間中、ランボルギーニの最高技術責任者を務めるルーヴェン・モア氏が理由を明かしており、単に「現在の技術では、満足のゆくエレクトリックスーパースポーツを作ることができないから」。

加えて、技術の未熟さについてはバッテリーに関して顕著であり、(現代のバッテリーでは)重量がかさむほか、「バッテリーの充電状態や温度によって性能が大きく左右されることも避けたい」とも。

ちなみにですが、同様の見解を示している自動車メーカーもいくつか存在し、マクラーレンは「現在のバッテリーでは、サーキットを何周も走ることができない」、ポルシェも「いまの技術ではスポーツカーと呼ぶことができないほどの重量になってしまう」、そして早くからEVを実用化し、E-4ORCEなど電動アクスルを積極的に開発する日産も「控えめに言っても、顧客の満足するピュアエレクトリックスポーツカーを作ることは難しいだろう」。

高性能バッテリーの実用化を「待つ」ことは難しい

そしてこういった問題を解決できる可能性があるのはソリッドステートバッテリーということになりますが、もっとも早く実用化できそうな日産でも2024年にテストを開始した後の2028年に実用化を目指し、BMWでは2025年に車体にこの全固体電池を積んでテストを開始する、というレベル。

バッテリーメーカーによれば、「実用化されるにはあと10年くらいかかる」とのことですが、ソリッドステートバッテリーの実用化は予定よりもずいぶん遅れていて(トヨタは2020年に車両に搭載する予定だった)、正直あと10年経っても実用化できるかどうかですら全く不明です。

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よって、そういった「先が読めない」技術をあてにしたスーパースポーツなど開発できようはずもなく(スポーツカーにとっては重心も重要な要素であり、それを最適化するためにミリ単位でコンポーネントを配置するが、全固体電池と周辺機器のサイズや容量は現時点ではわからない)、ここに時間とリソースをつぎ込むことはできないのかもしれません。

かといって、既存のリチウムイオンバッテリーをベースにしたスーパースポーツを開発し発売したとしても、日々進歩するバッテリーとバッテリー管理技術を考慮するならば、「発売後、時間の経過とともにどんどんパフォーマンスが(相対的に)劣ってゆく」ことになり、さらにソリッドステートバッテリーが実用化されでもすれば、一瞬で現在のテクノロジーが旧世代になってしまうわけですね。

そうなると、「スーパースポーツは常にトップランカーでなくてはならない」という原理原則を維持できなくなり、「性能や技術が劣化するであろうことが見えている」今の時点で、わざわざスーパースポーツを開発し発売する意味は薄いのだと思われます。

加えて、「性能が劣化した」前世代の電動スーパースポーツが中古市場で高い価値を発揮するとは考えにくく、そして中古市場で安く売られるようになれば、今まで苦労して築いてきたブランド価値が「水の泡」に。

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優先順位的にも今は「日常的な」クルマを作るほうがいい

そして前出のルーヴェン・モア氏は「ただ、同じピュアEVであっても、日常性の高いGTカーは、スーパースポーツとは全く別の話です」と語ります。

加えて「すでに存在している技術で作ることができる」ことにも言及しており、つまりはスーパースポーツほど極端な性能が求められているわけでも、コンポーネントからギリギリの性能を引き出すわけでも、購入検討者がシビアに他社製品と比較するわけでもなく、重要なのは「ランボルギーニらしい製品であること」だとも述べており、まずはGTカー(おそらく2+2のハイライダー)が優先事項となるもよう。※ランボルギーニらしさは、性能のみならず、デザインなど視覚的要素でも演出できる

さらにスーパースポーツについては「当面の間、競争力を発揮できるのはハイブリッドパワートレーンである」とも語っており、「スーパースポーツセグメントやスポーツカーセグメントでは、やはり内燃機関とハイブリッド化が最良の選択であるのは間違いありません」と締めくくっています。

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参照:InsideEVs

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