| ロータスやフェラーリのようなハイパーカーではなく、ロールス・ロイス”スペクター”のような「2+2」となるもよう |
ある意味では創業当初の原点に立ち返った判断だと言えるかもしれない
さて、先日は「2023年3月にアヴェンタドール後継となるV12ハイブリッドモデルを発表する」と報じられたランボルギーニ。
ランボルギーニは2021年5月に新しい中期計画「ディレッツォーネ・コル・タウリ」を発表しており、その中では2024年までに全ラインアップを電動(ハイブリッド)化すること、2020年代後半にピュアエレクトリックモデルを追加することに言及しています。
実際のところ、アヴェンタドール後継モデルの次はウラカン後継モデルとしてのハイブリッドモデル(V8ターボ+PHEV?)もしくはウルスのハイブリッドモデルが登場することになりそうですね(すでにプロトタイプが目撃されている)。
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第4のランボルギーニは「ハイライダー」?
そこで今回報じられているのが「第4のランボルギーニ」つまりピュアエレクトリックモデル。
これはどうやらロータス・エヴァイヤやフェラーリが発売する初のピュアエレクトリックモデルのように「ハイパーカー」ではなく、ランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏が語ったところでは「最低地上高が高くなり、日常的に使えるようになる」「ボディ形状は2ドアクーペ」「座席レイアウトは2+2」。
なお、ランボルギーニは最大5つまでモデルラインアップを拡大する計画を(以前に)持っていて、それはランボルギーニのモデルライフが各モデルとも10年であり、それぞれがその半分つまり5年でフェイスリフトすると仮定した場合、5モデルあれば「毎年なんらかの(フェイスリフトなりフルモデルチェンジなり)ニューモデル」を発表しフレッシュな話題を提供できるため。
ただし現在では急激な電動化の流れによってその計画に狂いが生じているというのが正直なところだと思われ、こういった以前の計画はリセットされているのかも。
しかしながらランボルギーニは「日常性のある」モデルの発売を以前から計画しており、もちろんウルスもそういった計画から生まれたものです。
ランボルギーニは4ドアセダンの発売を進めていたことも
参考までに、ランボルギーニは2008年に4ドアセダン「エストーケ」の発売を計画していたことがあって、しかしこれは同年に発生したリーマンショックによってプロジェクトが頓挫。
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この「エストーケ」というのはスペイン語で「剣」を指すそうですが、ランボルギーニは同じく「剣」を意味する名称を持つクルマとしては「エスパーダ」を販売していたことがあり、エストーケはこのエスパーダを当時風に解釈したものだと考えて良さそう。
このエスパーダは1968年に発表されたグランドツアラーで、2+2レイアウトを持っていた400GTやイスレロに比較しても格段に室内スペースにゆとりがあり、「大人4人が座ることができるシート、カーゴスペース」が用意され、レザーなどの高級素材がふんだんに使用されたほか、エアコンやパワーステアリング(1969年からオプション、1972年以降は標準装備)も用意され、さらに1974年からはオートマチック・トランスミッションも設定されるといったラグジュアリーカーでもあります。
ただしその後「まったく新しいランボルギーニ」として発売されたのはエストーケではなくSUVボディを持つウルスですが、これは2008年からウルス発売までの間に「SUVの人気が急が期に高まったため」にSUVを優先したわけですね。
そういった事情があるものの、ランボルギーニとしてはずっと「サルーンを発売したい」と考えていたのだと思われ、それが今回「ランボルギーニ初のピュアエレクトリックカー」として発売されることになるのだと思われます。
ただ、エストーケをそのままエレクトリックへと置き換えるのではなく、「現代風に」アレンジしてハイライダー、そしてクーペスタイルを採用し、さらにはより優雅さを演出するために2ドアというパッケージを採用するのだと考えていますが、これは文字通り「エスパーダの再来」と言えるかも。
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参考までに、ロールス・ロイスは初のピュアエレクトリックモデルとしてスペクターを投入していますが、これは4ドアではなく2ドア。
その理由としては「若い人々のほうがピュアエレクトリックカーに対して寛容であり、そういった人々にアピールできるのは4ドアではなく2ドアだと判断した」というものです。
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第4のランボルギーニはフォルクスワーゲングループのほかブランドと多くを共有?
現時点ではこの「第4のランボルギーニ」に採用されるパワートレインの詳細などはわかりませんが、ステファン・ヴィンケルマンCEOは「ランボルギーニがフォルクスワーゲングループの一員であることを活かして、開発のスピードアップとコスト削減を図る」とも述べており、つまりウルス(ベントレー ベンテイガ、アウディ Q7/Q8、ポルシェ カイエン、VW トゥアレグと同じMLB Evoプラットフォームを使用)同様の開発形態になるものと思われます。
そのため、可能性としてはVWグループが現在開発中のスケーラブル・システム・プラットフォーム(SSP)アーキテクチャを使用する可能性が高いと見られていますが、たとえほかブランドとプラットフォームを共有したとしても「ランボルギーニらしい」クルマを作ることができることはウルスにて証明されており、新しいランボルギーニのピュアエレクトリックカーには期待がかかるところ。
なお、ランボルギーニにて技術部門を統括するルーベン・モア氏によると「ランボルギーニにとってオールエレクトリックへと向かうことは理にかなっています。技術的な観点から見た我々のコアとなる柱のいくつかは、電気自動車の世界と完全に適合しています。カーボンファイバーの機能統合、構造部品としてのバッテリー統合について言えば、これはエアロダイナミクスの意味において、デザインの観点からはるかに多くの自由度を可能にするものです」とも述べており、たとえフォルクスワーゲングループのほかブランドと「同じ材料」を使用したとしても、出来上がってくる料理はまったく異なる「ランボルギーニ風味」であるのは間違いなさそうですね。
参考までに、ルーヴェン・モア氏は、「EVの(バッテリー搭載による)重量を相殺する方法を見つけた」と語り、その実現によって、ランボルギーニのエレクトリックモデルのオーナーが、クルマが重すぎるという不満を持つことはないと確信している、と述べています。
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参照:Auto Express