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【動画】マツダRX-7は新車時から未来のクラシックカーを目指していた!そのため「ハイテクに頼らずピュアさと軽量性を追求」した等の開発背景が30年後に明かされる

【動画】マツダRX-7は新車時から「未来のクラシックカー」を目指していた!そのためにハイテクに頼らずピュアさと軽量性を追求し、30年後の今なお輝き続けることに

| ただし新車時にはロータリーエンジンの気難しさ、信頼性の低さが受け入れられず、北米では3年で販売終了 |

ただし今になってもその輝きは色褪せず、むしろ強さを増しているようだ

さて、ハガティが「マツダRX-7(FD3S)は今後長きに渡り高い価値を発揮し、その評価を高めるだろう」という動画を公開。

その理由としては至極明確で、「同じ時期に発売された日本の他のハイパワースポーツカーとは異なる手法を用いて開発されたピュアなスポーツカーだから」。※FD3Sの発売は1991年

同時期に発表・発売されたクルマというと1989年の日産GT-R(R32)やフェアレディZ(Z32)、1990年の三菱GTO、1993年のトヨタ・スープラ(80)といった錚々たる顔ぶれですが、これらはハイテクデバイスを搭載して「大きく、重く」なってしまい、GT-Rだと1430kg、フェアレディZ(ツインターボ)は1500kgを超え、スープラもツインターボモデルでは1500kgオーバー、三菱GTO(ツインターボ)に至っては1700kgオーバー。

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マツダはRX-7の開発において「超軽量化」を目指した

そんな中においてマツダRX-7はツインターボを装備しながらも車体重量を1300kg前後に収めており(1270-1330kg)、異例とも言える軽さを誇っています(これは現代のロードスターにも通じるマツダの美点)。

この軽量化は当時マツダの社内で「オペレーションZ」とも呼ばれたそうですが、ほかのライバルがハイテクで武装する中、「削りに削る」ことで重量を削ぎ落とし、結果として「ピュア」なクルマに仕上がっているわけですね。

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そして4WDや4WSといった先進機能ではなく、レーシングカー同様に純粋な「メカニカルグリップ」を追求してシンプルなダブルウィッシュボーンを採用し、当時はロード・アンド・トラック誌のベストハンドリング・カー・オブ・アメリカを受賞したうえ、ロードカーとしては史上最高のグリップレベルの記録を打ち立てたことも。

つまりはマツダのみが異なる手法でスポーツカーを作り上げたということになり、さらに搭載されるのは小型軽量な、そして職人が手組によって製造していた最後のロータリーエンジン「13B-REW」。

このロータリーエンジンは1308ccという小排気量ながらも初期型では255馬力、最終的には280馬力を発生するに至りますが、当時 ストリート・オブ・ウィロー では「倍のプライスタグ」を提げるホンダNSXに1.5秒差をつけるなど、一歩も譲らぬパフォーマンスを誇っています。

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デザインはSA、FC世代から大きく刷新

そして更に注目すべきはそのデザインで、マツダは「プアマンズ・ポルシェ」と評されたSA、そしてFC世代のRX-7と決別すべく、全く新しい、そして何にも似ていないデザインを目指したといいますが、車体デザインを担当したのはカリフォルニアにあるマツダのデザインハウス(FD3Sから”サバンナ”の呼称が使用されなくなったことからも、マツダがいかに先代と決別したがっていたかが伺い知れる)。

なお、実際にFD3Sのデザインを担当したのは中国(台湾)人のチン・ウーハン(チン・ウーファン、Chin Wu-Huang)氏で、同士はジャガーEタイプへの憧憬から自動車業界に入り、マツダには1986年に加入しています(台湾の大学を卒業した後、カリフォルニアのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインを1980年に修了し、オペル、そしてマツダへ)。

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ちなみにチン・ウーハン氏がFD3Sのデザインにかかわることになったのは、ロードスターの開発プロジェクトを率いていた俣野努氏とともにロードスターのデザインプロセスに携わり、そこで「お互い、クラシックジャガーのような、古いヨーロッパのスポーツカーが好きだ」と判明したことがきっかけだったといいます。

そして俣野努氏は、ロードスターのデザイン案において、チン・ウーハン氏が印象的なフロントフードをスケッチしたことを記憶しており、新型RX-7すなわちFD3Sのデザイナーとして彼をアサインしたのだそう。

ただ、マツダは新型車を開発するにあたっては世界各地のデザインスタジオを競合させ、より良いものを作ってゆくという習慣があり、アメリカ先導でデザインを進めることはできなかったそうですが、最終的に社内コンペにおいて選ばれたのはチン・ウーハン氏のアメリカチーム案、そして広島チーム案。

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さらに実際のデザインにおいてはチン・ウーハン氏の考えたディティールが多く採用され、たとえばフロントフェンダーのエアアウトレットやBピラーに隠されたドアハンドルもそういった例だと紹介されています。

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そしてチン・ウーハン氏は「未来のクラシックカー」を目指してRX-7をデザインしたともコメントを残していて、「50年後のペブルビーチ・コンクール・デレガンスに展示されるようなクルマ」を想定したデザインを行った、としています。

この点においてもRX-7(FD3Sを)は他のライバルとは異なる考え方を持っていると考えられ、「時間の淘汰を受けない」クルマとなった理由なのかもしれません。

マツダRX-7は米国では3年足らずで販売終了

こういった開発背景を持ち、ライバルに対して際立った特徴を持っていたRX-7ですが、アメリカではわずか3年で販売が終了しており、その理由は(アメリカでのスポーツカー人気の低迷、保険料の高騰、環境規制によるものと言われたが)実際のところロータリーエンジンの気難しさにあったといい、「野菜嫌いの幼児のように」扱いづらい性質がアメリカでは受け入れられなかったのだ、とも。

アメリカでは大排気量エンジン、そして強力なトルクが好まれる傾向があり、そのような嗜好を持つアメリカ市場ではロータリーエンジンのトルクの細さ、わずか1308ccという排気量が「(アメリカ人にとって)許容しがたいもの」であったことは想像に堅くはなく、これはアルファロメオ4Cがアメリカで売れなかった理由とよく似ているのかもしれません。

さらに合成オイルを使用すると(ロータリーの)アペックスシールを痛め、クーラント交換を怠るとモーターを損傷させ、さらに冷間時にストールさせるとエンジンを破損させることもあったといい、米国カーメディアがこういった「信頼性の欠落」を報じるにあたってRX-7はその評判を高めることができなかったようですね(新車にて納車されたカー・アンド・ドライバー誌のテストカーは、56000キロの走行の間に、9回もマツダに送り返されて修理されている)。

マツダRX-7がペブルビーチで展示されるようになるのは時間の問題

ただ、今回動画を公開したハガティ、そして解説を行うジェイソン・カミサ氏によれば、RX-7がペブルビーチにて台座付きで展示されるようになるのは時間の問題だと述べており、その理由はやはり上述のようなRX-7ならではの特殊性。

テクノロジーにこだわったり、最新のデザインを取り入れると遅かれ早かれ時代遅れになるものの、RX-7は最初から「ピュア」であり、(クラシックカー好きがデザインしただけあって)「未来のクラシックカー」そして「50年後にペブルビーチに展示されるスポーツカー」を目指してデザインされており、登場から30年という時を経てそれが立証され、「50年を待たずして」ペブルビーチへと展示されることになりそうですね。

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参照:Hagerty

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