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マツダが「パワーアップ」について語る。「レスポンス、吹け上がりを重視しターボは採用しない」「改造は制限しない。出力向上はアフターマーケットを利用してほしい」

マツダが「パワーアップ」について語る。「レスポンス、吹け上がりを重視しターボは採用しない」「改造は制限しない。出力向上はアフターマーケットを利用してほしい」

| たしかにターボエンジンを搭載すれば現在より遥かに重くなり、そうなればロードスターの意味はなくなってしまうだろう |

マツダはユーザーが楽しむための「最適なベースモデル」を提供したいと考えているようだ

さて、マツダ・ロードスターは「比較的安価にて購入できるFRオープンスポーツ」という貴重な存在ですが、いつも議論の的となるのが「パワーが足りない」。

とくに米国ではこれが問題視されており、よって日本仕様の1.5リッターではなく2リッターエンジンが搭載されているものの、それでも「パワー不足」が常に指摘されているようですね。

そして今回、カーメディアがマツダのエンジニアに対して行ったインタビューが紹介されており、そこではパワーアップ(具体的にはターボ装着)に対する否定的な、しかし意外な見解が示されていて、ここでその理由を見てみましょう。

なぜマツダはロードスターのパワーアップに否定的なのか

今回このインタビューに答えたのはロードスターの車両開発エンジニアであるデイブ・コールマン氏。

ロードスターのパワーアップに対しては、まず「ロードスターは全体として完成されたシステムであり、クルマ全体が(現在の)パワーにあわせて最適化されています。よってパワーを引き上げることでこのクルマがダメになり、別のものに変わってしまう可能性があるのです」と述べています。

さらには「パワーアップを行えば、雪だるま式にロードスターらしさが失われてしまう。パワーが上がること自体が悪いというわけではないが、トレードオフがある。ロードスターが信じられないほど軽量であることを考えればその失われる”何か”は明確だと思います」。

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なお、北米仕様のロードスターは181PSを発生しますが、これは現行ロードスター(ND)初期型の155PSから比較すると大きなパワーアップであり、しかしこのパワーアップは「それを目的として行われたものではない」のだそう。

では「目的」は何なのかということですが、これは「レッドラインを引き上げてドライビング・エクスペリエンスを向上させ、許容回転数を7,500rpmまで引き上げること」。

そしてこの許容回転数の引き上げに伴ってピークパワーも26馬力増加することになったそうですが、これが「目的ではなく、副次的なものとしてもたらされた」結果である証として、社内資料では(レブリミット引き上げについては触れられていたものの)パワーアップについては一切言及されていなかったといい、つまりマツダは「パワーは重要ではない」と捉えているということなりそうです。

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マツダは実際にターボエンジン搭載を検討したことも

ただ、ロードスターへのターボエンジン搭載については、「我々は常に、どのような選択肢があるかを検討している」と答えており、「NDプログラムの最初に、どの(エンジンを)ロードスターに搭載するかを決めるとき、私たちはライトウェイト・スポーツカーの本質を見なければならないという結論に達しました。我々は高回転域を伸びやかに、どんどん力強く引っ張ってゆけるパワートレインを探していました。同時に、スロットルレスポンスについても即効性のあるものを求めています」。

さらに同氏は「ターボはここ10年で、広いパワーバンドでより大きなパワーを発揮できるようになりました。しかし、ターボでそれ(高回転やレスポンス)を達成するのは、まだ本当に難しい課題です。自分の体の反応性と同じレスポンスを持つことはターボでは実現できません」とも。

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基本的に、ターボはある領域で妥協することになります。低回転域でのレスポンスの良さを求めると、ターボを小さくしなければならなくなる。ターボを上まで伸ばそうとすれば、低回転域で何かを失うことになる。そういった問題を解消するため、CX-90では、トップエンドを得るためにターボを大きくし、ターボラグを埋めるためにエレクトリックモーターを使いました。

ただ、こういった複雑なシステムを積むことは間違いなくロードスターの特性を損ないます。

ただ、興味深いことにデイブ・コールマン氏は実際にターボエンジンの(ロードスターへの)搭載を検討したことがあるといい、以下のコメントも残しています。

もっとパワーのあるクルマが欲しいという気持ちはよくわかります。私はスーパーチャージャー付きロードスターを持っているし、ターボ付きロードスターも持っている。いろいろ試したことはここで強調しておきます。どれも素晴らしい。でも、そういったクルマが欲しければ、チューニングショップに頼ることをお勧めしたいと思います。

アフターマーケット は活発で健全です。このクルマ(ロードスター)が、人々がクレイジーなことをするためのキャンバスになるのはとても嬉しい。しかし、私たちが販売しなければならないクルマとして、このクルマの核となる価値を得るには、すべてが同じレベルで協力し合うというクルマ全体のアプローチが必要なのです。こうして私たちは、現代的で安全性が高く、2024年に販売する車を、1993年の初代ロードスターのような軽さに仕上げることができました。私たちは(パワーという)誘惑に負けず、軽量化そのものの価値を追求するフィーリングに集中することでそれを実現し。そして、より大きなパワーについては、アフターマーケットに任すこととしたのです。

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参照:CARBUZZ

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