>フェラーリ・ポルトフィーノ ■近況について

フェラーリ・ポルトフィーノの登録完了、車検証上の重量は公称値の1,664kgに対して1,750kg。「乾燥重量」「車両重量」「車両総重量」の違いとは?

2023/07/28

フェラーリ

| いよいよフェラーリ・ポルトフィーノの納車が数日後に近づいてきた |

今でもフェラーリを1年で2台買ったという実感が全く湧かない

さて、フェラーリ・ポルトフィーノの登録が完了し、無事に車検証が発行されることに。

そしてぼくがいつも車検証の内容にて注意して見ているのが「車体重量」です。

早速ポルトフィーノの車検証上の重量を見てみると、車両重量1,750kg、前輪荷重820kg、後輪荷重930kgという記載があり、これはフェラーリが公式に発表している「空車重量:1,664kg」に対して大きく相違のあるところ(乾燥重量は1,545kg)。

ちなみにカタログにおける前後重量配分は「46:54」なので、車検証上の数字から算出した「46.85:53:15」とほぼマッチしています。

車検証上における自動車の重量とは?

そこで自動車における重量表記についておさらいしたいと思いますが、おおよそ自動車の重量表記は3パターンあり、ひとつは「乾燥重量」、2つ目は「車両重量」、3つ目は「車両総重量」。※乾燥重量は一般的ではなく、車検証上でも使用されない

ここで順番に見てみると、まず「乾燥重量」については、車体に冷却水やオイルなどの液体を入れない状態で、英語だと「ドライウエイト」と表記されます。

この状態では当然エンジンをかけてクルマを走らせることができないのですが、こういった表記を行う理由としては「モータースポーツへの参戦を考慮している人のため」。

一般にレースにおけるレギュレーションにて定められる「重量」とは乾燥重量のことを指しており、よってそのクルマを購入してレースに出ようという人の指標となるように「乾燥重量」を記載しているわけですね。

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ただ、実際にはいかにスーパーカーといえどもそれを購入して(FIA公式の)レースに出ようという人はいないものと思われ、しかし自動車メーカーとしては「モータースポーツを意識したクルマである」「ちょっとでも軽く見せよう」という意図から市販車においても乾燥重量という表記を用いている(そしてそれが慣習になっている)とも言われていますね。

よってスーパーカーにおける「(メーカー公称の)車体重量」とはこの乾燥重量を指していることが多く、たとえばフェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンの場合は基本的に乾燥重量を公称値として採用していて、たとえばマクラーレン750Sの重量だと「1,389kg」。

しかしながらマセラティは乾燥重量ではなく(後述の)車体重量を公称値と採用しているためにMC20では「1,500kg」と表記されていて、数字だけを見ると「MC20も750Sも同じカーボンモノコックを採用しているのに、MC20はなぜこんなに重いんだ・・・」となってしまいます。

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ちなみにですが、フェラーリ・ポルトフィーノの場合は乾燥重量が(公称値で)1,545kg、同じく公称値での車体重量(フェラーリでは空車重量と表現している)は1,664kgとなっており、つまり油脂類や冷却水を入れ、ガソリンを満タンにすると119kgも増えてしまう、ということに。

そしてもし、マクラーレン750Sにおいても同じくらいの重量が(車体重量へと換算する際に)増えるとなるとMC20とさほど変わらない重量となり、となればMC20は「全然重くない」こともわかります。

車検証における「車両重量」とは?

そして次は車両重量について。

これは車検証上ではそのまま「車両重量」と表記されるものの、自動車メーカーのウエブサイトやカタログでは「車体重量」「車両総重量」もしくは「空車重量(フェラーリやポルシェ)」と表記されることも。

そして車検証上の基準に則って説明するならば、これは「乾燥重量」状態のクルマに対してガソリンを満タンにし、そして冷却水やオイルも注入して「走れる状態」としたものです。※上の例のように、だいたい100kgちょっと増えるのが通例である

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ただ、フェラーリはポルトフィーノの「空車重量(車両重量と同義だと思われる)」については1,664kgとしているのに、車検証上の車両重量は1,750kgとなっていて、この”プラス100キロ”は全くのナゾ(イタリア車にはよくある)。

一方で以前に乗っていたポルシェ718ケイマンだと、ポルシェが公表している空車重量である1,390kgに対して実際の車検証上の車両重量も1,390kgであり、これは他に乗ってきたマカンS、911(997)、981ボクスターなどでも同様だったので、ポルシェが公称値として掲示している「空車重量」は非常に正確であるということになりますね。

参考までにアウディTT(8S、8J)もカタログ上の車両重量と車検証上の車両重量とがピッタリ同じでなので、これは(いろいろとキッチリしている)ドイツ車の特性なのかもしれません。

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もう一つ参考までにですが、ランボルギーニ・ウラカンEVO RWDのの乾燥重量は1,389kgであり、車検証上の車両重量は1,600kg(211kg増えている)。

これを見るに、「イタリア車は、乾燥重量と車検証上の重量とに200kgくらいの差があり、ガソリンや油脂、冷却水等で増える100kgから、さらにナゾの100kgも増えるのが通例」と考えていいのかもしれません(ある評論家が、イタリアのスポーツカーの場合、登録時の重量は乾燥重量に比べて小錦一人分増えると言っていたが、それは正しい表現である)。

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車検証における「車両総重量」とは?

そして最後は車検証上の「車両総重量」。

これは至極簡単であり、上の車両重量に対して「乗員がフル乗車したと仮定した重量を加えたもの」。

具体的には乗員ひとりあたり55kgと計算しますが、フェラーリ・ポルトフィーノの場合は4人乗り(そう。忘れがちだがポルトフィーノは4人乗りである)なので55kg×4人で220kgとなり、1,750kgに220kgを足して1,970kgという数字となるわけですね。

なお、普通車(とくにスポーツカー)の場合、貨物や商用車とは異なって荷物の重量(最大積載量)は考慮されないことが多いようですが、車検証上の「車両総重量」が「車両重量+定員」よりも多い場合、その数字が最大積載量を表している、と言われています(仮に、ポルトフィーノの車両総重量が2,000kgだと記載されていたならば、車両重量+定員である1,970kgをそこから引いた残りの30kgが最大積載量である)。

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