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マツダがEVにて出遅れていることについて「スタートが遅れているのではなく意図的にレースに参加していないだけだ」とコメント。たしかに結果オーライではある

2023/12/13

マツダ

| 実際のところEVを多数投入し巨額の赤字を垂れ流すフォードやGMよりはずっとダメージが少ないのかも |

トヨタ同様、結果的に「出遅れ」がマツダの販売を助けることに

さて、マツダは現在電気自動車の投入にて後れを取っている状況ですが、マツダの毛籠勝弘CEOが今後の電動化戦略をカーメディアに語り、その過程にて自社の状況を「EVセグメント内での意図的な追随者」と表現。

つまりマツダは「出遅れている」のではなく意図的にEVレースに参加していないということになりそうです。

私たちにとって大きな問題の1つは、EVの需要が不確実であることです。現在の市場では、電動化、特にバッテリーEVの販売ペースがそれほど高くないのが現実です。したがって、立ち上がりという点では、少し遅くスタートするかもしれません。

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現在のマツダのEV販売比率は1%

現在マツダの電気自動車はMX-30とCX-90(プラグインハイブリッド)で構成されていますが、MX-30は黄昏の刻を迎えており間もなく販売終了となる見込みだと伝えられます。

もちろん販売終了が秒読みとなっているのは「高くない実用性」「貧弱な航続距離」が原因だと言われており、実際にマツダの販売全体に占めるEV比率は2023年通年だと(9月までで)1%未満。

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ただ、毛籠勝弘CEOによると、主要な市場である米国はじめ「世界中でEVの需要が減少している」と述べており、時期尚早な電気自動車への切り替えに対して非常に慎重な姿勢を示していますが、現実的な数字を見てみると、競争力のある電気自動車を持たないにもかかわらずマツダの販売は好調を維持しており、毛籠勝弘CEOは北米での販売台数が2025年には60万台を超えると予想している、とのこと。

一方で電気自動車に関しては「市場の動向を見守るつもりだ」と述べ、「今から2030年までの間は電動化の夜明けです。私たちはこの困難な道のりを乗り越えなければなりません。消費者のニーズと要望に対処する必要があるだけです。現在、顧客はバッテリー EV 以外の代替ソリューションを探しています」とも。

毛籠勝弘CEOのコメントはここ最近良く報じられる「EVはアーリーアダプターに行き渡っており需要が一巡してしまい、販売の中心がハイブリッドとPHEVに移りつつある」という現象を端的に示しているかのようですが、それでもマツダは「夜明けの先」を見ており、2030年までに7〜8台のEVを投入し、来る時代へと備えるもよう。

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マツダのEVは新部門「e-Mazda」によって設計・製造・販売される

そして報道によれば、これら新しいEVはe-Mazdaと呼ばれる新設部門によって設計、製造、販売されることになるといい、新しいスケーラブルプラットフォームを活用することでクロスオーバー中心の展開がなされることになりますが、小型EVを手頃な価格で提供するのは難しい(中国の自動車メーカーには勝てない)ため、おそらく小型電気自動車の製造を避け、ガソリン車同様に利益率の高い「ラージ商品群」的なラインアップになるのではとも見られています。

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さらに毛籠勝弘CEOは「EVを軽量かつ安価に製造すること」に重点を置き、現在では3種類のモーターサイズの提供を検討していること、パナソニックやエンビジョンAESCジャパンを含む3社の電池サプライヤーと提携していることにも言及していますが、EVの製造については「米国で製造したEVは税制優遇を受けることができる」という措置の対象となるよう米国で作られる可能性が高いのかもしれません。

そのほか、マツダが2つのEVプラットフォームを開発していることにも言及しており、うち1つは専用の電気自動車プラットフォームで、もう1つは従来の内燃機関およびハイブリッド セットアップにも対応できる既存の設計に基づいているといい、トヨタのAreneオペレーティングシステムを借用することで開発コストを抑えることにも触れていますが、トヨタが(コスト高のため)E-TNGAプラットフォームをゆくゆくは諦めざるのと得ないのと同様、MX-30用に開発したEVアーキテクチャについても「一世代限りで終わり」となる可能性が考えられます(そう考えると、EVまだまだ発展途上にあるため、技術の革新によって多くの”時代の波に飲まれては消えてゆく”製品やパーツが多数出てくるものと思われ、自動車メーカーにとって相当な負担となりそうだ)。

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なお、毛籠勝弘CEOは「EVの展開に際して2つのプラットフォームだけで十分」と語るものの、トヨタの開発するプラットフォームをそのものを(オペレーティングシステムだけではなく)使用しないのはちょっと意外であり、これについて同CEOは「それはマツダが独立したブランドであるためです」と語っており、EV時代においても独自性の高い、マツダならではの製品を作ってくれると期待していいのかもしれません。

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参照:Automotive News

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