| バッテリーパックはあまりに繊細なために一介の修理工場では再利用を行いたがらないだろう |
やはりEVはなにかとコストが掛かるのかもしれない
さて、トヨタが鳴り物入りにてデビューさせた電気自動車「bZ4X」。
発売されるやいなや「前輪が外れる可能性」というトヨタらしからぬ理由にてリコールがなされていますが、立て続けに事故車が販売されていてちょっとした話題に。
まずこちらはレッドの外装を持つ一台ですが、(販売しているCopartには詳細の記載がないものの)フロントを破損してしまいバンパーが外れた状態となっています。
ちなみに走行距離は602マイル(約968キロ)にとどまっており、つまりは新車から3回ほど充電しただけでこの事故に遭遇し、ジャンクヤードにたどり着いたということになりますね。
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一見すると修理できそうには思えるが
なお、このトヨタbZ4Xにつき、ダメージはフロントのみ、そしてそのダメージも大きくは見えず、つまり「修復可能」なレベルにあるように思えます。
このCopartが扱うのは主に「廃車扱いになった」クルマばかりで、つまりは修理不能と判断された全損車両が多いということになりますが(技術的・金銭的に修理が不可能だと判断され、保険会社が保険金と引き換えに回収した車両をここへ流すことが多いようだ)、そこから判断するにこのbZ4Xも同様の理由にてここへと流れてきた可能性も。
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もしかすると「サプライチェーンの混乱にて」パーツが手に入らず、そのために修理ができなかったという特殊な理由も考えられます。
以前には別のbZ4Xも廃車に
そしてこのちょっと前には別のbZ4Xもジャンクヤードから販売されており、こちらは明らかに修理不可能とひと目でわかるものですが、(円柱状の凹みが見えるので)なにかポールのようなものにぶつかったかのように見えますね。
なお、こちらもリアが無事ではあるものの、EVの修理はもちろん、パーツの再利用も非常に難しいと思われ、一見して問題なさそうに見えるバッテリーパックであっても、そのままの再利用はまず困難だと思われます(バッテリーパック内部のどこがどうなっているのかわからず、ショートや発火のリスクがある)。
よってEVの事故車については、修理費用(というか修理内容を確定するための調査コスト)がかさみ、そもそもバッテリーやインバーターなどの修理要不要を判断できる工場/ショップも少ないと考えてよく、かかる手間などを考慮すると、ちょっとした事故であっても廃車(全損)扱いになってしまうのかもしれません。※そして再利用できる部分が少なく、分解や不要部品の廃棄コストもかさむので、廃車となった車両の取引価格も高くはなさそうだ
そう考えるとEVはガソリン車に比較して「事故にて廃車になる確率が高く、修理できずに廃車となると廃棄時のCO2も発生してしまう」ためにエコとはいい難く、ユーザーや保険会社、関係する工場などの負担も増加しそうでもありますね。
トヨタbZ4Xは米国だと(一部)プレミア扱い
なお、トヨタbZ4Xは日本だと「リースのみ」の提供ですが、アメリカ市場では一般消費者に向けて販売されており、しかしここ最近の例によって「大きく価格を吊り上げて」販売するディーラーもあると報じられています。
ざっと例を挙げてみると、メリーランド州のトヨタディーラーが「25,000ドル以上」の価格を上乗せしており、ポートランド州のトヨタディーラーでは「9,999ドル」の追加料金を要求していますが、正直この価格で消費者がトヨタbZ4Xを購入するかどうかは甚だ疑問で、それは「同じ価格を出せば、もっといいEVを購入できるから」。
こういった傾向はホンダ、フォードやGMにも見られ、シビック・タイプR、F-150ライトニング、コルベットZ06、ハマーEVなどが「一方的な値上げ」の対象となっていて、GMは転売者に対してペナルティを課す旨の通知を各ディーラーに送信していますが、トヨタの場合は今のところ「静観」にとどまるようで、こういった現象につき、トヨタの広報担当は「トヨタでは、メーカー希望小売価格(MSRP)を設定しており、これはその名の通り、メーカーが提示する”希望”小売価格です。販売店は独立した事業主ですから、最終的な取引価格は、お客様と販売店とのやりとりの結果、決まるものです」とコメントしています。
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