| トヨタは一時期「クルーザー」を拡大採用しようと考えていた時期もあったようだが |
「ランド」シリーズをひとつのサブブランドに育て上げるほうがビジネス的には理にかなっている
さて、トヨタが2023年8月8日、「ランドホッパー」なる商標を日本の特許庁へと出願し、同月17日付で出願書類が公告されたとの報道。
役務(商標が効力を発揮する範囲)は自動車、オートバイ、そしておよそ自転車関連をカバーする領域内だとされています(特許庁の商標検索ではまだ出てこない。調べたところ7月18日出願のものが最新である)。
現時点では「ランドホッパー」が何を意味するのか不明ではあるが
今のところ、この商標が出願されたばかりなので、「ランドホッパー」が何を意味するのかはわからないものの、一部では先日のランドクルーザー250発表の際にちらりと表示されたコンパクトクルーザーのようなクルマの名称に用いられるのではないかという見方が大勢を占めています。
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ちなみにですが、ランドクルーザーの命名の由来について触れておくと、そもそもランドクルーザーの元祖である「BJ(1951年)」はGHQの要請によって開発されたもので、「B型エンジンを踏むジープ」の略。
しかしGHQはトヨタと同時に三菱にも同様のクルマの開発を依頼しており、そして三菱の車両が「三菱ジープ」として正式に採用されたためにトヨタは「ジープ」の名を使用できなくなり、そこで「ランドクルーザー(1954年)」という名称が考案されます。
「ランドクルーザー」はこうやって命名された
ちなみにですが、この「ランドクルーザー」の命名について、よく知られたエピソードがあり、当時オフローダーの世界的主流であったランドローバー(陸上の盗賊。ローバーは放浪者、探検者という意味があるが、賊という意味もあり、トヨタはそう解釈した)に対抗するという意味にてランドクルーザー(陸の巡洋艦)と名付けたという説が有名です(名付け親は当時の技術部長である梅原半三氏だとされる)。
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参考までに、トヨタの公式サイトでは以下の通りにその名の由来が記されており、上記エピソードは(有名ではあるものの)公式ではないこともわかります。※さすがに公的に「ランドローバーを駆逐するため」とは言えない
英語のランド(Land)「陸」、クルーザー(Cruiser)は「巡洋艦」で「陸の巡洋艦」という意味。
TOYOTA
ただ、いずれにせよ「クルーザー」は船に由来していることは間違いがないようで、となると「ホッパー」もやはり船に関する意味だと考えてよく(”ホッパー”自体には様々な意味がある)、そして船で「ホッパー」というと主に資材を運ぶ(そんなに大きくない)輸送船を意味するもよう。
そう考えるならば、「コンパクトクルーザーの市販モデル」に対し、クルーザー(巡洋艦)ほど大きくなく、輸送を主に担当する実用的な(陸上の)船という意味でランドホッパーの名称を与えるのは非常に理にかなっているように思います。
かつ「ランドなんとか」という名称を一つのサブブランドとして育てることでトヨタはランドクルーザー、そしてそのファミリーの知名度をもうひとつ上のランクへと押し上げることができるものと思われ、商業的な展開を非常に行いやすくなるのかもしれません(ランドデストロイヤー、とかあったらちょっと怖いけど)。
参考までに、トヨタは一時期「ランド」よりも「クルーザー」のほうを優先させようとしており、その際に登場したのが「コンパクトクルーザー」、そして「ルナクルーザー」。
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しかしその後(ぼくの推測ですが)「クルーザーよりもランド」を優先しようと考えたのだと思われ、それが今回の「ランドホッパー」の出願に繋がり、そして今後はどんどん色々な名称が出願されるのではないか、とも考えています(ランドヨットとかランドスキッパーとか)。※コンパクトクルーザーの「コンパクト」はSUVの商品名としてはよろしくないと思う。荷室の狭さを連想させ、マッチョ文化のアメリカ人男性が”コンパクト”と名のつくクルマを買うとは考えにくい
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参照:Autoblog