>トヨタ/レクサス(Toyota/LEXUS)

トヨタが現在2.4万台/年のBEV生産を2024年に19万台、2025年には60万台に引き上げる計画を持っていると報じられる。現在取り入れた「秘策」が前倒しで奏功できれば実現の可能性も

2023/09/30

トヨタ

| トヨタは「より競争力のあるEVを作るため」これまでの計画を大きく変更している |

現在は様々な計画が進行中、そしてそれらが結実することを前倒しできるかどうかに成否がかかる

さて、報じられるところによれば「トヨタはBEVの生産を大幅に拡大しようとしており、2025年にはBEVの生産台数を2024年の3倍にする」という野心的な計画を持っているもよう。

なお、2022年にトヨタがワールドワイドで販売したBEVはわずか24,000台程度であり、しかし2023年の目標は15万台(進捗状況は不明である)。

そして今回の報道では「2024年に(トヨタ・レクサスあわせて)生産されるBEVは19万台に達する」「2025年にはその3倍以上の60万台を生産する計画を持っている」と報じられていますが、トヨタは先の説明会にて「2026年には150万台のBEV生産を行う」とも述べています。

1

トヨタが新体制方針説明会を開催し「2026年までに10モデルのEV投入」「150万台の販売」を目指すと発表!今回の計画はかなり謙虚そして実現性が高そうだ
トヨタが新体制方針説明会を開催し「2026年までに10モデルのEV投入」「150万台の販売」を目指すと発表!今回の計画はかなり謙虚そして実現性が高そうだ

| 豊田章男社長時代とは大きく異なり、「風呂敷を広げない」着実な計画を示してきたようだ | それでも「クルマ屋」「運転が楽しい」を中心的価値として維持 さて、トヨタが佐藤恒治氏を新しく社長に迎えて「新 ...

続きを見る

果たしてトヨタはこの計画を実現できる?

これらをまとめると、一部トヨタ公式ではない数値も含まれるものの、ざっと以下の通りに。

  • 2022年・・・2.4万台
  • 2023年・・・15万台(目標)
  • 2024年・・・19万台(推測)
  • 2025年・・・60万台(推測)
  • 2026年・・・150万台(目標)

これを見るに相当に野心的な計画だと言ってよく、たとえば主戦場である北米だとトヨタの発売するEVは現在トヨタbZ4XとレクサスRZのみ。

現時点でこの2台のみということを鑑みるに、2023年の「15万台」という目標はかなり難しいかもしれません。

そしておそらく、2024年あたりまでは目標の達成はかなり困難だと思われるものの、2025年あるいは2026年には目標を達成できる可能性もゼロではなく、というのも先ごろから報じられているとおりに「最新のギガプレスシステムを実証済み」、「生産工程を簡素化することで製造時間を短縮する」、「ベルトコンベアーの代わりに自走式生産を採用しスペース効率向上を図る」など生産面における革新を行い、EVの生産コストを抑え、より競争力のある価格での販売を可能とし、その状況においても十分な利益を確保できる体制を作ろうとしているため。

Toyota (2)

トヨタの新技術は「今まで数時間かけていたものが3分でできる」。2026年の新世代EV」製造に使用するギガキャストが公開され、飛躍的な進歩をアピール
トヨタの新技術は「今まで数時間かけていたものが3分でできる」。2026年の新世代EV」製造に使用するギガキャストが公開され、飛躍的な進歩をアピール

| 加えてトヨタは車両製造にかかる時間を5時間に短縮したいと語るものの、テスラは40秒に一台を作っている | まだまだテスラに対抗するまでの道のりは遠いが、トヨタは着実に歩を進めている さて、トヨタは ...

続きを見る

加えて車両制御等に関するソフトウエア開発に注力すること、さらにはバッテリー技術、特に充電時間の短縮と航続距離の延長を約束するソリッドステート・バッテリーにも力を入れていることも明かされており、ソリッドステートバッテリーについては「トヨタが世界で初めて、自動車用として実用化する」という話も聞かれます。

トヨタ
トヨタがBEV向けバッテリー戦略「最新版」を公開。用途や車種にあわせ「パフォーマンス」「普及」「高性能」そして「ソリッドステートバッテリー」の4つを順次投入

| 本腰を入れたトヨタの展開には大きな期待がかかる。ここからの「巻き返し」なるか | トヨタはソリッドステートバッテリーの実用化では「もっとも先を走っている」と言われるが さて、トヨタはすでに複数箇所 ...

続きを見る

トヨタは思い切った刷新を実行

なお、トヨタはBEVに関しては明らかに欧米のライバルに対して出遅れていますが、逆に先行した欧米のライバルは中国製の安価なEVとの価格競争に巻き込まれてしまい、とくにフォルクスワーゲンやステランティスなど、普及価格帯のEVを製造する会社の計画にはかなり大きな狂いが生じていると言われます。

そして「すでに多大な投資をしてしまったために」方向転換が難しいという状況もあると報じられますが、反面トヨタは「出遅れたので」BEV競争において走った距離がまだ短く、よって一旦引き返して装備を整えて再出発できるだけの立場にあり、実際にいくつかの計画を破棄して上述の「ギガキャスト導入」含む新しい方向へと舵を切っています。

7

ただ、この仕切り直しはつい先ごろ始まったばかりなので、開発が完了し新しいBEVが投入されるにはまだ2-3年を要し、トヨタはそれまで何らかの方法でこの局面を乗り越えねばならないということになりますが、2026年前後を境として急激に「方向転換の成果」が現れてくるのかもしれません。※まだまだここからブレークスルーが生じ、開発期間を短縮できる可能性もゼロではない

合わせて読みたい、関連投稿

トヨタ・クラウン
見通しが甘かった?トヨタが「このままEV計画を進めると採算が合わない」として計画の見直しと一部停止。クラウン、コンパクトクルーザーの開発停止も

| ボクは常々、2021年末の「EV新戦略」は株価対策のポーズでしかないと考えていたが | どう考えても、トヨタ含む日本の自動車メーカーのEVに対する姿勢は世界標準からかけ離れていた さて、トヨタが「 ...

続きを見る

トヨタ
トヨタが米国にEV生産工場を建設との報道!現在グローバルで2.4万台にとどまるEV生産を数年後には「100万台」に拡大する計画

| いかにトヨタといえど、さすがに数年後に100万台の生産というのは無理があるかもしれない | それでもトヨタが今後生き残ろうとすれば、この計画を達成するよりほかはないだろう さて、トヨタは先日社長が ...

続きを見る

トヨタ
まさかのトヨタ大逆転?EV普及のハードルが下がってもEVが売れず、調査機関はこぞって「これからしばらくはハイブリッドが主流となるだろう」と予測

| もちろんハイブリッドはトヨタが圧倒的にアドバンテージを持つ分野であり、その認知度も非常に高い | 一方、GMはじめいくつかの主要メーカーはEV重視政策のためハイブリッドに関しては無関心であった さ ...

続きを見る

参照:Nikkei

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->トヨタ/レクサス(Toyota/LEXUS)
-, , , , ,