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トヨタが中国市場向けとして「BYDとの共同開発によるPHEVを数モデル投入」との報道。効率性を重視し最大航続距離は2,000kmに達するとのウワサも

トヨタ

| やはり中国で販売しようと考えるならば、現地企業と手を組むのが一番いい |

とくにEVやPHEVにおいて高いコスト比率を占めるバッテリーは中国企業に優位性がある

さて、トヨタがBYDとのパートナーシップに基づき、2〜3年以内に中国専用モデルとして数台の新しいプラグインハイブリッド(PHEV)モデルを導入する予定との報道。

そしてこれら新型車はBYDのPHEV DM-iプラットフォームをベースにしていると言われ、トヨタがハイブリッド用として保有するTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)プラットフォームに関しては「今後中国で使用されない」とも報じられています。

なお、このTHSを使用しない理由としては、「THSはハイブリッド電用でPHEV化できず」、そのためこのプラットフォームを使用した場合、中国ではNEV(新エネルギー車)としての認定を受けることができないからだとされ、そしてNEV認定がなされないと”緑色”ナンバープレートを取得できず、そうなれば(ユーザーが)税制含む優遇措置を受けることができなくなってしまうわけですね。

トヨタとBYDによる新型PHEVは高い経済性を誇る

ちなみにトヨタは以前、中国向けとして「レビン」「トレノ」のPHEVバージョンを投入したことがありますが、これらは「売れなかった」とされ、その理由はちょっとナゾ。

投入時期が早すぎた(2018年)のか、それとも価格が高すぎたのか、PHEVとしての性能が魅力的ではなかったのかはわからないものの、今回の新型車はこのレビン / トレノで使用したプラットフォームを採用せず、その代わりに使用するのが上述のBYD製プラットフォーム。※THSにせよ、このレビン / トレノ用のプラットフフォームにせよ、短期間で「捨てねば」ならないほど業界の進化が早いということになる

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このプラットフォームは「DM(デュアルモード)」と命名されており、初登場は2008年ながらも頻繁にアップデートが繰り返され、今月にはその第5世代が登場すると言われます。

そして最新のDMプラットフォームはなんと「満充電、ガソリンタンク満タン」の状態で約2,000kmの走行を可能にするとされ(CLTCサイクル)、非常に優れた性能を持つということに。

なお、「DM」シリーズにはいくつかのバリエーションが存在し、DM-i(インテリジェントバージョンで、低消費電力と効率を重視)、DM-p(全輪駆動 =AWD)またはオフロード車に使用)、さらにはハードコアなオフロード車専用のDMOもラインナップされています。※DMOはBYDの高級ブランド、Fang Cheng Baoから発売予定のSUVに使用される

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トヨタとBYDとの関係性は非常に深い

トヨタはBYDと多大な協力を行っており、両社は2021年に折半出資の合弁会社、「BYDトヨタ電気自動車技術」を設立しており、2023年には(中国では2台目となるBEV=完全電気自動車)bZ3セダンをBYDと共同にて設計し発売済み。※bZ3にはBYDがLFPブレードバッテリーパック、エレクトリックモーター、その他の車載技術を提供している

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参考までに、トヨタは中国で2つの自動車メーカーと合弁事業を行っており(第一汽車との一汽トヨタ、そして広州汽車集団との広汽トヨタ)、しかし現在のところ中国では2社までしか(車体生産を行うための)合弁事業を展開できず、よってトヨタはBYDとの関係性を深めたとしても、その合弁内容は「(車体の製造ではなく)技術の開発」にとどまり、実際に生産を行うのは一汽トヨタと広汽トヨタの2社になるものと思われます(そのため、BYDのプラットフォーム技術を一汽トヨタと広汽トヨタが購入するというややこしい形になるものと推測される)。

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Image:BYD(X)

そしてトヨタが中国にてBYDとの合弁企業を設立し電動化技術を行う背景としては、「中国の会社のほうが中国内のサプライチェーンを最大限に活用した、スピーディーで効率的な開発と原材料の入手ができる」からだと思われ、これはとくにバッテリー技術において顕著なのかもしれません。

そう考えるならば、今後BYDそしてCATLは様々な自動車メーカーとの提携を行い、日米欧の自動車メーカーにとって「なくてはならない」存在へと変化してゆく可能性が高くこれら二社の企業価値がますます高まることになりそうですね。

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参照:LatePost

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