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中国BYDがテスラに宣戦布告!「2023年はテスラを抜いてEV販売世界一になる」。国内市場の混乱や輸出不調など不安要素があるも「問題ない。どれも軽微でしかない」

中国BYDがテスラに宣戦布告!「2023年はテスラを抜いてEV販売世界一になる」。国内市場の混乱や輸出不調など不安要素があるも「問題ない。どれも軽微でしかない」

| ただし2023年第1四半期はテスラに大差をつけられて後塵を拝しており、ここからの盛り返しは容易ではない |

それでも強気の発言を行うからにはなんらかの勝算があるのだろう

さて、中国の大手EVメーカー、BYDが「2023年にEVの販売台数でテスラを抜く」と宣戦布告を行って話題に。

これはBYDの王伝福会長が香港にて開催されたカンファレンスの場で投資家に向けて語ったもので、2023年には全車種の販売台数を世界全体で(2022年比で)2倍の360万台にするという野心的な目標を掲げています。

なお、BYDはもともとガソリン車の製造からスタートしており、つまり最近出てきたばかりの新興EVメーカーではなく(BYDの創業は1995年)、しかし数年前にはすべての車両を電動化しており、現在はEVとハイブリッドのみというラインアップを持っています。

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ただしBYDの思惑通りに進むかどうかはわからない

テスラは2023年に「180万台」の目標を掲げていますが、BYDは上述の通りEV以外も販売しており、よって2023年の予定販売台数である360万台のうち180万台以上がEVにて占められ、これによってテスラを抜く予定だと考えて良さそうですが、BYDの現在の販売のうち約半分がEVだとされるので、もしBYDが360万台の販売に成功すれば、そして2022年の販売構成を維持できれば、さらにテスラの販売台数が180万台以下であれば、BYDがテスラを抜くことは文字通りの現実になるものと考えられます。

ただ、ここで注目すべきは2023年第1四半期の販売台数であり、テスラはこの期間に42万台を販売したものの、BYDの(EV)販売は26万台にとどまっており、ここからテスラを挽回しようとなると第1四半期の倍ほどのペースでの納車が必要となってくるわけですね。

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実際のところBYDはテスラへのキャッチアップを行うべく、年間生産能力を現在の290万台から450万台に拡大するとも報じられており、今年後半以降にその販売台数を大きく伸ばす計画を持っているものと思われます。

しかしながらBYDにとってはいくつかの不安要素もあり、ひとつはお膝元の中国国内販売。

昨年末に中国ではEV補助金が打ち切られており、この補助金はそれまでEV販売伸長に大きく寄与してきただけに販売への影響は免れないところ。

テスラの(度重なる)値下げはこれを受けてのことだと思われますが、割安感の出たテスラにBYDがどこまで食らいついて値下げを行えるかによってその成否を問われることになるのかもしれません。

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さらにBYDは国内販売網における顧客サービスにも課題を抱えているといい、不満の声が多数上がっている消費者対応を改善せねば国内でのセールスを伸ばすことは難しいものと思われます。

なお、テスラは「アジア、アメリカ、欧州」といった3大市場をしっかり押さえているものの、BYDの販売は「ほぼ中国に依存」していて、つまり海外市場ではほぼ売れていないというのが現在の状況であり、これはひとえに「BYDが海外市場での競争力を確保できていない」からですが、販売の浮き沈みが大きく、かつライバルの多い中国市場をメインとしつつテスラと戦ってゆくのは相当に難しい、と考えてよさそうです。

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BYDは強気の姿勢を崩さない

ただ、第1四半期でテスラに大きく差をつけられながらも「テスラに勝つ」という構想を打ち出すだけあって、BYDは強気の姿勢を崩しておらず、王伝福会長によれば「いかなる要素も軽微な影響しか与えない」。

実際のところ、その強気を象徴するかのように「仰望」なる高級ブランドを立ち上げ、ここからは1,000馬力オーバーのSUV「U8」、そしてやはり1,000馬力オーバーのハイパーカー「U9」を上海モーターショーにて公開する見込みですが、これらについてはその価格帯を考慮すると販売台数には大きく貢献しないものと思われます。

しかしながらBYDは中国で唯一黒字化に成功している電動車メーカーだとされ、自社でバッテリーを製造するなど供給網もしっかり整備されており、世界中を見渡してもテスラに対抗できる唯一の自動車メーカーだという向きも(ウォーレン・バフェットもその一人だと思われる)。

テスラCEO、イーロン・マスク氏も「テスラのライバルが登場するとしたら、それは中国からでしょうね」と語っており、名前を出さないまでもこれがBYDを指していることは間違いなく、両者の攻防には注目が集まるところでもありますね。

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参照:Nikkei Asia

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