| 価格は税込み440万円、航続可能距離は485km。ATTO 3のコストパフォーマンスはかなり高いが |
なんといっても最大の障壁は「中国の自動車メーカー」だと思う
さて、日本への本格参入が報じられていた中国の自動車メーカー「BYD」。
これまではバスなどの業務用車両において日本国内での販売を行っていたものの、今回はじめて一般向けの車両として「ATTO 3」を発売するとして公式にプレスリリースが発行されています。
ちなみにBYDは電気自動車販売台数世界No.1であり、バッテリーから車両までを一貫して生産できることから「非常に利益率が高い」メーカーだと言われており、多くの中国自動車メーカーが「シェア確保ため、赤字を出してでも安く売る」という姿勢を貫く中、BYDだけが唯一利益を出している、とも報じられていますね。
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ただしBYDの利益の多くが「マスク」だった
参考までにですが、BYDが儲かっているといえど、その利益の62%は「マスク」。
実際にBYDの公式サイトを見ると、「製品・サービス」というコンテンツには「電気バス」「EVフォークリフト」といった製品に混じっていきなり「マスク」が登場しており、そして日本はマスク消費大国なので、すでにぼくらは知らず知らずのうちにBDY製品(マスク)に親しんでいるという可能性もありそうです。
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BYD「ATTO 3」はこんなクルマ
余談はさておき、今回発表されたATTO 3(アットスリー)を見てみると、ボデイ形状というかセグメントとしては「SUV」。
全長4,455ミリ、全幅1,875ミリ、全高1,615ミリという意外と大きな車体を持ち、58.56kWhのバッテリーを積み、パワートレーンは150kW(204PS)を発するシングルモーターを搭載しています(駆動輪は前輪のみ)。
一回の満充電あたりの走行距離は485km(WLTC)というなかなかの実用性を誇りますが、やはり驚かされるのは税込みで440万円というその価格で、コストパフォーマンスという点ではかなり競争力があると思います(ただ、中国メーカーということ、知名度の低さは大きなビハインドでもある)。
構造としては、BYDが独自に開発した「ブレードバッテリー」を搭載したこと、EV専用のプラットフォーム「e-Platform 3.0」を採用したことでフラットなフロア、広い車内を実現したことがトピックで、予測緊急ブレーキシステムやBYDアラウンドビューシステム、ブラインドスポットインフォメーションなどの先進安全・運転支援機能の充実、V2L(Vehicle to Load)とV2H(Vehicle to Home)への対応による停電時の電源供給やキャンプ時の電源としてのユーティリティについても強く主張がなされています。
なお、このATTO 3が中国で発売されたのは2022年2月だそうですが、現在はオーストラリアやタイでも販売がなされており、10月末までの全世界における累計販売台数は14万3,000台だというので、かなりのヒットだと考えてよいかと思います。
加えて今後、ドイツやフランスなどを含む欧州9ヵ国での販売も決定しており、Euro NCAPの安全性評価では最高評価の5つ星を獲得するなど、その世界制覇の準備が着々と進められているクルマだということになりますね。
ちなみにインテリアは「フィットネスジム×音楽」をモチーフにデザインされたとアナウンスされており、とくにドアトリムは「弦」をモチーフとしていて、これを弾くと「音を奏でる」とのこと。
BYDは本気で日本での展開を狙う
なお、今回の発表でぼくが驚いたのは「BYDが本気で日本展開を考えている」という事実。
その「本気」のひとつが、2023年1月から日本全国15都道府県において22の販売拠点を開設し、販売や展示はもちろん、アフターサービスに力を入れるというもので、これは同じ中国ながらも「日本人には販売する気があまりない」紅旗とはちょっと異なる部分でもありますね。
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加えてBYDは、このATTO 3以降、2023年中盤にコンパクトEV「ドルフィン(DOLPHIN)」、2023年後半にエレクトリックセダン「シール(SEAL)」の発売を行うとコメントしており、相当な意気込みを感じさせますが、ATTO 3についてはサブスク型リースプラン(BYE eフラット)の導入、大規模試乗イベントの開催(しかも新宿マルイ)も行われていて、実際にどこまで販売を伸ばせるのか注目したいところ。
ちなみに2022年11月末までに登録されたBYDの乗用車は11台ですが、これらはすべてデモカーだと思われ、今後の数字も追ってみたいと思います。
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参照:BYD