| いったいなぜ中国でヒュンダイが売れないのか |
ただし中国でEVが売れないのはフォルクスワーゲンのみではない
さて、ヒュンダイ(ヒョンデ)が「世界ナンバーワンの自動車市場」である中国で存在感を示すことができないという報道がなんどかなされていますが、なんと今回は「今年はじめに発売したEV、ミストラ(中国名:名図)がわずか69台しか売れていない、というニュース。
現在中国ではEVが大きな盛り上がりを見せているものの、その中で「ヒュンダイが復権を狙った渾身の戦略車」が売れなかったというのは大きな痛手だと考えられ、しかしヒュンダイはこの解決策が全く見つからない、とも報じられています。
ちなみに(EVではありませんが)ヒュンダイは高級ブランド「ジェネシス」を中国にて導入して販路拡大を狙っていて、しかしこちらも予定通りに販売が進まずに困っているもよう。
エレクトリック版ではない「ミストラ」は人気モデルだが
なお、このミストラにはガソリン版も存在し、このガソリン版は2013年の発売以降年間10万台が売れるヒットとなっていて、よってヒュンダイは「このEV版も売れるに違いない」と踏んだのだと思います。
さらにこのミストラEVは、同クラスのライバルに比較すると20キロくらい航続距離が長いことから市場でも有利に推移すると考えられていただけに「なおさら」この結果は理解できないということになりそうですが、ミストラEV以外のEVについても販売が「非常に」よろしくないといい、ラフェスタEVは884台、エンシノ(他の国ではコナ)EVは602台にとどまっていて、ヒュンダイは欧米で大人気のEV「アイオニック5」を中国市場に導入する計画を持っているものの、アイオニック5まで売れなければもう「全滅」。
参考までに、ガソリン車を含めての(中国におけるヒュンダイの)年間販売目標は56万台だそうですが、現時点での1-9月の合計販売台数は25万台にしかすぎず(ガソリン車の販売も落ちているらしい)、このまま不振が続くことになりそうです。
-
ヒュンダイの新型EV、アイオニック5が欧州でも爆発的人気!2020年に欧州でテスラが販売した台数の2.4倍の予約を数日で獲得、何がそんなにスゴいのか?
| アイオニック5は「テスラキラー」最右翼と見られるが | さて、先日は「韓国にて、ヒュンダイ(ヒョンデ)アイオニック5の今年生産分が1日で完売」とお伝えしましたが、今回は欧州でも大人気というお話。具 ...
続きを見る
なぜヒュンダイは中国で人気がないのか?
ヒュンダイが中国で売れない理由としてはいくつかが論じられていますが、もっとも大きな要因として「中国におけるヒュンダイのイメージはそもそもよくない」とも言われており、他社のクルマと比較して明確なアイデンテティがなく、品質がよくない、タクシーに使用される車、という印象が持たれているもよう。
よってこの状態でジェネシスを発売しても高級車とは認識されないのかもしれません。
なお、中国にはEVメーカーが300超も存在すると言われ、さすがに中国といえどもこれは競争過多。
よって中国のEVメーカーの間では価格競争が発生していると考えるのが妥当であり、「安く作り、安く売る」EVが大量に存在するものと思われます。
-
中国のEVメーカーは現在300社、さすがに中国政府も「多すぎ」と語る。しかし半年前には「400社」が存在し、6ヶ月で100社も倒産
| 中国の「起業ブーム」「流行に乗る勢い」は凄まじい | それにしても、よく起業のための資金をかき集めることができるものだ さて、中国は「EV生産台数世界No.1」を目指しており、国策としても電気自動 ...
続きを見る
そして原価そのものも中国メーカーのほうが安い可能性があり、よって外資系自動車メーカーのEVは競争力に欠ける可能性もありそうですね。
-
中国で大人気、50万円以下の「宏光ミニEV」。1台売って1500円しか利益がないと報じられるも、「台数を売りたい」その理由とは?
| もしかすると、宏光ミニEVはGMとWulingとの合弁会社に大きな利益をもたらすかもしれない | 現代の自動車は「単体」での損益を語ることができなくなっている さて、とにかく中国で「売れに売れてい ...
続きを見る
なお、ヒュンダイの名誉のためにいうならば、フォルクスワーゲン入魂の「ID」も中国ではさっぱり売れておらず、これもやはり「価格的に魅力がない」のかもしれません。
-
VWの頼みの綱、「ID」が中国で全く売れず。現時点で販売計画の1/10程度にとどまり、このままでは大コケする可能性も
| VWにとっての最大市場、中国でEVが売れなければ「この先はない」 | フォルクスワーゲンは全力でこの状況を改善しようとするはずだ フォルクスワーゲンが満を持して発売したEVシリーズ「ID」について ...
続きを見る
さらに言うならば2021年中盤までの(欧州における)統計だと、フォルクスワーゲン(水色の折れ線)は圧倒的に(テスラよりも)売れており、ヒュンダイ/キア(オレンジの折れ線)はテスラに僅差で迫っています。
にもかかわらず中国においてフォルクスワーゲンとヒュンダイのEVはさっぱり売れておらず、そしてテスラは相変わらず売れていて、ここはやはり「テスラのブランド力」が相当に強いのだと改めて思い知らされるところですね。
-
2020年の欧州EV市場において「テスラのシェアが1位から3位に下落、4位に転落寸前」。どうしてこうなったのか、そしてシェア回復策はあるのかを考える
| 短期的に見るとテスラはシェアを失い続けるだろう | さて、2019年の電気自動車市場においては「テスラしか売れてない」という状況でしたが、その裏にあったのは「そもそもテスラ以外の選択肢がほとんどな ...
続きを見る
参照:Chosun Online, Hyundai