■駄文(日々考えること)

「ポルシェが事故」。なぜ「ポルシェ」「フェラーリ」「マセラティ」などは実名報道され、「自動車」と表現されないのか?それは「ノーバン始球式」と同じだと考える

2022/06/17

ポルシェ

| 誰でも知っている、そして共通のイメージを持たれてはじめてその名に記号性が生じる |

そして多くのメーカーや人がその記号性を獲得しようと躍起になっている

さて、今週続いた「マセラティ」「ポルシェ」の暴走事故。

これらについては報道番組やYoutube上にて「自動車」ではなく「マセラティ」「ポルシェ」というメーカー名で報じられており、動画へのコメントを見てみると「なぜほかのメーカーと同じく”自動車”と報道しないのか」という違和感を示している人が多数いるもよう。

これについて、単純に「ポルシェやマセラティは記号性が高いから」だとぼくは考えていて、つまり多くの人の注意を喚起しやすいからだと考えています。

たとえば「自動車が暴走」というよりも「ポルシェが暴走」としたほうがそれを見る人の注目を集めやすく、なぜかというと「高級車に乗ってイキったヤツが事故。ざまぁ」と思ってそのニュースを見る(クリックする)人が増えるということですね。

【動画】東京・宮城でそれぞれマセラティ、ポルシェ911が歩道と幼稚園に突っ込む事故!ポルシェ911の場合は「アクセルとブレーキの踏み間違え」
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| 幸いながらボクはこういった事故の経験はないものの、自分がこうやって「事故を報じられる」立場になる可能性もゼロではないと考えている | そのためには常に慎重に安全運転を心がけるようにしているが さて ...

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現代においてネガティブワードやパワーワードは非常に協力

そのほか「フェラーリ」「高級車」「ベンツ」「スポーツカー」も非常にパワーのあるワードですが、要は人々になんらかの連想をさせる(ネガティブな印象を持たせる)ワードは非常に有効であり、こういったワードを盛り込むことでそのニュースに注目を集めることが可能です。

今回の例には当てはまらないものの、たとえば「園児」や「老人」も注意を引きやすいワードだとも考えていて、たとえば「自動車が暴走」よりも「老人の運転するポルシェが園児の列に突っ込む」となると非常にパワフルなタイトルとなり、タイトルを見た人は「また老人のペダル踏み間違いか。早く免許返納しろよ」とプンプンしながらニュースや動画を開くことになりそうです。

ちなみに数年前だと「プリウス」もこれに該当し、「プリウスが暴走」というニュースを見るに、「またか・・・」という反応を示す人が多く、つまり当時「プリウス=事故が多い」という認識が一般的であったわけですね。

要は、メディアがそのニュースに関心を持たせるために「ポルシェ」「マセラティ」を用いているわけですが、これもある意味ブランド力の裏返しと言えそうで、たとえば「アウディで事故」という報道はほぼ見かけず、つまりアウディはメディアにとって記号性が低く、パワーワードとして認定されていないということなのかも。

参考までに、プロサッカー選手が「成果をあげたときにだけ報道されるだけでは不十分。不調なときにも報道されて初めて一人前」とコメントしていたことがありましたが、こういった事故の際に「社名(車名)で報道」されるようになってはじめて、その自動車メーカーや車種が記号性を持ち得たとも言えそうですね。

そのほかにはこんな例も

なお、クルマの他にもこういった例は多く、「会社経営者」「無職」もけっこうなパワーワード。

そして「美人」も同じで、「美人OL」「美人弁護士」など、職業の前にくっつけるだけで破壊力がぐんと増します。

さらに端的な例だと「ノーバン始球式」であり、これはもう説明不要のお約束かもしれませんね(このほかにも、特定の事象を連想させることを意図したタイトルも非常に多い)。

ざっとまとめると、車名や社名、なんらかの特定の形容詞をつけて報じられるのは、それらに「価値」がある場合だけで、価値がなければ無記名であったり、そもそも報道がなされないということになり、その価値は有名税のようなものだとも考えています。

そしてメディアはニュースに価値を添えるためにそういった表現を用いていて、それに反応するのがニュースを見る人でもあり、そうやって今日も世界は平和に回っているのだと思います(このサイクルが変わることはないだろう)。

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