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過去最大規模の新車を追加したフェラーリ。それでも「台数を追求するわけではない」と語るナゾ。株価は812GTS、F8スパイダー発表後に大きく下げる

2019/09/16

| フェラーリは販売台数を伸ばせないという珍しい営利企業 |

ferrari

フェラーリが「販売台数の増加には興味がない」とコメント。
これはフェラーリF8トリブート、812GTS発表の場にて、フェラーリのマーケティング部門を管理するエンリコ・ガリエッラ氏がカーメディア、The Driveに語ったもの。
さらにフェラーリは「常に生産台数は需要以下に留める」とも述べています。

フェラーリにとって重要なのは「希少性の維持」

フェラーリは現在株式を公開しており、そのために利益を伸ばして株主の期待に応える必要がありますが、かと言って販売台数を増やすと「稀少性が保たれなくなる」ということでファンからの反発を食らうという難しい立場にあります。

よって「販売台数を増やさずに利益を伸ばさなくてはならない」という無理難題に取り組む必要があり、そのための手段の一つが「ワンオフモデル、超少量生産モデルの投入」。

ワンオフモデルについては「1台3億円から」という破格の販売価格となるものの、それでも5年待ち。

超少量生産モデルはモンツァSP1/SP2のような限定車を指しますが、こちらも非常に人気が高く、フェラーリの屋台骨を支えることになりそう。

ただ、いかに人気があったとしても、年間の販売台数1万台に迫るというフェラーリにとって、年間「数十台」レベルの限定モデルの利益ではさほど大きなインパクトはなく、やはりフェラーリとしては「台数」を追求したいのかもしれません。

実際のところ、フェラーリはその禁忌を犯し「フェラーリ初のSUV」を発売することを決定していますし、この50年間「限定モデル」としてしか販売してこなかった「V12エンジン搭載のオープンモデル」を通常製品(812GTS)としてラインアップに加えています。

さらにはF8トリブート発表後には「まだまだニューモデルが発表される」とコメント。
実際にこの後SF90ストラダーレ、F8スパイダ、812GTSが発表されることに。

つまり、今年はフェラーリにとって「過去にないほど」多数のモデルを発表した年でもあり、さらに年内にはまだ(計算上)なんらかのニューモデルが控えている、ということになりますね。

順当なところだと、フェラーリは「V8 GT(ポルトフィーノ)」「V8スポーツ(F8トリブート)」「V8スポーツのオープン(F8スパイダー)」「4座(GTLルッソ/GTC4ルッソV8」「V12スポーツ(812スーパーファスト)」という5つのモデルを持つことになっていたはずですが、現在は「SF90ストラダーレ」「812GTS」がここに加わり、さらにまだ最低1つのモデルをプラスするとなると、「5つ」が「8つ」に。

そして、この状態で「台数を追求しない」というのはちょっと無理があり、台数を増やさずにバリエーションを増やすとなると、「一台あたりの生産台数が少なくなる=生産効率が悪くなる=利益が減る」ということにも。

そうなると当然全体の利益が増えるということは考えにくく、それを反映してか、812GTSとF8スパイダーが発表された直後にフェラーリの株価は大きく下がっています(もしかするとこのほかに利益の見通しが暗くなるような発表があったのかも)。

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もしかすると今回の「台数を追求しない」というのは、ニューモデル発表によって下げてしまった株価対策かもしれませんね。

通常は車種を増やしたり、販売台数を増やすと評価が上がるものですが、逆にそれで評価を下げる企業はフェラーリをおいてほかになく、フェラーリの経営は本当に難しいものだ、と思います。

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