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ちょっと待て。こんなに安くていいのか?アルトワークスに試乗する

2016/12/22

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アルトワークスに試乗。
試乗車はFF、5AGS。

車重は690キロ、エンジンは3気筒ターボで軽自動車規格めいっぱいの64馬力。
スペック的には規格のせいで「標準的」な範囲に止まりますが、驚くべきはその装備。

レカロシート、ブラックホイール、レッドブレーキキャリパー、KYB製ショックアブソーバーといった走り系「定番」の装備が最初から備わっており、それで価格は1,509,840円。

さらにはアイドリングストップ、レーダーブレーキ、ESP、キセノン(ディスチャージ)ヘッドライト、ブレーキアシスト、セキュリティアラーム、キーレス、プッシュ式エンジンスターター、電動格納式ドアミラー、アルミペダル、レザー巻き(サイドはディンプル加工)ステアリングホイール等も標準装備となっており、正直なところポルシェ・ボクスター/ケイマンより装備は充実していますね(少なくとも981ボクスター/ケイマンにはディスチャージヘッドライト、電動格納式ドアミラーは標準装備されない)。

このあたり最近の軽自動車恐るべし、という感じですが現在軽自動車はもっとも競争が激しいカテゴリのひとつであり、そのために装備に比べると車体が割安という現実があります(ベースとなるアルトはもっとも安いグレードだと80万円くらいからある)。
これだけのものがロレックス・デイトナのコンビモデルと同じ価格というのはなんともお買い得なような気がします(アルトワークスのほうがサイズがずっと大きく、操る楽しさもあって満足感も高そう)。

見た目はターボRSより地味に見えますが、これはアルトワークスを購入するのがおそらくはオッサン層となることを見越し、あえて地味に仕上げたのかもしれません(オッサンが派手な車に乗ると”必死感”が出て見ていられない)。
その反面、上述のブラックホイールやレッドキャリパーなど渋い装備を与えるあたり、スズキは「わかってる」と言わざるを得ませんね。

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さて早速アルトワークスに乗り込みますが、ドアが薄かったりするのはこれも「幅」が決まっている軽自動車規格内にて、室内幅を最大限に広くとるための定石と考えると納得の範囲。
問題があるとするとスズキではなく軽自動車規格ですね。

シートはレカロ製がおごられますが、これは軽自動車規格にあわせたのか日本人に合わせたのか、かなりタイトな作りです。
反面、座面や背もたれの肉厚はしっかり取られており、乗り心地は上々。
もとがアルトということもあって見切り(視界)も良いですね。

プッシュ式のスターターボタンを押してエンジンをスタートさせますが意外に重厚な音とともにエンジンが目覚めるのにはちょっとびっくり。
ぼくはしばらくダイハツ・ハイゼットに乗っていた時期があり、軽自動車に慣れ親しんでいたわけですが、そういった認識を軽く覆す質感の高さを感じさせます。
メーターも立体感のあるもので視認性が高く、ギアポジション表示も見やすいですね。

AGS(オート・ギア・シフト)のセレクターはダッシュボードから生えており、これをDレンジに入れて早速スタート。※5MTの場合はフロアからシフトレバーが出ている。5MTでもダッシュからレバーが出ていれば面白かった
かなりトルクが厚く、出だしは非常に軽い印象ですね。
なおAGSはマニュアル・トランスミッションをAT化したもので、ランボルギーニ・ガヤルドのEギア、430までのフェラーリに採用されるセミオートマのようなものと思われます(WEBにもカタログにも詳細は記載されていない)。

そのためややシフトショックが感じられますがダイレクト感があり、トルコン式ATのような滑りも感じることなくガッシガッシとシフトアップ。
なおMTがベースといえどもギア比は若干異なっており、1-4速まではローギアード、5速がハイギアードな設定。
これは加速重視の設定で、かつ巡航速度では燃費重視と言え、正直このダイレクト感とあわせて考えると、5AGSの方が実用上ではいいんじゃないかとも思えます(+20キロが許容できれば)。
このあたりは実際にMTに乗らないと判断はできず、近いうちにMTも試乗し、そのシフトフィールなども確認したいところ。
なおヒルスタートアシストは備わっておらず、AGSはMTがベースということもあり、坂道では車が下がるので要注意。
ロボットクラッチなのでスムーズは変速ではありませんが、それがまた雰囲気を出しているとも言えます。
シフトアップは高回転だと衝撃がありますが、シフトダウンの場合はうまくクラッチをつなげており、シフトアップほどの衝撃はありません。

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ガツンとアクセルを踏むと一気に加速しますが、姿勢が安定しているのもいいですね。
サスペンションはかなり締め上げられており、しかし鋭い突き上げは感じません。
ダンピングレートはかなり高いと考えられ、最近のアウディ車のような足まわりですが、これはかなり高いボディ剛性がないと実現できず、そこから推測するにアルトワークスはかなりしっかりした骨格を持っていると思われます。
実際のところ、試乗中には車体のねじれやきしみの体感、内装の異音は皆無でした。
※なおサスペンション形式はフロントがマクファーソン・ストラット、リアはトーションビーム

ステアリングは重いとも軽いとも感じず、まったく違和感を覚えなかったので優れたセッティングだったのだと思われます。
カーブを曲がるときも切りすぎたり切り足したりも無かったので、非常に素直な動きをしていたようで、このあたりは試乗後にようやく思い出した部分(試乗中はそれほど自然すぎるほど自然だった)。
他の車と同じような感じでカーブに進入してしまい、「軽自動車のトレッドとタイヤ、サスペンションだとちょっとキツいか」と思えた速度でもあっさりと旋回してしまうので、ポテンシャルは相当に高そうですね。

ブレーキも非常に優秀で、法定速度内だとまずこれでストッピングパワーが不足することは無いでしょう。
カックンではなく踏み城に応じて徐々に効いてくるタイプであり、「ある程度の経験を持った」ドライバー向けのセッティングであることも伺えます(しっかりブレーキを踏めるドライバー向け)。

試乗中気になったのは変速ショックくらいで(それもダイレクトさゆえだと考えるとマイナスにはならない)、あとはパワー、加速、ハンドリング、サスペンション、ブレーキは完全に満足がゆくというか期待を上回るレベル。
とくにサスペンションの出来は白眉であり、シートと相まって極上のスポーツライドを約束してくれると考えています。
正直なところかなり期待して試乗に臨んだのですが、アルトワークスはその高い「期待以上」であったと言えますね。

なおアルトワークスはオーディオレス(スピーカーはある)なのでヘッドユニットもしくはカーナビを装着する必要がありますが、それを入れても支払い総額180万円ほど(ぼくは4WD/MTで見積りを取りました)。
上述のように最初からホイールもブラックでブレーキキャリパーもレッド、レカロやアルミペダルなども入っており必要なものは全部揃っていると考えて良いでしょう。
欲を言えば最低地上高が150ミリあるのであと50ミリほどは落としたく、そのぶんの費用がかかるくらい。

おそらくこういった車はオッサンがツルシでさりげなく休日の朝に乗るのが格好良いと思われ、無駄なオプションは重量増加に繋がると考えて装着しない方が良いのかもしれません。

アルトワークスが発表されたとき、ターボRSに比べてあまりに地味だったので一瞬「えっ」と思いましたが、購買層をオッサンに絞って渋さで攻めるあたり、スズキのマーケティング力はあなどれないものがありますね。
というのもオッサンが派手なスポーツ車に乗ると「あの人はいい年して結婚もせず(できず)車にばっかりお金をかけている」「車が全てのかわいそうな人生の敗者」というような見方をされる傾向がありますが、サクっと地味でシックなスポーツカーに乗っていると「休日に趣味でセカンドカーに乗っている」「いい趣味をしている」的な見方に変わる可能性があるわけですね。
一見するとトップグレード(アルトワークス)が下位グレード(ターボRS)よりも地味というのは意味不明に見えますが、そこにはスズキの深い読みがあると考えられ、「なかなかやりよるわい」という気持ちです。

これまでの試乗レポートは下記のとおり。最新の試乗レポートはこちらにあります。

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