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ミニ60周年記念イベントへ行ってきた!ミニの歴史、そして展示されていた各モデルを見てみよう

2019/09/01

| この会場で行われた自動車関連イベントの中ではかなり大掛かり |

さて、大阪にて開催されたミニ60周年記念イベント。
会場は大阪グランフロント・ナレッジキャピタルとなっています。

クラシックミニにクリエイターがペイントを施したスペシャルモデル、そして限定モデルのMINI 60 Years Edition、クロスオーバー、クラブマン、カブリオレ、ミニJCW(3ドアハッチバック)等が展示されるほか、ミニのこれまでの歴史の展示、オリジナルトートバックを作ることができるワークショップ等様々なコンテンツで盛りだくさん。

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「ミニ」はこういった歴史をたどっている

ひとくちにミニといっても、いわゆるクラシックミニ(BMCミニ、ローバーミニとも呼ばれる)、そしてその後のBMW製となる「MINI」とに世代が別れます。
ここで、ミニがどういった変遷をたどったのかを見てみましょう。

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クラシックミニはオイルショックを背景に誕生した

いわゆるクラシックミニ(初代ミニ)はBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)が発売したコンパクトカーですが、その背景としては「オイルショックのため、燃費に優れ、その一台で全てをこなせる車が必要になったから」。

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当時は「大きな高級車」か「バイクに毛が生えたようなクルマ」の二種類しかなかったと言われ、燃費を重視して小型車を選ぼうとすると「乗り心地や積載性を犠牲にするしか無かった」。

そこでBMCはエンジニアのアレック・イシゴニスに「大人4人が乗れ、快適に走れるクルマ」の開発を命じ、できあがったのがクラシックミニというわけですね。

ただ、その開発は簡単なものではなく、アレック・イシゴニスはこれまでにないものを作り上げたため、その苦労は並大抵ではなかったと思われます。

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現在でこそ当たり前になった「(コンパクトな車体サイズにおいて室内空間を広く取るための)横置きエンジン+全分駆動」の実用化もミニの他に(4気筒では)前例がなかったもの。
エンジン下部にトランスミッションを搭載したその手法はイシゴニス・レイアウトとも呼ばれます。

さらに室内空間を広く取るためサスペンションをコンパクトに設計し、そのために採用されたのが(スプリングではなく)ラバーコーン。

そのほか、これもフェンダーの室内側への張り出しを抑えてキャビンを有効に活用するために10インチタイヤを専用に開発するなど、とにかく「採用の車体サイズで、最大の室内空間を確保する」ということに全精力を傾けたクルマがクラシックミニ、ということになります。※車体の小ささを追求したのは、小さい=重量が軽い=燃費がいい、に繋がるため

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結果としてクラシックミニは全長3,075ミリ、全幅1,440ミリ、全高1,330ミリ程度(年代等によって異なる)という非常に小さなボディを持ちながらも、リアにトランクを持つ「3ボックスカー」としてのパッケージングを持つという例のないクルマに仕上がることに。

クルマを小さく作るのは非常に難しく(特に実用車であればあるほど)、しかしアレック・イシゴニスは様々な手法を持って見事に無理難題を解決した、ということになりますね。

そして、これがいかに画期的であったかを示す証左として、その後2000年10月まで、つまり登場から41年を経るまで大きな変更が与えられずに生産され、総生産台数は530万台、という記録が残ります。

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BMWが1994年にローバーグループを買収する

もともともBMCは業績悪化によってジャガー他と併合しブリティッシュ・モーター・ホールディングスへと変化し(1966年)、その後さらにレイランド・モータースとの合併によってブリティッシュ・レイランドへ(1968年)、そしてこれが1986年に「ローバー・グループ」へと社名変更。

そしてこのローバー・グループを購入したのがBMWで、その理由としては「ランドローバーの技術が欲しかったから」と言われています。
実際にBMWはランドローバーの技術を転用してBMWは初となるSUV「X5」を2000年に発売していますね。

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なお、ちょっと面白いのは、この頃BMWは「イギリス寄りの姿勢」を見せていて、ローバーグループを買収した1994年以降、映画「007」シリーズに協賛していること。
実際にローバーグループ買収直後の1995年「007 ゴールデンアイ(BMW Z3)」、1997年「007 トゥモロー・ネバー・ダイ(BMW 750 iL)」、1999年「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ(BMW Z8)」を登場させています。

BMWは1998年にロールスロイスの商標権を取得していますが、ローバー・グループの買収、ロールス・ロイス・モーター・カーズの展開、007への積極投資を見るに、なんらかの「イギリスに対する戦略」があったのかもしれません(赤字に苦しむローバーグループを救った救世主として、イギリスに恩を売り、イギリス国内での支持を集めたかったのかも)。

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ただ、BMWは2000年3月にローバーグループを解体して売却しており、この「英国寄り戦略」がどこかで破綻した模様。

ミニを残してランドローバーはフォードへ、MGは上海汽車へと売却されることになりますが、同時に007映画への投資も引き上げ、よって2002年の「007 ダイ・アナザー・デイ」以降のボンドカーからBMWは姿を消し、アストンマーティンへと置き換わっています(BMWは結局ローバーグループのいいとこ取りをした挙句、解体してバラ売りしたというイメージが英国国民に持たれてしまったために007映画から引き上げたという話もある)。

初代BMW MINIは「大きくなった」と批判を受ける

前置きが長くなりましたが、BMWが2001年に発売したのが”初代”にあたるR50/52/53世代のミニで、この世代はまだローバーの設計を引きずっており、「完全なBMWではない」世代(よって、ローバー時代の非効率な構造も見られる)。

ボディサイズは全長3,625ミリ、全幅1,690ミリ、全高1,425ミリへと拡大し、「デカくなった」と批判を浴びることになっていますが、結果としては大きな成功を収めた、と言えそう(文句を言う人はどうやっても文句を言う)。

この世代でのボディ形状は3ドアハッチバックとコンバーチブルの二種のみの展開となっています。

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二代目BMW MINIはけっこうコストが掛かっていた

そしてBMW MINIも二世代目に移り、R55/R56/R57/R58/R59/R60/R61世代へ。
3ドアハッチバックのボディサイズは全長3,715ミリ、全幅1,685ミリ、全高1,430となっています。

この世代から「完全にBMWの設計になった」といってよく、その乗り心地、運動性能等が大きく飛躍。
サスペンションのアーム類には「アルミ」が使用されるなど、BMWのアッパークラス並みの設計が一部見られることも特徴です。

そしてボディのバリエーションが拡大し、3ドアハッチバックのほか、「コンバーチブル」「クラブマン」「ロードスター」「クーペ」「クロスオーバー」「ペースマン」が登場していますが、このうちロードスター、クーペ、ペースマンはこの世代限りで販売終了に。

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三代目BMW MINIは乗り心地が上移行

そして現行のF54/F55/F56/F57/F60世代。
R世代に比較して乗り心地と安定性が増しているものの、その分ボディサイズも拡大し、3ドアハッチバックではボディサイズが全長3,821ミリ、全幅1,727ミリ、全高1,415ミリへ。

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この世代ではもう「ミニがデカくなった」ということを口にする人は随分減り、そのあたり「ユーザーが入れ替わった」「BMW MINIは(クラシックミニとは)別の車種という認識が浸透した」のかもしれませんね。

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バリエーションは3ドアハッチバックに加えて5ドアハッチバック、コンバーチブル、クラブマン、クロスオーバー、そしてボディ形状は「3ドアハッチ」ですが、新たにピュアレクトリックモデル「ミニクーパーS E」が加わっています。

今後ミニは「エレクトリックブランド」「シティカー」としての道を歩むと言われ、それはつまり「オイルショックに対応し、それまでになかった価値観を示した」初代ミニと同じ。
これからドラスティックに変化するであろう、自動車と社会を取り巻く環境に対応して新たなクルマのありかたを示すことになりそうです。

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ほかの画像はFacebookのアルバム「ミニ60周年イベント」に保存中。

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