| おそらくはV8に代えてV6ツインターボエンジンを搭載か |
マクラーレンはかねてより「エレクトリック化」を進めると公言してきましたが、「スポーツシリーズ」初のハイブリッドが今年夏に発表され、年内にも生産が開始される、との報道。
マクラーレンは現在、セナやスピードテール、エルヴァという”アルティメットシリーズ”、720S、765LTで構成される”スーパーシリーズ”、540C/570S/570GT/600LTというラインアップを持つ”スポーツシリーズ”、そして新ライン”GT”を持っています。
すでにアルティメットシリーズからは「P1」「スピードテール」というハイブリッドカーが登場していますが、今回はスポーツシリーズ初のハイブリッドカーが登場するということになりそうですね。
スーパーカーとエレクトリックとの関係性は様々
現在はCO2排出規制の関係で、好むと好まざると「エレクトリック化を行わねばならない」のがスーパーカーの現状。
これはフェラーリでもランボルギーニでもポルシェでも例外ではなく、ハイブリッドへと移行するのはまさに時間の問題。
ただ、これらスーパーカーメーカーにとってもっとも頭がいたいのは「バッテリー重量」だと思われます。
軽量性が重視されるスーパーカーに「重い」バッテリーを積むと運動性能が大きくスポイルされることになり、この命題をどう解決するかが現在のもっとも大きな問題なのかもしれません。
マクラーレンに関して言えば、上述の通りP1(とP1 GTR)というハイブリッドハイパーカーをリリースしているものの、その後に発売された「サーキット走行をメインに据えた」セナではハイブリッド非搭載。
つまり現段階において「バッテリーは運動性能には貢献せず、逆にスポイルする」という判断なのだと思われます。
一方で「スピードテール」にハイブリッドを搭載したのは、「スピードテールはサーキットでの走行がメインではない」グランドツーリングカーであるということが関係しているのかもしれません。
なぜスポーツシリーズにハイブリッドを搭載?
そしてスポーツシリーズはその名からもわかるとおり、スポーツ走行を標榜したラインアップとなりますが、気になるのが「なぜこれらに重いバッテリーを積むのか」。
これについては単純に「一番数が出るから」だと考えていますが、現在自動車メーカーがCO2排出量に頭を悩ませているのは上で述べたとおり。
ただしこれは、CO2総排出量を新車販売台数で割った「平均値」であり、よってこの平均値(CAFE値)を引き下げるには、最も多く販売しているモデルのCO2排出量を引き下げる(もしくは極端にCO2排出量の大きなモデルを何とかする)のが手っ取り早い方法。
現在マクラーレンの再量販モデルは「スポーツモデル」であり、これらのCO2排出量を減らすことができれば、マクラーレンの「平均」CO2排出量を減らすことができるということですね。
現時点ではこの「新型ハイブリッドスポーツ」はPHEVになると言われ(エレクトリックモーターのみで25km前後の走行が可能)、マクラーレンCEO、マイク・フルーイット氏によれば「エレクトリックモーターの(すぐにトルクが立ち上がるという)特性を利用し、パワーバンドのギャップを埋めることができる」と語っていて、「マクラーレンはいついかなる時にも、真のドライバーズカーをつくり続ける」とも。
そしてエンジンについてはこれまでのV8ツインターボからV6ツインターボへと変更されるこうとになりそうですが、「小さくなる排気量、しかしパワーを稼ぐための大きなタービン」によってターボラグが大きくなるであろうことが容易に想像でき、そのターボラグを埋めるための手段が「エレクトリック化」なのかも(ただ、コストパフォーマンスの高さがスポーツシリーズのひとつのウリであったのに、ハイブリッド化によってそれが失われる可能性も)。
この「新型スポーツシリーズ」については、すでにプロトタイプが走行を開始しており、メーター画面からはその「外観デザイン」も流出することとなっていますが、そう遠くない将来に全容が明らかになる、ということになりそうです。
なお、このPHEVの先にあるのは「ピュアエレクトリックスポーツカー」。
ただしマクラーレンはこれについては「まだまだ先」ともコメントしていて、実際にテストを重ねているものの、「サーキットを走ると、数周でバッテリーが消耗しきってしまう」という問題を解決できず、ポルシェ同様に「次世代バッテリー」つまりソリッドステートバッテリーの実用化を待つことになるのかもしれませんね。
VIA:Autocar