| スーパーカーはもともとミリ単位でコンポーネントやパーツの位置を最適化しており、後から何かを加えるだけの余裕はない |
フェラーリがプレスイベント開催中に語ったところによると、ポルトフィーノやローマの「ハイブリッド化は無い」とのこと。
その理由としては、これらに採用されているFRプラットフォームにモーターとバッテリーを装着することが非常に困難である、ということを挙げています。
そしてこれは同時に「ポルトフィーノ後継モデル(同じ車体を使用するフェイスリフト版)」についてもハイブリッドはないということを意味するのだとも思いますが、この雰囲気からすると「マイルドハイブリッド」すらもなさそうな印象です。
ちなみにフェラーリは2017年あたりに「2019年以降に発売するフェラーリはすべてハイブリッド化される」と語っていた時期があったものの、おそらくは思ったほどバッテリー性能が向上せず、そして小型化も進まず、その状況でコストを投じてまで無理に(宣言を守り)ハイブリッド化を行う理由を見出せなかったのかもしれません。※これはほかのスポーツカーメーカーにもあてはまる
なぜハイブリッド化は難しい?
そして思うのが「モーターとバッテリーくらいならなんとか入るんじゃないの?そんなに難しいの?」ということ。
トランスミッションにモーターを仕込み、小さなバッテリーを装着するマイルドハイブリッド(ISG)くらいなら入りそうに思うものの、スポーツカーやスーパーカーは重心を最適化し、しかも大きなエンジンを積みながらコンパクトに作ったり、そのコンパクトな車体の中に大きく太いタイヤ/ホイールを収めてサスペンションのアーム長も確保したりといった苦心が詰め込まれており、「ビタイチ隙間が余っていない」のもまた事実。
たとえばこちらは992世代の911ですが、これを見ると「設計時に考慮されていないユニットを後から入れる場所などない」ということもわかります。
もう一つポルシェの例で言えば、「マカン」には(カイエンには設定されている)ハイブリッドが存在せず、これは「ハイブリッドユニットを入れる場所がない」ためだと言われていますね。
そしてこれはローマやポルトフィーノにとっても同じだと思われ、「究極のバランス」を求めてミリ単位の調整が行われているであろうスポーツカーにとって(マイルドハイブリッドであっても)数十キロの物体を押し込むことは難しく、かつ無理にそれをやってしまうと熱処理など「想定外の問題」が起きてしまい、結局のところ逆効果となってしまうのかも。
一方でフェラーリは量産ハイブリッドカーとして「SF90ストラダーレ」を発売していますが、これはもちろん「ハイブリッド専用」として最初から設計してあるのでこういった問題はなく、しかしリアセクションの形状がこれまでのミドシップフェラーリとは大きく異なるところを見ると、「何の苦労もなかった」わけではない、ということもわかります。
加えてフロントフード内では「え?こんなところに?」と驚くような位置に(おそらく)インバーターが装着されており、とにかくハイブリッドユニットを納めるというのはかなり難しい作業であるようですね。
なお、ここ最近フェラーリは(おそらく)V6ハイブリッドと見られるモデルをテスト中ですが、こちらもやはり「ハイブリッド専用設計」のプラットフォームを持っているのだと思われ、当然ながら「最初から」ハイブリッドユニットを収めることを前提に設計されているということになりそうです。
参照: Autocar