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ロールスロイスCEOが「最初のEVの名称はサイレントシャドウ」だと語る。なぜロールスロイスは「シルヴァー」そして実態のないものの名称をネーミングに採用するのか?

2021/05/30

| ロールスロイスはより静かで快適なクルマを作るためであれば「V12」であっても「エレクトリックモーター」でも構わない |

コロナウイルスのパンデミックはロールスロイスに味方をしたようだ

ロールスロイスは積極的に電動化をすすめる自動車メーカーのひとつですが、今回同社CEO、トルステン・ミュラー・エトヴェッシュ氏がブルームバーグTVに出演し、ロールスロイス初の電気自動車につき、その名称が「サイレントシャドウ」になるとコメントしています。

ちなみにロールスロイスの車名については、「数字とアルファベット」「(文字列を持つ)名前」とが混在しており、後者だと「ファントム(亡霊)」「レイス(幽霊)」「シルヴァードーン(夜明け)」「シルヴァークラウド(雲)」「シルヴァーシャドウ(影)」「コーニッシュ」「シルヴァースピリット(精霊)」「シルヴァースパー」「シルヴァーセラフ(天使)」といったものが多く、統一性があるような無いような感じではありますが、「実態がない」ものを好んで用いる傾向にあるようです。

なお、「シルヴァー」を最初に用いたのは「シルヴァーゴースト」ですが、シルヴァーゴーストと呼ばれるようになったのは理由があり、当時のロールスロイスの試作車はシルバーにペイントされる習慣があったこと、そしてその車体でレースに参加した際に「あまりのエンジン音の静かさのため(それだけ精度が高い)」そこにいないようだ、つまり幽霊(ゴースト)のようだと言われたことがルーツだとされています。

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1965年に生産が開始された「シルヴァーシャドウ」にインスピレーションを得る

そして今回の「サイレントシャドウ」について、もちろん「サイレント」はEVならではの静かさをイメージしているのだと思われ、しかしもともとロールスロイスのV12エンジンは静粛極まりないことでも知られており、その室内は「外部と遮断された世界」を実現しています。

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そういったロールスロイスの特徴がエレクトリック化によってさらに際立つということになりそうですが、この「サイレントシャドウ」については昨年すでに商標登録されており、ロールスロイスによると1965年から1980年にかけて生産された「シルバーシャドウ」からインスピレーションを得ている、とのこと。

ちなみにシルヴァーシャドウはロールスロイス初のモノコックボディ採用車であり、ロールスロイスの新しい時代を築いたモデルだと言われ、このサイレントシャドウもそういった「革新性」を意識しているのかもしれません。

シルバーシャドウは「ロールスロイスたるにふさわしいクルマ」に

そしてマティアス・ミュラー・エトヴェッシュ氏は「このサイレントシャドウ」はロールスロイスとしてふさわしいクルマになるとも述べていますが、「電動化はロールスロイスとマッチする」とも。

上述のとおり通りロールスロイスの特徴のひとつは「まったくもって静かなV12エンジン」でもありますが、ロールスロイスはこのV12エンジンをあっさり捨てるということになり、しかしロールスロイスはこれまでも「我々の目的のひとつは、快適で高級なクルマを作ること」だと述べており、今までだとそれを実現する要件のひとつが「V12エンジン」であったものの、それよりも優れる手段つまりエレクトリックモーターが登場した今、それを採用しない理由はないということなのかもしれません。

そしてロールスロイスの顧客は、いにしえの方法に固執するよりも、こういった変化をむしろ寛容に受け入れる傾向にあるといい、エレクトリック化に際しても拒否反応を示すことはなさそうです。

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現時点ではこのサイレントシャドウについてなんらかの技術的要件が公開されているわけではありませんが、おそらくはBMW i7と多くを共有するもと言われ、となると90kWhと120kWhのバッテリーパックを搭載し、それぞれ550kmと700kmの航続可能距離を持つことになりそうです。

ちなみにマティアス・ミュラー・エトヴェッシュCEOは「コロナウイルスのパンデミックが販売に有利に働いた」ということも認めており、これは「コロナの拡散によって、人生がいかに早く終わるかを目の当たりにした」顧客たちが、「人生の楽しみを先送りせず、今日という目の前の一日を楽しむことにした」からだとも述べています。

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