| ついにメルセデス・ベンツまでもが脱ガソリン宣言 |
ただし明確な時期についてはコメントせず、「流れ」に任せるという意向も
さて、先日はフォルクスワーゲンが「2035年までにガソリンエンジンを全廃する」と正式にコメントしましたが、今回はメルセデス・ベンツが「10年後までにほとんど内燃機関を廃止する」「ピュアEVに注力するため、プラグインハイブリッドは今後開発しない」とコメント。
ただ、興味深いのは「具体的に”いつまでに廃止”というアナウンスを行っていないことで、これは「特定の時期をコミットする準備ができていない」ためだと言われます。
まだまだ世界の自動車事情は流動的
なお、いくつかの自動車メーカーは「ガソリンエンジン廃止」の時期について明確に示しているものの、今回のメルセデス・ベンツのように言葉を濁したり、アウディのように「2033年にガソリンエンジンを廃止する」と述べつつも「ただ、内燃機関の廃止は最終的には顧客と法律によって決定される」と但し書きをつけるメーカー、そしてトヨタのように「完全にピュアエレクトリックへと移行することは考えていない」とする自動車メーカーも。
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こういった「ピュアエレクトリックへと完全移行する時期を特定できない理由」としてはいくつかあり、まずは「充電インフラ」。
いかに自動車メーカーがエレクトリックカーを推奨し、自動車メーカーが電気自動車を製造しようとも、充電するための環境がなければ電気自動車を使用することはできず、よって消費者はエレクトリックカーを買わず、中古市場にてガソリン車を求めることに。
そうなると、エレクトリックカーしか製造していない自動車メーカーは販売機会をロスすることになり、他社に売上を持ってゆかれることになり、これは避けたい事態だと思われます。
そして充電インフラは自動車メーカー側ではコントロールし難く、よってここは「様子を見ながら」とする自動車メーカーが出てくるのでしょうね。
電気自動車の価格は簡単には下がりそうにない
他の問題としては「価格」が考えられ、つまりはガソリン車に比較して高価なEVを購入する人は限られる、ということ。
高いお金を出して、利便性に劣り、バッテリー劣化の可能性があるEVを購入する人々は先進国においてもそう多くはないと思われ、さらに発展途上国では「平均所得を考慮すると、そもそもEVを購入することが現実的ではない」という状況も考えられます。
そういった国や地域では「ガソリン車の販売を禁止」するわけにはゆかず、よって新車としてガソリン車の販売が継続されることになり、そういった地域向けとして、自動車メーカーはガソリン車を販売し続け、売上を確保し続ける必要性も出てくるわけですね。
そのほか、あまりに充電インフラ拡充が進まなかったり、EV推進によってバッテリー価格が上がってしまったり、それによって人々の生活を圧迫したり、さらにはバイオ燃料のようにガソリン代替燃料が一般的になる可能性もあって、どこかで「EV一辺倒」のこの傾向にブレーキが掛かることがないとは言えない、とも考えています。
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参照:Automotive News Europe